iGEMのスポンサーが提供するものについて

iGEMのアドカレ2の12/1です。あまり埋まっていないのでこのままだと私が空いている日を全て書くことになるかもしれません。

今回はiGEMについて言及します。おそらく他の人が書くであろうどのような記述よりも役に立ちます。なぜならば、参加者が無償で利用することのできる試薬やサービスについて記載します。存在は知っているが使用感が分からないので手を出せていないものや、そもそも知らないものを提供できると思います。

iGEMの公式HPにはスポンサーに関する情報が載っている箇所があります。しかしながら、一部のスポンサーが提供するもののみを掲載しており、全ての提供物が明示的に公開されていません。ここに情報格差が存在しているとは思いませんが、誰もがさまざまな支援にアクセスできる状況を作ることで日本国内のiGEMチームのお金周りの問題を多少改善できると思います。

IDT

IDTは長い間iGEMのスポンサーをしており、おそらく最も大きな支援をしている。「20kb分の核酸を提供する」ことになっているが、実際には20kbの購入金額と等しい3200$分のIDT製品を購入できる。これはDNA以外にもRNA 、核酸の修飾やCRISPR Cas9, 12a周りの購入にも使用できる。

申し込みの時期は例年4, 5月だが、公式から発表がなければ申し込むことができない。上記リンクは2024年のものであり、2025年以降にここから申し込むことはおそらく不可能である。サイト内の指示に従って手続きを進めていくことで申請が完了する。その後は、登録したメールアドレス宛にIDTから連絡がくる。実際に利用できるようになるまで1週間程度かかる可能性があるので、実験を始める直前ではなく、申し込みが可能になった段階で先に申し込むことを勧める。

製品の注文後、手元に届くまで1-2週間ほどかかる。日本国外の工場で製造することが原因である。はやめはやめの購入を勧める。また、国内で合成オリゴの合成を行う会社(eurofinやfasmacなど)は、最も早い場合で翌日から数日で手元に試薬が届くので、早急に試薬が必要な場合は、IDT以外の選択肢も用意しておく方がよい。

申し込みは早めにするよう上に記載しているが、申し込み期限が9月の頭、ラストオーダーは9月末となっている。変更される可能性がないと言い切れないので、各自に確認することを勧める。

Twist

TwistもIDT同様に合成オリゴのスポンサーを行っている。10kbまでの購入が可能であり、手続きもおおよそIDTと同じである。Twistは詳細な注文方法が上記リンクに掲載されているので各自参照されたい。

IDT同様、試薬が手元に来るのは注文後1-2週間程度かかる。
また、ラストオーダーは10月中旬とIDTよりも長い。

GenScript

GenScriptも上記2社と同様に合成オリゴのスポンサーを行っている。700$分の購入が可能であり、手続き方法は上記ページに掲載されている (GenScriptに関しては私たちのチームは利用していないため、詳細については分からない。しかし、iGEMの運営やGenScriptに問い合わせることで利用に関する疑問点を解消することができる)。

GenScriptは中国チーム向けにkitの提供をしているが、日本チームには提供されていない。

ASIMOV

ASIMOVは上記とは打って変わって配列設計software 'Kernel'提供を行なっている。私たちのチームは使用しなかったが、iGEMに登録されているparts(信用するかは各自に任せる)も参照することが可能である。そのほかにもKernelの使用方法をウェビナー形式で教えている。Kernelは電子の実験ノートとしても利用することができる。申し込み方法については上記リンクを参照されたい。

加えてASIMOVから2024年にはdistribution kitが提供された。私たちのチームは利用しなかった。内容物は変更される可能性があるため、上記リンクを参照されたい。プロトコルやトラブルシューティングも記載されている。私たちのもとに届いたdistribution kit内の試薬6本全ては製造年が2021年のものであり、一般的な保存期限を過ぎており、性能を信頼することができなかったことを伝えておく。

SnapGene

SnapGeneもASIMOVと同様に配列設計の補助や電子実験ノートのsoftwareを提供している。SnapGeneはiGEMのスポンサーではあるが、今まで参照していたようにiGEM公式ページからサービスを申し込むことができない。おそらくいくつかの熱心なスポンサー以外の情報は掲載しない仕組みになっている。余談だが、SnapGene以外にも何かしら提供しているが公式ページに掲載されていない企業が存在する。iGEMのスポンサー一覧はおそらくJamboreeページでしか全てを見ることができない。そこに掲載されている企業に直接連絡を取ることで何かしらの支援を受けることができる可能性がある。

Ginkgo

Ginkgoはメンターや技術的な問題を解決するといった支援を提供している。iGEMは毎年global slackを作成しており、そこに専用のチャンネル '#igem-partner-ginkgo'が存在する。専用チャンネルで質問することができる。

MATLAB

MathWorksが提供するMATLABを利用することができる。モデリングへの使用が想定されている。製品の他にも使い方について動画が提供されている。

NEB

New ENGLAND Biolabsが実験に必要な試薬を提供している。NEBが販売する試薬10万円分程度(2024年)を無償で提供してもらえる。これは細胞培養に必要な試薬だけでなく、等温増幅に必要な試薬も申し込むことが可能である。日本国内ではほとんどのチームがこのスポンサードについて知らないと思う。

申請に際して、提供可能な試薬一覧表を渡されるが、そこに記載されていないがNEBで取り扱っている製品についても提供してもらうことが可能である。

終わりに

以上は少ないながら私が知っているスポンサーの提供する製品である。スポンサーの中にも寄付金額による階級が存在するが、提供しているサービスについてそもそも掲載されない状況は参加者にとっても良い状態とは言えない。Jamboreeページをスクロールしていくとスポンサー一覧が掲載されており、そこにある企業に片っ端から連絡を出すことで、未だ知られていないサービスを利用することができるかもしれないので、もし資金や物資面で困っていることがあれば、連絡を出すのも良い選択である。

今後、新しく利用できるサービスが判明すれば、この記事を更新していきたい (頑張ります)。

参加者の皆様を応援しております。

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