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はじめてデジカメをつかった、はじめてのサーキットベンディング
OMMF2018で影響をうけた技術の一つであるサーキットベンディング。
何をしているかと言えば、(主に)おもちゃの回路を改造して新たな用途を生み出す行為です。特に音楽分野では、この手法がおもちゃを楽器として活用するために使われていることが多いようです。
実は、この方法を知ったのはOMMF2018でお会いしたKaseoさんと世紀マ3さんの作品がきっかけでした。「こんな面白い方法があるのか!」と感動したのを今でも覚えています。私は音楽ではなく写真表現を主軸としているため、この手法を写真に応用できないかと考え、カメラをサーキットベンディングすることでノイズの乗った面白い写真が撮れるのではないか、という結論に至りました。
そこで、早速メルカリで分解しやすそうなカメラを探していたところ、【アンパンマンはじめてデジカメ2】が安価で売られていたので即購入。火曜日の夜に到着し、その日のうちに分解して改造を開始。水曜日には投稿しているので、出会ってからわずか3日で作り上げたことになります。こういうフットワークの早さだけは、自分でもちょっとした自信があります。
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このカメラを選んだ理由の一つは、先に挙げた先人たちからのアドバイスです。「改造しやすい筐体の方が良い」という意見を参考にしました。一般的なデジカメは内部のレイアウトが最適化されすぎており、新たな要素を組み込む余地がほとんどないだろうと判断しました。
まずは簡易オシロを使って波形を解析しようとしたのですが、得られたデータが予想以上に謎だらけで、正直手に負えませんでした。そこで、思い切って色々な部分をショートさせながら作り進めました。結果的にオシロスコープの存在意義が薄くなってしまいましたが、思い切りの良さでなんとか完成に近づけました。
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とりあえず完成です。
試写
まずは可変抵抗を回して像を動かしてみましたが、抵抗値が大きすぎるのか、つまみの動きに対して像の変化が非常にピーキーな印象です。今後は抵抗の値を調整して、できるだけスムーズにコントロールできるよう改良したいと思います。
元の画質は約30万画素相当で、現代のデジカメでは考えられない低解像度ですが、このようなグリッチ感のある独特な雰囲気には意外とマッチしています。
特に個人的には、この可変抵抗のつまみを動かし、像が変化していく様子が面白く感じます。いわゆるシャッタースピードや絞りをコントロールするのとは異なり、まるで機械と対話しているような感覚があり、そのプロセス自体が楽しいです。
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今後について
サーキットベンディングとは直接関係ありませんが、まずはバッテリーを換装したいと考えています。このカメラは元々の仕様で電池の持ちが非常に悪く、ほとんどジャンク状態でした。そのためAmazonでも酷評が多く、それが安価で手に入った理由だろうと思っています。
ノイズという表現は個人的に非常に好みなのですが、自分のステートメントからは少し外れている感覚もあり、この衝動をどう折り合いをつけるかを模索している最中です。ただ、実はこれまで大きく発表していないものの、ノイズをテーマにした作品もスキャナカメラで撮影しています。
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これは、スキャナカメラのキャリブレーション時の異常、もしくは露出設定の不具合によって発生する現象ではないかと考えていますが、まだ原因を特定できていません。
サーキットベンディングをカメラで実施している方は、海外を含めスキャナカメラ同様、一定の割合で存在しています。また、カメラに意図的にノイズを付与するという発想も数名の方が取り組んでいるのを知っています。そのため、こういった写真がオリジナリティに満ちているかと言われれば、そうではないかもしれません。
それでも、機械(カメラ)と対話しているような感覚が楽しいのです。これはソフトウェアでの加工とは異なり、JPEGへの変換や脳内に直接アクセスされるような独特の感覚が伴います。この感覚は、実際にやってみないと分からない楽しさだと感じました。
ただし、意図的に操作して意図しない状態を生み出すことは非常に難しいものです。それでも、このテーマに関しては時間が許す限り、今後も挑戦を続けていきたいと思っています。
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