Project設計と初期のチーム作りについて

iGEMのアドカレ2です。まともなことを書いて行きます。

はじめに

今回から4, 5日かけて私が経験した範囲でのiGEM Jamboreeに向けた指南書的なものを書く。指南書とは書いたが、実際に役に立つかはわからず、良い部分悪い部分があると思うので、適宜必要に応じて飲み込んでほしい。

今回は最も重要なProject設計チーム作りについて記載する。この記事を書いている12月だと前者について熟考しているチームが多いと思う。具体的なProject案を与えるわけではなく、思考法や洗練するために行った方が良いことを述べる。また、後者のチーム作りはチームリーダー以外のメンバーも一読することを勧める。チームの形成はリーダーだけでは行うことができないからである。

(もし読んでていて間違っていたり不快だと感じればそこを飛ばすかタブごと消して見なかったことにして、自分の信じる道を進んでほしい。)


Project設計

この段階 (文章)ではそこまで大会の評価基準や大会の意味などを意識しなくてもいいと感じている。あくまでも、よりよく見えるprojectの設計方法について記載する。

全体の流れは
アイディアを考える→学生間で議論→PIやHP時に議論→project開始
となる。

アイディアだし

2024年のUTokyoではProjectを決定するために、毎週のミーティングでその週に考えてきたアイディアを発表し、互いに質疑応答した。持ってくるアイディアは異なっていても前回のブラッシュアップでも他のメンバーのアイディアに乗っかる形でもよい。ここで問題となるのは、

  • そもそもどうやってアイディアを出すのか

  • アイディアをどのように伝えるのか

  • どういった質疑応答をするのか

の三点に集約されると考えられる。順を追って説明していく。
まず、一点目の、「そもそもどうやってアイディアを出すのか」について。これは個人によって変わってくると言ってしまえばそれでお終いだが、オーソドックスな方法としては、論文や教科書を読む、講義資料を振り返る、過去のiGEMのprojectを見るなどがある。自身がピンとくるものが見つかるまで、思いつくまで、考えられるまで頭を悩ます他ない。他に私が実践した方法としては、メンバーと色々議論する、自分の身体を見て課題になる部分を探す (医療、ファッションコスメ)、ネットサーフィンをする、過去に潰したアイディアから着想を得るなどを行った。特に医療系は自分の身体を見ると思いつきやすいかもしれない。

近年のiGEMの評価傾向から社会課題を出発点とするアイディアが強いように思えるが、技術からでもストーリーを作れさえすれば問題ない。どちらが先かはそこまで意識しなくてもいい。一応工学的な大会を謳っているので、ただ面白いだけで応用先を考えていないものは厳しい。funcationalに出す場合であっても応用先が存在していなければ評価されない傾向にある。

アイディア出しの期間で最も厳しいのはメンタルの問題である。チーム作りにも関わってくるが、この期間は目に見えた前進が存在しない。一年間というタイムリミットが見えているにも関わらず、出発ができない状態は大きなストレスになる。追い込めば追い込むほど良いものが出る人もいるが、気分転換も重要なアイディア出しの一環になる。この時にメンバーと色々話すことで、苦楽を共にした仲間意識が芽生えたり、良いアイディアが出てくることがある。特に、長い時間を一緒に過ごすことは、無意識のうちに仲間意識が芽生えさせ、関係性を構築するのに便利な手法でもある。一つ注意する点としては、頭を悩ませないで良いものが浮かんでくるという芸当ができる人は少ないということだ。自身が潰れない程度に適切に追い込むことを勧める。

次に、二点目の、「アイディアをどのように伝えるのか」について。2024のUTokyoではアイディアを文章またはスライド形式で発表するようにしていた。発表形式を取ることでいい加減なものを持ってこないという強制力と、考えていることが他者に伝わるように整理してくるよう仕向けられる。その内容もテンプレートを用意し、最低限考えなければならない項目を考えてくるようにした。その項目は、タイトル、背景や現状、解決方法、遺伝子回路、問題点の5つである。2024年は社会課題からのアプローチを行っていたため背景と現状についての項目がある。当たり前のことを書いているが、ちゃんと明文化しておくことで考えてくるようになる。

遺伝子回路は非常に重要である。iGEMはpartから始まることに誰も異論はないだろう。そのため遺伝子回路を作成し、それを登録する営みが行われている。昨年の上位チームを見てもpartの数やその説明などが高く評価されている。一人では完結しない科学において、iGEMではpartこそが最も後世につながる存在である。遺伝子回路のないチームは相対的に弱く見えてしまうというよりも、別種のものとして捉えられている可能性がある。極力、遺伝子回路のあるアイディアを考えた方が良い。

(UTokyo 2024は酵素と合成オリゴによってシステムを構築し、diagnosticsの宿命かもしれないが遺伝子回路が存在しない。簡素なpartの登録は行ったが、他のチームと比較して異質である。ここがUTokyoの失敗かもしれないが、UTokyoのようなcellやcell freeでない核酸工学であってもpartは不利にならない。私はiGEMの大切にしている明文化という行為を怠ってしまった。私たちのpartは私たちのprojectで完結している。それによりpartの登録をおろそかにしていたが、他者が使うことができれば、そのpartの発展性は問題ではない。私たちはpartの登録において、なぜその配列なのか、実験はどのように行われたか、どのような結果が得られその結果をどう解釈するのか、など、適切な文章を与えてやるべきであった。iGEMで要求される文章は全てが丁寧に明文化されているべきである。)

問題点を持ってくるように指定しているのは、完璧なprojectがないことを自覚することに加え、いつかぶつかるであろう問題を現時点でどの程度想定できるのか、どうしてそれらが問題になるのかを洗い出し、そのアイディアの解像度を上げる他、別のアイディアを考える時にも同様の問題がないか意識できるという効果がある。チーム内で競争する必要はないが、自分のアイディアには愛着が湧き、それをprojectにしたいと思ってしまい、弱い部分には目を向けたくないと感じる。愛着が湧くことも研究したいことも何も間違いではないが、客観的に評価するために一度問題点を挙げてみることが大事である。個人的にはこの行為が一番アイディアだしで意味があったと思っている。

そして、三点目の、「どういった質疑応答をするのか」について。これは特殊な質疑応答ではなく普通の質疑応答である。本当にそのアイディアで課題を解決できるのか。こう言った部分が弱いのではないか。すでにやられている可能性や断念されるに足る問題があるのではないか、など一人では想定できない部分までメンバーで考えることができる。普通の質疑応答と書いたが、これはたまに陥ってしまう「頭がいい人が考えたから問題なさそう」といった諦観から賛同することを避ける意味合いがある。アイディアからprojectに昇華したものを一年間取り組む可能性が限りなく高いので、アイディア出しの時点で進行の妨げになる障害をはじいておくことが重要である。

気をつける点と言えば言葉遣いや態度である。舐めた態度の発表やぬるいアイディアであれば叩いても良いと思うが、チームの雰囲気が悪くなるような悪意を持った質問は控えた方がいい。それで回っていくチームもあるとは思うが、他者のメンタルも自分のメンタルも過信しない方がいい。

今までの話と少し離れるが、アイディアは課題の解決をするものである方がよい。現状のvillageとJudge制度の兼ね合いにより、Judgeが必ずしもprojectの対象について知っているわけではない。またひどい場合だとvillageについての知識もない可能性がある。そうなるとproject自体がわかりやすく、わかりやすい結末を迎えるものにするべきである。前者は多くの場合でなんとかなる。なぜならば、複雑なprojectはそもそも達成するのが難しく、結果としてわかりやすいものが出来上がる。問題は後者である。現在の社会課題を解決することは難しいが、改善で止まってしまうとJudgeによっては低く評価してくる可能性がある。これはその分野に詳しくないJudgeの知識不足が問題ではあるが、知っていれば事前に避けることが可能である。iGEM Jamboreeが他者から評価される形式のコンペティションである以上、見栄えの良いチームの方が強い。projectによって社会課題が改善したと書くよりも解決したと書ける方が強く見える (1年間の研究で社会課題が解決できるのであれば、世の中の問題はほとんど解決していそうだ)。そうと分かればコンペに勝つために、アイディア出しの段階から改善ではなく解決を目指すべきである。

(UTokyo 2024のdiagnosticsを例にする。私たちは緑内障の検出を目標としており、そのためにバイオマーカーの検出を行った。これによって緑内障の早期診断に貢献したが、おそらくJudgeは緑内障の治療法の開発を求めている。diagnosticsであるにもかかわらずだ (これに関して言いたいことはそれなりに多くあるが、ここでは記載しない)。ではどうすれば良いか。2つ考えられる。1つは、そのバイオマーカーに関する何かしらの治療法を生み出す。もう一つは、バイオマーカーの種類を、治療に直接関与するものを検出するように変更する。これができれば何も苦労しないという改善案である。コンペで勝つためには、もはやprojectを変えた方が良いレベルだ。
正直その程度の大会である。「良い研究→良い評価」という図式も、「良い評価→良い研究」という図式も成立しない。これから参加される人にはこのことを知っておいてもらいたい。もしただコンペに勝ちたいのであれば、アイディア出しの段階ではどう見せるかを考えるだけで良い。真剣に社会課題に取り組むことの批判ではなく、どれだけ良いものを作っても大会で評価されない可能性があるということを知っておいてもらいたいという意味合いがある。大会の評価基準自体が良いものの創造ではない。そこについてはWaseda-Tokyoのリーダーの洞察が適しているように思える。
正直なところ、これを書くことでアイディア出しに悪影響が出るかもしれないが、Jamboreeで屈辱を味わった身としては書かずにはいられなかった。)

Projectへの昇華

さて、アイディアだしで良いものが出たらそれをprojectへ昇華させる作業に移る。2024のUTokyoではアイディアだしで出たものから2, 3個ほど選んでさらに調査を進めていった。その分野に関してより広く調べたり、既存手法が存在するか、またそれはどうやって行われているかを調べた。この段階ではアイディアごとに少人数のチームもどきを作り、手数を増やした。

追加調査の中では、未開拓領域や新規性のある手法が見つかる他に、そのアイディアの根幹を揺るがすような研究が見つかることもある。前者の場合であれば両手をあげて喜べるが、後者の場合であっても喜べる。7, 8月ごろになってprojectが頓挫する可能性を消すことができるからである (UTokyo 2023)。ここで調べる時間はあればある方が良いが、時間制限を決めて次の段階に移らなければ締め切りがあっという間に来てしまう。

UTokyo 2024では学生内でのアイディアだしとブラッシュアップの次にPIにそれを持っていく工程を挟んでいる。チームの特性上、PIの専門とかぶっていることは少ないが、学生のよりも研究に長けており、今後wet, dryを監修してもらう立場の人たちから現時点のアイディアが可能がどうかを判断してもらうことが必須である。他にも、ラボで行うことのできない実験などが考えられればそれを指摘してもらう。(学生主体の活動といってもプロの目を通した方がいいし、極論プロのおこぼれでもなんでも利用すればいい (常にリスペクトを忘れずに)。)

ここからはチームによって進みが変わってくるとは思うが、projectに昇華した後はすぐにHPを行う。PIがそのprojectに関する専門家であれば最も心強いが、必ずしもそうとは限らない。特にそれが問題になることもない。projectに関する専門家に即座にアポを取り、現時点での考えを聞いてもらったり、そのprojectに関わる現状などを教えてもらう。それによってprojectの実現可能性や到達点をより具体的に考えることができる。多くの人の目を通す方がより良い準備ができる。先行研究の著者や、その分野のトップランナーと議論することで、読みの甘さや暗黙の了解を指摘してもらえる。多くの方はお忙しいにも関わらず学生の活動を応援したいという考えをお持ちしており、無償で相談に応じてくださる。そういった厚意を無駄にしないようにHPを行う前により詳しい調査をしたり、伝える練習をした方が良い。

もし、大人たちにprojectを進めることを渋られればその時点で一度立ち止まりアイディア出しに戻った方がいい可能性がある。残り時間にも依存するが、1年間と金を無駄にしないためにもよく考えたスタートを切ることを勧める。逆にprojectを勧めてみてもいいのではないかと賛同してもらえればすぐにスタートした方がいい。UTokyo 2024ではHPをさせていただいた先生方の中でその後も相談に乗ってくださることを打診した方もいた。(本筋とそれるが、この時点でiGEMへの出場をやめて共同研究をするという手段もある。Jamboreeだけが全てだと思ってほしくはない。思想が出てしまうのでこの辺で言及を控える。)

HPについて記載する時にも書くと思うが、どのような先生にHPを行うのが良いか。
まずは、projectの先行研究の著者に連絡をするのがよい。それそのものについて一番詳しいからである。また論文を読んでもそこに記載されていないtipsなどがある。実験を行う上で気をつけなければならない点を聞き出せるとよい。特に、methodが不明瞭な論文が多くある。bufferの濃度が間違っていたり、曖昧な表現によって手順が不明な時がある。再現性を取るためにもそういった細々とした条件についてちゃんと聞き出すことが重要である。特に、bufferが実験結果を大きく左右するので確認した方がいい。

次に、権威主義的ではあるが、その分野のトップランナーに連絡をするのが良い。当然ながら彼ら彼女らは忙しいが、評価されているだけあって我々の持ち得ない幅広い知識と深い洞察力がある。projectに関わる分野全てのトップランナーに話を聞けるとかなり良い滑り出しになると思う。

この段階でのHPにはHP班以外のメンバーも参加した方が良い。今後実験棟で忙しくなることを考えるとHPに顔を出せるのはこの時くらいであることに加え、メンバー全員が初期段階でprojectに関する理解を深める必要がある。例えば、「肺がん」についてのprojectを進める際に肺がんがどういった機序で起こるのか、どういった症状や治療法が存在し、現時点ではどのような問題があるのか理解しておくことが重要である。全員がprojectの対象に精通していることは常に意味を持つ。

Projectの初動

メンバーとの議論、PIとの議論、HPを通しprojectが決定したとする。ここからの動きも非常に重要である。まずは、チームメンバーの役割を決定する。wet, dry, HP, eduなどメンバーの数には限りがあるので、適切に割り振る必要がある。班ごとにリーダーを置く方が良い。チームリーダーが多くの意思決定をするのはいうまでもないが、各班での意思決定は各班のリーダーが行う形式にすることで、責任の適切な分散が起こる。また、projectの進行をスムーズにする。

ここからは具体性が高くなり、方針について書きにくいが、特に大事なことだけを書こうと思う。
まず、wet, dryは互いのことをよく知っておかなければならない。iGEMにおいてwet, dryの両方がうまく噛み合っていることがprojectの進行をより良くし、また良い評価をもらえる可能性がある (何度も書くが評価に関してはJudgeによる)。どのような実験を行うのか説明し、データが取れたらすぐに共有し、得られた知見を相互に教え合う。これは将来行うであろう共同研究の土台にもなり、iGEMに止まらない効果がある。また、情報共有不足による混乱を避けられる。

次に、HPはガンガン行っていくべきである。チーム内でHPによって得られた重要な知見を共有し、projectの改善、方針転換を積極的に行っていくべきである。そのためには早期にステークホルダーマッピングを行い、HPをする相手を探しておく必要がある。HPでのボトルネックは連絡が取れてから実際にHPを行うまでの時間だ。話を聞く相手がわかっているならなるべく早く連絡を出した方が良い。私はHPがiGEMにおける最も重要な営みだと考えており、HP班以外もできれば参加してほしいという立場である。参加できない場合でもHPによって得られた情報を余すことなく吸収してほしい。そのためにもHP班は毎回のHPの文書化を丁寧に行い、参加していない場合であっても理解できるような報告を行う体制を作ることを勧める。

そして、educationは方針を考えてから実施するべきである。projectに関わるeducationを行うことで、その活動への正当性や意味が与えられるからである。アンケート調査の内容などもprojectに関係することの方が良い。iGEMはeducationにおいてiGEMや合成生物学を広めることだけを目的としていない。しかしながら生物学を広範にわたって広めるのではなく、projectに紐づいたものでなければならないとUTokyo 2024のjudging feedbackから理解した。然るに、projectが決まってから、そのprojectに関係するeducationを行うべきである。また、educationを始める前に、教育工学の専門家や科学のアウトリーチ活動を行っている人にHPを行うことで、活動に正当性を与えるだけでなく、より良い活動へと昇華することができる。(educationは評価のために行うという側面はあるが、それだけではあまりにもコストが高い。iGEMに止まらない活動として捉える方が健全だと思っている。)

まとめ

途中で反省や思想が出て長くなってしまったが、project設計の方針は以上である。少しでも皆さんの役に立つことを願う。

チーム作り

共同研究にチームの雰囲気や体制が大きな影響を与える。ほとんど私の個人的な考えだが、空中分解を避けるためにももう少しだけお付き合い願いたい。

チームの雰囲気

チームの雰囲気が険悪だと、活動の節々で悪影響が出る。議論は荒っぽくなり、責任の押し付け合いが起こり、最悪の場合チームが壊れる。馴れ合いをしろというわけではなく、個人的な感情によって活動を左右してはいけないことを伝えたい。本当は説教じみた「責任」について記載したいが、おそらくお望まれていないので本題に入る。

日本人の傾向として、会議の時間が長いことが挙げられる。これは一緒にいる時間が長いことで仲間意識が芽生えるからである。一年間を共にする以上仲間意識は必要である。幸いにもiGEMには考えるべきことが多くなり、ミーティングの時間が長くなる。projectが始動するまでに何度も顔を突き合わせ一緒にいる時間を増やすようにしたい。おそらくオンラインよりも対面の方が効果がある。早いうちから長時間の議論をしておくことを勧める。

議論をする上で障害になるのは人間の気持ちである。指摘して逆上されたら怖い、指摘するだけでいいのに一言多い、寝てる奴がいて不快、などこれらの気持ちは邪魔である。寝てる奴にも色々あるかもしれないが、議論をする上で不安や苛つきは議論の内容だけでなくチームの雰囲気にも影響する。私はチームリーダーとして圧迫感のある場を作ってしまった反省があるが、誰もが気持ちを気にせず議論できる場を形成したい。そのために、言い方や表情などに意識を向ける必要がある。議論は相手を傷つけるためではなくより良いものを作るためにある。少しの配慮が大きな効果をもたらす。

熱意も必要だ。気持ちは要らないと書いたのに感情論を持ち出していて申し訳ないが、iGEMに対する熱意を全員が同じだけ持ってほしい。主体性と言い換えても良い。チーム内で主体性に差があり、熱心なメンバーとそうでないメンバーに別れた時、メンバー間に要らない気持ちが生じる。同じ目標に対して同じだけの熱意を持って取り組む必要がある。そのためにはチーム内での目標を設定することが効果的である。iGEMで勝ちたいのであれば、勝つための戦略を議論したり、社会課題の根本的な解決が目標であれば、課題について調査するなど、一つ目標に向かって全員が努力することを勧める。その点でHPに全員で参加するというのは大きな意味があり、projectに対して主体性が芽生える機会となる。

カリスマ性を持ったチームリーダーならこの雰囲気が最適ではないかもしれない。トップダウンによってうまく回るチームもあるだろう。ただ、トップダウンが先鋭化し、一年間の付き合いだと割り切ってメンバーに圧をかけパワハラが蔓延るようなチームを作ってもそれはリーダーの責任である。一つ言いたいのは、そういったチームが崩壊した時の責任をリーダーがとらなければならないということだ。多くの方の支援によって活動しているにもかかわらず、リーダーの身勝手な行動でチームを壊すことに関してどれだけ想像できているのか。学生とはいえ大きな責任が存在することを念頭において圧政を敷いてほしい。

チームの体制

共同研究をする以上ある程度の体制づくりが必要である。あらゆる規則を明文化する手法もあるが、それでは少し堅苦しい。緩やかだが全員が自然と守るような形が私の理想である。どちらにせよprojectの初動の段階でルール形成をしたり、口酸っぱく伝えることで体制を作っていく。私が必要だと考えるルールを以下に記載する。情報の共有に関することしかない。

  • 報連相の徹底
    共同研究で最も大事になる。自身の持っている情報をわかりやすく全体に報告こと。遅延や現状を連絡すること。できない・わからないことをちゃんと相談すること。私は報連相の重要性を身にしみて学ぶことができた。情報共有によって円滑に進んだ経験や、問題の報告によって早期に解決できたことは数え切れない。

  • 即レス文化の形成
    私がせっかちなだけかもしれないが、即レスは非常に大事な文化である。文章ではなくリアクションでもいい。とにかく何かしら反応をすることで合意形成の速さが飛躍的に向上する。普段の返信速度から問題があったかもしれないと推察できたり、生活時間を把握できる。私は若干病的かもしれないが、メンバーを管理していた(勝手に)ので、大体の返信速度や活動時間帯を知っている。(余談だが、3月くらいに私が即レスを強要した時からチームの行動がかなり速くなった。)
    また、外部との連絡でも即レスは非常に重要である。常識的な時間にメールの返信を返すのは当然だが、メールが来てすぐに返すことも当然な行動にした方が良い。チーム内で話しあって返信する場合も即レス文化があればミーティングを開かずともテキストベースで議論でき、即日返信ができる。これは印象を良くする上で役に立つ。

この二つが徹底されていればチーム内での情報共有や連絡に関しての問題はないと思う。実際にUTokyo 2024で全員に暗黙のうちに義務付けていたのはこの二つしかない。(もしかしたら精神的に圧迫していたかもしれないが)

また、私の持つリーダー感になるが、リーダーは最も働く必要があると思って行動していた。おそらくリーダーの活動を見てメンバーが活動をするので、勤勉なように見せれば同じく勤勉に働いてくれるのではないかという思惑があった。割と効果があって、主軸となった2年生のメンバーはみんな勤勉に働いてくれた。感謝しかない。

終わりに

初めて真面目にiGEMについて書いたかもしれない。参考になる部分だけ掠め取ってもらえるとありがたい。書いているうちに思想が溢れてしまったのは反省するところかもしれない。
iGEMの目的については他の方が書いてくれている上に相反する意見はそこまではないので、それについて書くことはあまりないと思う。Gold Medalを取るために必要なことは書けるかもしれないが、基本的にprojectを進める上で役に立てるようなことを書く予定である。評価基準にも触れるが最終的にはJudgeに委ねられ、どのようなJudgeが担当につくかは運でしかない。

次はチームメンバーの割り振りと資金集めについて記載する。メンバーの割り振りはこの文章でも若干記載しており、あまり新しいことがかけないと思うが一読してもらえると嬉しい。

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