紙一重
先日、私が40歳まで所属していた某団体の大先輩方とお話する機会があった。その際の話題である。
改正労働施策総合促進法による職場のパワーハラスメント対策が4月から中小企業にも義務付けられた。先輩方は皆さん、経営者であるので、法に従い、対策を講じる立場である。
パワハラの線引きは難しい。
例えば、何度注意しても仕事のミスが絶えない社員、勤務中に集中して職務を遂行しない社員、上司との折合いが悪く、指示なく勝手に仕事を進めた結果、ミスをする社員など。
どのパターンも結果、間違えれば上司や経営者の責任となる。
部下が失敗しないために、上司は部下に対して指導・注意する。ただ、その方法や部下の受入れ方によっては、パワハラ認定されてしまう。
どこか、学校での教員による生徒指導に似ている。
明らかに悪意がある上司からの指導や注意、指示であれば、それはパワハラと言われても仕方がない。しかしそうでないもので訴えられたのであれば、注意や指示をした上司は、たまったもんじゃない。
パワハラ対策が義務化されたことから、権利ばかりを主張して、義務をこなさない社員が、当たり前のように上司に反論する会社が増えないことを祈っている。
と、一般論というか、独り言みたいなことを書いたが、私も零細企業の経営者でもあるので、自分の会社だったら…で、ゆるい解決策を考えてみた。
1.それぞれの会社の規模に合った風土を作る。
(常々のコミュニケーション方法やリクリエーション的な行動から、同じ価値観が芽生えるような社内の習慣作り)
2.会社は一般的に言われている、形式的な対策を取ることから、パワハラがアンダーグラウンド化してしまう可能性があるから(いじめと一緒で)形式的ではなく、人として(日本人として)上司も部下も、相手を敬うこと、上下関係があっても一定の敬意を持って接する。ルール作り。
3.そもそも、雇用する際に経営者は、その人がどのようなタイプが見極める力を持つべき。
と、また一般論的な、生温いこと書いたが、本心は違う。
もし、パワハラと思われる事があったとしても、今のパワハラの定義は極端な話、「注意や指導は悪」である。原因が簡単に線引きできないのであれば、双方にガイドラインを設けるべきである。
双方が守られなければ、一方的に上司または経営者が悪者になってしまうのではないか。
どこの分野でも人材不足であり、社員は会社の宝でもある。だからこそ法律やガイドラインなどといった文言で線を引くことなど難しいのである。
もし世の中の企業が、注意することも出来ない時代が来たら・・・。
いろんな経験をするから、人は成長するものだと思うのだが。