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短大が募集停止するニュースを受けて考えたこと
2025年になってから、鹿児島純心女子短期大学が、令和8(2026)年度以降の学生募集を停止するニュースを見ました。
個人的にはけっこうショッキングなニュースだったのですが、今日は、鹿児島国際大学の音楽学科も募集停止するニュースが流れてきました。
MOKUMOKUをはじめとして、大学生向けのプログラムを企画運営したり、大学生と一緒にイベントをつくったり、中高生の学びの場に参画したりする自分にとっては、無視できないニュースです。
鹿児島の大学進学等を取り巻く環境
一旦、いろんなところからデータを引っ張ってきて、数字をたくさん出していきます。(苦手な人は次の目次へ!)
2024年5月ごろの時点で、鹿児島県の大学・大学院・短大に所属している学生は18,519人。
下記の9校のwebからそれぞれ足してみた数字です。
鹿児島大学:10,098人
鹿児島国際大学:2,965人
志學館大学:1,393人
鹿児島純心大学:601人
第一工科大学:1,238人
鹿屋体育大学:842人
鹿児島女子短期大学:562人
鹿児島純心女子短期大学:275人
鹿児島県立短期大学(第二部含む):545人
ちなみに、福岡大学は学部生のみで18,992人。別に比べるものではないけど、鹿児島の大学短大を合わせた人数と、福岡大学1校で同じ規模です。
ちなみに、サクッと調べてみたところ、、、
・2024年3月に大学を卒業した人たちの県内就職率は46.2%(前年は52.2%)
・2023年時点の高校生総数が41,952人でそのうち大学進学率は46%くらい。
・2020年の文科省のデータでは、高卒就職者のうち44.8%が県外で、「全国トップの“人材供給県”」とメディアでは書かれています。
他にも、都道府県別の四年制大学の進学率では、2023年の鹿児島県は36.2%で全国最下位。
2021年の女子の四年制大学進学率は34.6%と全国最下位。
なんとなく、大学に行く人が少ないことを考えると、鹿児島はどんどん人がいなくなる傾向にあるらしい。
ここまでデータばかりになってしまったのですが、シンプルに日本の人口減少が急激に進んでいく時代においては小中学校の閉校・廃校のみならず、当たり前のように大学も減っていく事実と向き合わないといけません。
地域から学生が出ていくときのパターンは2つ
鹿児島の大学・短大が減るということは、高校生の進路の選択肢として「鹿児島に残る」選択肢が物理的にも減ります。今まで以上に、県外に出る人が増えるかもしれない。
ぼくは、たくさんの大学生や高校生が進学/就職していく姿を送り出してきました。地域から学生が出ていくときの状態は、なんとなく2パターンに分けられます。
A:「地元には何もない!都会で生きていくんだ!」という、地元から出ていきたくて出ていくパターン
B:「絶対いつか地元に帰ってくる!そのために他の地域で経験を積んでくる!」という、地元が好き、もしくは希望を感じてくれているパターン
他にも、「地域や場所にはこだわらない漂流者タイプ」や「鹿児島のこと好きだけど、私は海外(もしくは地球のどこか)で暮らしたい!タイプ」「鹿児島のこと好きだけど、やりたい仕事のために出ていくタイプ」もいるので、一概に2パターンとは言えないかもですが、ざっくりと。
「いつか帰ってきたい」という想いを胸に出ていく人を増やしたい
どちらかというと、県内就職率の向上よりも、出入りの活性化を目指すべきだと思っていて、出る人は出るけど、帰ってくる人は帰ってくる、というような流れをつくりたいです。そのために、この2つを意識しながらさまざまな活動をしています。
①後者であるBの「絶対いつか地元に帰ってくる!そのために他の地域で経験を積んでくる!」人たちを増やすために、鹿児島にいる間に、鹿児島の良さに気づいてもらうこと/触れてもらうこと
②出ていった人たちが、いつ鹿児島を振り返っても、「やっぱりいつかは鹿児島に戻りたいな」と思い続けられる鹿児島を現役世代がつくり続けること
特にMOKUMOKUでは、鹿児島であることをとても大切にしていて、桜島をはじめとする活火山群とそれによる温泉の存在。南北600kmに及ぶ県域には28の有人離島があり、本当に多くの文化に彩られているのが鹿児島です。
毎年離島に合宿に行ったり、県内の地域に遠足に行ったりして、現地の方々とコミュニケーションをとって、その地域ならではの食材を食べて、その地域だからこそ見れる景色を目に焼き付けること。何気ない風景が、どれだけ豊かな景色なのか、そういった日常に当たり前のように存在している文化や伝統に気づくことが愛着やシビックプライドにも繋がっていきます。
雇用が減っていくことは地域力が下がってしまう。
高校生や大学生が鹿児島にいるうちに鹿児島の体験をすることも大切だけど、進学や就職で県外に出てしまうと、県内企業との出会いはほぼなくなってします。ぼく自身、福岡に進学すると、鹿児島の企業との接点はなかなか作れませんでした。
出会いがない分、雇用が進まず、働き手がいなくなるとサービスがままならなくなってしまうので、生活をしていくための地域として選ばれなくなってしまうことは、鹿児島が大好きな1人として、避けたい。
鹿児島県内にもワクワクするビジョンを掲げていたり、おもしろい事業を生み出している会社さんもありますが、まだまだ出会う機会がないことも事実なのかもしれません。現状のMOKUMOKUでもまだまだ足りない。大学生より下の世代を“次世代”と呼ぶならば、次世代と企業が出会う仕組みをつくっていくことも、これからのミッションの一つとしていきたいと思います。