UROP体験記(2023Aセメスター)
はじめに
東京大学で開講されているUROPという講座(?)に関する情報と、実際に受講した私の感想で構成されている。UROPを受講することが目的の方は、「UROP受講の注意点」までを読むといいだろう。
UROPとは
まずUROPについて説明する。UROPとは東京大学で開講されている研究体験入門講座のことである。学部1,2年生向けでSセメ、Aセメの両方で開講されている。詳しくは公式HP(https://www.oshimalab.iis.u-tokyo.ac.jp/UROP/)を見てもらうといいと思う。
雑に要約すると、駒場IIキャンパスにある生産技術研究所に所属する研究室でS/Aセメ+長期休みの間、研究の真似事をする講座である。
UROPと似た講座として、「生命の普遍原理に迫る」みたいな名前のついた通称:普遍ゼミが存在するが、これは各自調べてください。違いとしては、当たり前ではあるが、所属できる研究室が違うことと、UROPでは最終的にUROP発表会で発表するのに対し、普遍ゼミでは発表は強制されないことくらいである。
UROP受講の流れ
私は2023年AセメでUROPを受講した。そのためSセメでの事情や、2024年以降について確定したことは言えないが、ここでは流れを説明しようと思う。これも公式HPで公開されている情報ではあるが、具体的な時期も交えて説明しようと思う。
UROPを受講登録するまで
UROP受講の注意点でも書くが、そもそも所属したい研究室が存在しない場合はUROPを受講せずに、行きたい研究室に連絡して見学に行けばいいと思う。
興味のある研究室を公式HPから探す。過去の受講生のテーマという部分をクリックすれば、今までの研究テーマを閲覧できるのだが、私の環境では新しいタブで開かなければ閲覧できなかった。その中で興味のある分野があれば忘れないようにメモでもしておくと良い。過去に受講生が存在しない場合や新規研究室でも受け入れてくれる可能性はあるので、生産技術研究所のHPなどから研究室を探すのも手だと思う。
次にガイダンスに参加するといいだろう。そこでUROP事務局の人などから履修方法や実際の流れが提示される。一部の研究室はガイダンスの一環として見学できるので、もし都合が合えば参加するといいだろう。
その後、所属したい研究室の候補をUROP事務局にメールする。その際に志望動機を求められるが、短くてもいいと思われる。思いの丈をぶつけよう。また、希望する研究室が他の受講希望者と被った際に志望動機を考慮すると言われるが、1セメスター間で6、7人の受講生しかいないので滅多にないと思われる。
メールを送ってから1週間ほど待つと研究室とマッチングした旨が事務局から伝えられる。その後、自分から研究室の方に連絡し、面談をするという流れになる。私はここまででおよそ1ヶ月かかった。Aセメだったので11月に入ったくらいのことだと思う。
研究内容について
おそらく研究内容について心配している方がいると思う。面白そうな研究室を見つけても、学部生が思いつくような研究なんてたいしたことない。中にはすごく興味深い研究テーマを元から持っている人もいるが、別にそうでなくても心配する必要はない。研究室との面談の際に、向こう側がおおよその研究内容を決めてくれる。進行状況によって目標は変わりうるが、何も研究テーマを考えていなくても研究はスタートできる。
また、研究する分量は研究室に通える時間である程度向こうが調整してくれる。私は何も考えず履修登録したため平日の5、6限に行ける日が2日だけだった。パソコンを使ったシミュレーションなど自宅でも可能な場合は直接研究室に行く必要がないため、研究内容で変動はあると思うが、忙殺されることはないと思う。
報告書の提出
UROPでは研究発表会の2週間ほど前に報告書を提出することを求められる。その時点での進捗状況を報告するだけなので成果が出ていなくても焦る必要はない。また、研究テーマが思いつかなければ研究室の人に聞くといい。
研究発表会
約半年間の成果を発表するだけである。発表会のテーマや時間割などは外部に公開されるが、おそらく発表会自体は外部に公開はされていない。参加者の人数にもよるが、私の時は6名の発表者に対して、発表12分・質疑応答3分だった。他の受講生の研究内容は難しく感じられるが、感想や質問は積極的にしたほうがいいと思う。
最後に研究室の方に感謝を伝えてUROPは終了する。
UROP受講の注意点
UROPを受講する際の注意点を書こうと思う。思いついた順で書くので読みにくいかもしれない。
研究室に興味を持てなかった場合は受講しないほうがいいと思われる。忙殺されないとは書いたが、十分に忙しくなるので最後まで興味を持って取り組めるだろうところに所属したほうがいい。
1年生はAセメで受講したほうがいいと思う。東大に入学して最初のセメスターでUROPを受講するのはあまりお勧めできない。まずは大学生活に慣れたほうがいいと思う。入学当初の万能感で手を出したくなる気持ちもわからなくはないが、身の丈に合わなければ身を滅ぼすのでよく考えたほうがいい。1年生のAセメもしくは2年生での受講の方が良いだろう。特に2年生のSセメは人によってはあまり講義を入れなくてもよくなるので、暇になった時間で研究をしてみるのもいいだろう。
体調を崩しそうになったら早め連絡して休むようにするべきである。私は一度インフルエンザに罹って休んだが、無理をしてまで研究しない方がいい。健康第一だ。
おそらくこれくらいだと思う。UROPは大学生活が楽しくなる反面、忙しくもなるので十分に考えた上で挑戦した方がいい。だが、受講するか迷った場合はとりあえず挑戦してみよう。
UROPを受講した感想
最後にUROPを受講した感想を書こうと思う。この部分は感想なので興味のない人は読む必要はない。
私がUROPを受講したのは先輩の影響があってのことだ。話を聞く限り面白そうで挑戦しようと思った。しかし、研究室に配属されるタイミングで自分の履修があまりよくないことに気づいた。研究室に行ける日が週に2日しかなく、また両日共に短い時間しか居られなかったからだ。最終的にはなんとかなったが、もう少しちゃんとした結果を出したかったのでここは心残りである。
研究室の方々は私に非常によく接してくださった。特につきっきりで私の実験を監督してくださった院生の2人には頭があがらない。研究室の皆さんが親しみやすく話しかけてくださったおかげで慣れない環境ではあるものの非常に心地が良かった。
これは研究室のボスも言っていたことではあるが、UROPは研究の真似事をする講座である。学部1年生が本物の研究をできるわけがない。優秀な方は別だろうが、私のような学生では本物の研究者に敵わない。あくまでも実際の研究を体験するものであり、実際の研究をするものではない。それでもUROPを受講する大いに価値はあることは言うまでもないが、この体験を通して、私は自分の未熟さが痛いほどにわかった。
それは、先行研究を読んでわかった気になっても、実際に発表資料を作る時にうまくまとめられなかったり、人に聞かなければ考察を書けないなどの形で私の目の前に現れた。自分のしてきたことが、うまくレールの上に乗せられていたことに発表会前に気づいた。実験をしている間は達成感で気づけなかったが、私は研究テーマについて何もわかっていなかったのだ。事実、考察を書くことが本当に難しかった。発表スライドの構成を考えるのが難しかった。もっとちゃんと先行研究を読んでいたり、わからない時にちゃんと研究室の人に質問するべきだったという後悔は今も残っている。これ以上具体的に書いても取り留めがないので書かないが、考察が書けなかった時の無力感は今でも忘れることができない。
この経験は悪いことではなく、むしろ良いことだと思う。1月の終わり頃にD進しようと、ふわふわとそんなことを考えていた。しかし、UROPで自身の無力さや研究の難しさを体感したからこそ、今は本気で挑戦しようと思っている。これから何があるかわからないが、UROPでの経験は忘れずに邁進していきたい。
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