大阪プペルの物語 〜西野さんがイクマルを着るまで〜
おはようございます。
『こんなん着るくらいなら引退する!!』と豪語していた西野さんに、今後永遠と残るであろう千秋楽後の全体撮影でイクマルスウェットを着させた高橋伊久磨です。
見てください、西野さんのお顔を!西野さんが幸せそうに着てらっしゃって、めちゃくちゃ嬉しすぎました!!(西野さんありがとうございます!!)
応援のパワーっていいな。
そんなこんなで…
ミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪公演無事千秋楽を迎えることができました!!!
応援してくださった皆様、ご来場くださった皆様、配信をご視聴いただいている皆様、本当にありがとうございます!!
今回の公演を振り返ってまず思うのは、『お客さんも含めてみんなで作った作品だなぁ』ということ。今回の公演はご存じの方が多いかと思いますが、本当にたくさんの試練(Jアラートなど)がありました。
十分な広さの稽古場が用意されていなかったり、東京から来るスタッフの宿泊施設がとれていなかったり、しまいには劇場費が払えていなかったり(joeさん!どうやって公演しようとしていたのよ。笑)
そして…
大阪プペルカンパニーが絶望のどん底に落とされたそんな時、西野さんが救いの手を差し伸べてくださいました!
どうやらやばいことになっている大阪プペルをみかねて、公演期間まで全てのスケジュールを空けてくださり、全面的に大阪プペルのサポートをすると言ってくださいました。(西野さん、本当にありがとうございます!!)
そんな西野さんがまずしてくださったのが、”今起きている問題を全て包み隠さずお客様に共有する事”でした!
本当に包み隠さず。笑
そしてそれによって、『どうやらやばいことになってる大阪プペルをなんとか勝たせよう!』とたくさんの方が、全力で応援してくださり、ご支援くださいました。
そのおかげで、なんとか全公演満席の客席で千秋楽を迎えることができました!!
本当に本当にたくさんの応援ありがとうございました。
さて、ここからは僕もこの期間に感じたことを包み隠さず全て話してゆこうと思います。
僕もオリジナルミュージカルを上演しているのでわかるのですが、包み隠さず共有するって簡単なようで意外とできなくて、どうしても全て上手くいっているように見せたくなっちゃって、ゴタゴタしているところは隠しちゃうんです。
『なんかあの公演大変らしいよ』って評判のものにクオリティを期待することってあんまりないと思うから。
僕がこの大阪プペルの演出をさせていただくと決まってから、西野さんと最初に連絡を取らせていただいた時に、一目散におっしゃっていたのは『意外に思われるかもしれませんが、僕客席が1番好きなんです。今回は客席で見られることがとても楽しみです。』という言葉。
そんな西野さんがガッツリ運営面にサポートに入ります!と言ってくださいました。
さて、そうなった時に僕の仕事っていうのは、
どうにかこうにかクリエイティブは大阪プペルカンパニーで最高のものを作り上げること。そして客席に座ってくださっているお客様と西野さんに大満足していただくこと。
ここだけは死守せねばならない!!最初の約束を果たさねば!!と息巻いて、西野さんが参戦してくださると決まった日にすぐ個人ラインでこんなメッセージを西野さんに送りました。
『西野さん!クリエイティブはこの大阪カンパニーで最後までしっかりと最高のものを作り上げることを表明します!!!』
と。
今思えば、なんて生意気なことを言っているんだ自分。と反省しているのですが、
本当に正直な話をすると、ここまで大阪カンパニーで前例になぞらず全員野球で1から大阪プペルを作っていたのに、ここで西野さんが参戦してくださり、クリエイティブ部分も頼るようなことがあっては悔し過ぎる!!この公演は絶対僕たちでやりきってやるぞー!!!という気持ちが僕の心の中に燃え盛っておりました。
監修のMOEKOさんにも『こんなもの送ろうと思います!』って話したら『多分それはニシノさんもわかってると思うし、送らなくてもいい気がするなぁ』とやんわり止められたのですが、どうにもこうにもその気持ちを抑えられず、こっそり休憩時間に送信ボタンを押しました。
ドキドキしながら返信を待ってたら、ものの数分後に『最高すぎる!表の問題はなんとかするのでクリエイティブに集中してください!』と西野さんから。(本当MOEKOさんの言う通りでした)
この言葉が本当に頼もしくて。
そして、西野さんの”信じる”という気持ちをすごく感じたんです。
その後も何度か西野さんはお稽古場や舞台稽古にもいらっしゃったんですけど、本当だったらきっと運営面のサポートじゃなくて、クリエイティブに入り込んで誰よりもプペルを作り上げたいはずの西野さんが、ダメ出しの時も1番遠くに座って僕達の様子を眺めてくれて、クリエイティブについては常に一歩引いたところからずっと見守ってくださったんです。
こんなにもバタついていた大阪プペルですが、クリエイティブは僕たちで作るものを信じ、最後の最後まで託してくれたんです。
それは東京公演のプロデューサーのセトちゃんもそうですし、一緒に作り上げていっている監修のMOEKOさん、照明のイジツさん、ボディーパーカッションのヤコさん、舞台美術の佐藤さん、舞台監督の吉川さん、音響の木下さんからすらもその”信じる”という気持ちを感じました。
あの、ほんとに、ここだけの話なんですけど、そのプレッシャーたるや半端ないものでして。笑
でも上手く表現できないのですが、『お前面白いものを見せてくれるんだろうな!』というプレッシャーと共になにか温かいエネルギーを常にみなさんから感じていました。
絶対に面白いものにしてやるぞ!!
という反骨精神を胸に、諦めずに最後まで面白いものを模索し走り続けました。
そして、結果大阪プペルは毎公演拍手喝采で幕を閉じることができました。
こんな規模感のものをまだ作ったことのない自分が、あの拍手を生み出せたのは、すんばらしいクリエイティブチームの方々からの凄まじいプレッシャーとサポート、そしてそれはある種”応援”に近いものがあったからこそだなぁと心底感じています。
終演後は出口に立ってお客様の送り出しをしていたのですが、みなさんの涙で真っ赤になっている目を見て『あぁ。この方々に楽しんでもらえて本当によかった』と安堵しました。
初日の終演後、お客さんを送り出したのちにドキドキしながら西野さんの元へ行くと、『最高でした!!伊久磨さんの代表作にした方がいいですね!!』とおっしゃってくださいました。
よかった。
本当によかった。
まずは一つ約束を果たせたということに本当に安堵しました。
そして、そして、、、
公演中、星空が広がった瞬間に拍手が起きたんです。
クリエイティブスタッフとお客様方が大阪プペルに対して応援=信じるというエネルギーを持って、煙の向こうには星があると信じ、一緒に本番まで駆け抜け、そしてその結果あの最高の星空にたどり着き。
星空で拍手が起きた時に『あぁ、僕達は一緒にこの星見たさに戦っていたんだなぁ。仲間はこんなにもたくさんいたんだなぁ』と感無量でした。
単純にパフォーマンスが良かったというのもあると思うのですが、なにか観客の『ここまでいろいろあったけど、こんなに最高なのものを見せてくれてありがとう!』というメッセージを拍手の中に感じました。
リアルえんとつ町のプペルをここまでみんなでやってきたんだなあと。
そう、話を頭に戻すと今回の大阪プペルは『お客さんも含めてみんなで作った作品だなぁ』って心から思いました。そしてみんなで作った作品だからこそ、あれだけの感動が待っていたんだなぁと。
一緒に作り上げてくださった皆様、本当にありがとうございました。
西野さんにイクマルを着せるという千秋楽の僕のサブタイトル
僕の誕生日は12/4。
大阪プペルの開幕は前日12/3。
開幕日の夜は西野さんやイジツさんヤコさん達とたくさんお話しさせていただく機会がありました。
『おっと僕の誕生日を迎える時間にみんなといるかもしれないってことは、みんなにお祝いしてもらえるかも!!!』なんていう一抹の期待を胸に。
本当そんな期待は淡すぎました。
始まったのはイジツさん、ヤコさんによる演出家への鬼のダメ出しタイム!!笑(キーボードコンダクターのむーちゃんも乗っかってきました!)
当たり前ですが、僕の思い出は決して綺麗事だけではないのです。笑
まず前提として、オリジナルのプペルを作った方々からしたら西野さんに惹かれて、信じて、大阪も携わることを決めたわけですから、僕の事をかって大阪プペルに参加してくださっているわけではないのです。
そうなったら、必然的に『自分達が次についていく高橋伊久磨とはどんなもんじゃい』っていう気持ちが生まれてくるわけです。
そして、まだまだ全然ダメ(小野さんの言葉を引用)な世界で戦ったことのない若輩の高橋伊久磨は無惨な敗北をむかえたわけです。
あの日、本当にたくさんのことをご指導いただいたのですが、全てに共通して言えることは『ついていきたいと思えるリーダーになってください!』ということ。
いいリーダーっていうのは自分で全部できなくても良くて、周りからアイデアを最大限拾い上げて、上手く手柄を貰える人。
でもそのためにはしっかりとアイデアを吸い上げられるようなリーダーでなくてはならないし、その関係性を作り上げなきゃいけない。
そしてその関係性を作るには、どんな相手でも初対面の時から遠慮をせず意見をぶつけ合わせて、信頼を勝ち取らなければならない。それができるくらい寝ずに頑張れるかどうか。
全てをぶつけてくださった先輩方にぐうのねもでず、『今まですいませんでした!!』と謝ると、『違うよ!そこでいうべき言葉は、すいませんでしたじゃないんだよ!』とまたもや指導され、八方塞がりとはこのことかという状態に。
でもその次にイジツさんが言った言葉が忘れられないのです。
『イジツさん、つぎ見ててくださいよ!!って言えばいいんだよ!』っておっしゃったんです。
なるほど。この人たちはそうゆう世界で生きてるんだなぁ。と僕の中に稲妻が走りました。
なにも不平不満をぶつけて怒りたいんじゃない。
本気でぶつかる事で気づかせようとしてくれているんだと。
申し訳ない思いでいっぱいだった自分がそれにようやく気づいたその時!突然ハッピーバースデーの曲が流れ始めました。
佐藤さんの手にはデンモク。
そして扉から青色のアフロを被ったイジツさんがキャンドルの刺さったなにか(ケーキじゃないなにか)を片手に、陽気に入ってきてハッピーバースデーの合唱が始まりました。
そう。さっきまでガチダメ出しをしてくださっていたイジツさんがサプライズでバースデーを祝ってくれたんです!!
もう頭が処理できなくなってきた頃に訪れたサプライズで、本当だったら涙が出てもいい瞬間だったと思うんですが、もうわけがわからなくなってしまい嬉しいんだけど、正直まだ心が追いついてませんでした。笑
とにかく、この日から僕は変わる事を決意しました。
絶対にこの人たちと肩を並べるにふさわしい人間になってやる。そう心に刻んで眠りにつきました。
さぁ、いよいよイクマルスウェットが出てきます。
次に再会した時に誕生日のお礼として、イジツさんやバースデーパーティーを盛り上げてくれた方々にイクマルスウェットをプレゼントしたんです。
みなさんすぐに着てくださり、『可愛い!!』『こういうのが欲しかった!』『毎日でも着たい!』『世界一オシャレー!!』と、この世の全ての褒め言葉を言ってくださり、満遍の笑みでした。(きっとそうだったはず)
その嬉しそうなみんなの様子を西野さんに送ったところ、西野さんもめちゃくちゃ欲しがってくださったんですよね!!(確かものすごい勢いで欲しいって言ってたはず)
こんなにも欲しがってくださっているなら、これは絶対に千秋楽にいらっしゃった時にお渡ししないと、大変お世話になったのに失礼になるのではないかと、急遽倉庫に預けていた在庫を取り寄せ、大切にバックにしまい、千秋楽に向かいました。
千秋楽の公演。僕はイクマルスウェットを着て、開場中入り口でお客さんをご案内していると、西野さんはいらっしゃいました。
すかさず受付の机に仕込んでおいたイクマルスウェットをお渡ししようとしたのですが、その時はお取り込み中だった(毎週キングコングの撮影をされていた)ようで、次の機会にすることにしました。
その後も何度か入り口にいらっしゃった時や開演前のカンパニーコールをする時に、イクマルスウェットをチラチラ見て、『こんなの着たくないよー!!』といじったりなんかして気になっている様子の西野さん。
そして、千秋楽の公演はスタート!!
最高のパフォーマンスを届けてくれるカンパニーのみんなにお客様は拍手喝采の嵐でした!
物語の終盤、ルビッチとピアノだけで『ハロウィンの夜にやってきた、体がゴミのゴミ人間、明日も頑張る君に送る、星のお話。』というところでルビッチが全ての思い出を走馬灯のように思い出している様を見て、堪えきれず嗚咽しながら大号泣しました。
↓これについては下記NOTEをぜひお読みくださいませ。
カーテンコールに入り、お客さんの『終わらないでくれ!』という思いと共に鳴り止まない拍手に答えて、繰り返し出てきてお客様に名残惜しそうに手を振るキャスト。
僕の目からは溢れんばかりの涙が溢れていました。
自然な流れでお客さんの拍手は西野さんに向けられました。
その時、突然背中を叩かれてガッツリ肩を組まれました。隣にいたセトちゃんです。顔を見るとおそらく僕と同じような赤い目をしていました。
その次の瞬間、僕の目の前に手が出てきました。
西野さんです。熱い握手をしてくださいました。
そして、西野さんは僕に拍手を向けてくださると、お客さんの割れんばかりの拍手は僕に向けられました。
あの時の光景や音は今でも脳裏に焼き付いています。
突然時がゆっくり進み始めたかのようにスローに感じました。
『これが西野さんの見てる景色か。』
キングダムの信が、王騎将軍の馬に乗せてもらった時とおんなじような感覚が僕を襲いました。(知らない人すみません)
僕は俳優をやっているので、拍手を受けることは経験があるのですが、それとは全く違った感覚でした。
『ありがとう』って言葉がそこらじゅうから聞こえてくるような。
なるほど。
これを目指せばいいのかって。
僕と西野さんが客席を後にして、ようやく拍手が収まり、お客様の送り出しをさせていただきました。
『ぜひ再演してください!!!』という声をもらうたびにお礼を言いながら、心の中では『その時は絶対あの拍手を僕がもう一度もらえるようにするぞー!!!』とメラメラしていました。
さて、全てのお客様を送り出し客席に戻ると衣装姿のキャスト達。その表情は出し切って無防備でもあり、名残惜しそうに切ない表情でもありました。
さあやって参りました。全体撮影の時間です。
ここぞとばかりにイクマルスウェットを片手に西野さんに近寄っていき、そして!!
『西野さんぜひこれきてください!!』
その続きはこちら!!
本当に嬉しかったなぁ。
西野さんもすごく嬉しそうに着てくれて。(笑)
『客席で見れるのを楽しみにしています!』と初めて連絡を取った日から、スナック西野を経て、先輩方からのご指導を経て、さまざまな試練を乗り越え、そしてようやく千秋楽にイクマルスウェットを着てもらうというゴールに辿り着けました。
▼【ホワイト】イクマルスウェット
▼【ブラック】イクマルスウェット
※イクマルスウェットの収益は全て大阪プペルの予算に充てさせていただきます。
その想いについては下記インスタライブで話してます。
一生ものの出会いがたくさん
本当にたくさんの刺激的な出会いがあったこの大阪プペル。みんなの事を書きたい気持ちもありますが、そろそろ長くなりすぎているので、またの機会にしようと思います。
ただ一つ確かなのは、
僕にとってこの『大阪プペル物語』は、大きな大きな人生のターニングポイントになりました。
そして、
これからの僕の人生 “見ててくださいね!”
僕には『日本にブロードウェイのような芸術街を作りたい!』という夢があります。
果てしない夢ですが、今回の出会いで本気で目指してゆく事を決意しました!!
どうぞこれから僕が夢に向かって奮闘する姿を応援していただけたら嬉しいです!!
そして、そんな僕の夢を一緒に夢見てくださる方々のコミュニティ【オンライン芸術街ETERISE】というものがございます!
来年からこのコミュニティも大改造していく予定ですので、合わせてぜひオンライン芸術街の住人になっていただけたら嬉しいです!!
よろしくお願いいたします。
それでは、ここまで長い文書を読んでくださり本当にありがとうございました。
皆様とまたどこかで、そしてえんとつ街で再会できます事を心より楽しみにしております!!
この度は温かい応援を本当にありがとうございました!!!
カンパニーのみんな!!!
大好きだ!!!また再会しましょう!!!
そしてまたお仕事ご一緒できるように精進いたします!!!
これにて大阪プペル物語第1章
完!!!!!
▼ 【拍手喝采のあの冒頭シーン大公開!!】ミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪公演
▼配信ver.1
12/10(土)17:00〜
トークショー 近藤(プペル/ブルーノ)・阿部(スコップ)・末谷(ルビッチ)
▼配信ver.2
12/11(日)12:00〜
トークショー 近藤(プペル/ブルーノ)・松原(ダン)・下村(ベラール)
▼配信ver.3
12/14(水)19:00〜
トークショー近藤(プペル/ブルーノ)・谷口(ローラ)・山科(スーさん)・黒川(アントニオ)・伊藤(レベッカ)
一茶企画
高橋伊久磨