HPの進め方
iGEMのアドカレ2です。まともなことを書いて行きます。
はじめに
この文章ではHPの進め方について説明していきます。目安としてはsilver medalの基準を満たすことです。special prizeでIHPを選択し、nominee以上を目指すHP担当者にとっては不要かもしれませんが、HP班以外の人にとっては多少有用かもしれません。適宜使える部分を掠めとってください。
HPって何?
iGEMといえばなんでしょうか。HPです。HPが大事じゃないと思っている人はnoobです。ただ、その重要性については実際にprojectを進めないと実感できない人が多いと思います (私もそうでした)。学生が一念発起し (一年とも掛けています😤)、学生の手だけで研究活動を行うことは非常に難しいです。しかし、HPを行うことによって研究活動を前進または方向転換させることが可能であり、projectを具体的且つ実現可能性の高いものへと変貌させます。
では、HPとは何が目的で、どういった理念がiGEMに存在するのでしょう。iGEMにおけるHPは公式ページで詳しく語られています。このページを一緒に読んでHPの意義について説明するか迷いましたが、各自で読むようにしてください。おそらく人から言われて理解するよりも自分で読んで、わからないところを調べたり考えるほうが解像度が上がります。また、Japan Communityなどで議論してみることも効果的だと思います。
ここからは実際にHPを進めていく上での方針の立て方や実践方法などを記載していきます。
HPの進め方-準備編
HPについて知る
公式が提供するHPに関する代表的な文章は以下のとおりです。記載漏れがあった場合教えていただけると助かります。
Human Practiceページ
上で説明したとおり、iGEMにおけるHPについての説明があります。最初にここを読みましょう。Medalページ
HPはsilver medalを獲得するために必要になります。Medal獲得の基準が説明されています。この文章の主題なので後述します。Rubric
Special prizeとしてのHPであるIHPの評価基準が説明されています。今回はあまり触れませんが、どのような部分が評価されるか知るために一読することをお勧めします。Judging Handbook
より詳細なHPの評価基準が載っています。Judging Handbookを正しく読み、実践が行われており、wiki freezeに間に合えばSilver Medalを落とすことはないでしょう。
これらを一通り読むだけで一日くらいかかります。これは私が英語を読むのが遅いからかもしれませんが、Judging Handbookに時間がかかります。これらの文章を読むことで、HPの持つ意味やprojectとの密接な関わりが理解できると思います。ただ、実際にどういったことをするのか想像しにくいと思います。そこで、次に行うことはwiki読みです。
HPについて知る2
読者の皆さんはiGEMにおけるHPの全体像がぼんやりとでも掴めているはずです。ここでは解像度を上げるためにwiki読みを行い、先例から学びます。
wikiの調べ方についてざっくりと説明すると、検索エンジンで「iGEM チーム名 西暦」と打って直接wikiを探す方法、resultページ (参照先は2024年)で探す方法、Judging Handbookに載っているwikiを読む方法があります。一番最初の直接探す方法は過去に読んだことのあるwikiを探すときに便利ですが、新しく読むときには探しにくいです。二番目のresultで探す方法は、賞ごとにwikiが分けられており、非常に探しやすいです。三番目のJudging Handbookから探す方法は一番はじめに参考にするwikiを探す上で非常に役に立ちます。
まずはじめにJudging HandbookのHP部分で紹介されているwikiを読みましょう。どういったHPが良いものとして捉えられているかがわかります。上で参照しているHandbookは2024年のものであり、異なる年のものもあります。次に、resultページのspecial prizeのうちIHPで評価されているチームのwikiを読みましょう。最近のものをいくつか読むことでどういったHPが評価されているか雰囲気を掴むことができます。さらにwiki読みを進めていくことも重要ですが、ある程度wikiを読んだらMedalの基準を理解することに移ります。
Silver Medal基準
上記がSilver MedalのHPの基準です。これだけだと何をいっているかわからないので、より具体的な文章を見ます。
Silver Medalを獲得するためにはこれらをHPで考慮しているかが問題になります。この文章だけだとすごくハードルが高く見えますが、実際にそうではありません。各HPを行う理由、そのHPがprojectやチームに与えた影響などを適切に文章化し、自分たちのwikiのHPページに載せることを目標にしましょう。また、科学は万能ではありません。projectの持つ社会への責任であったり、リスクであったり、考慮しなければならないことについてHPを行い、そこで得られた議論や合意も記載しましょう。
HPの進め方-実践編
ステークホルダーマッピング
wiki読みをしていく中で多くのチームがステークホルダーマッピングを行なっていることに気づいたでしょうか。これはprojectに関わる利害関係者を洗い出し、どういった人にHPをするか戦略を立てるために行います。いきなりやれと言われてもできるものではありません。ここでも先例を参照しましょう。
まず、読者の皆さんのprojectと分野の近いprojectを探してください。多少似ている程度で十分です。そのwikiの中からステークホルダーマッピングを行なっている部分を読んでください (行っていないか記載していないチームのあります。その場合はJudging Handbookにあるものでも問題ありません)。それを元にあなたたちのprojectでステークホルダーマッピングを行ってみましょう。読む前よりも手が進むはずです。また、この作業は人数が多いほうが意見多くなるのでなるべく多くのチームメンバーと行いましょう。
ステークホルダーマッピングの次に行うことはHP先の調査です。利害関係者の属性を洗い出したので、その属性を持つ人を探す必要があります。projectの先行研究の著者であったり、その分野のトップランナーであったり、所属している組織や大学に勤めている人などをリストアップしましょう。また、アカデミアだけでなく非アカデミア、例えば一般的な企業、病院関係者、法曹関係者などです。
連絡を出す
リストアップができたら実際に連絡を出しましょう。メールの形式は問題ないと思いますが、内容に注意しましょう。基本的に連絡を出す相手は忙しいです。一目で内容が把握できるように、件名を具体的に書き、本文は専門的でも問題ないので詳細に書きましょう。また、iGEMについての説明を入れておくことも忘れてはいけません。
ここからは返信が返ってくるまで待ちのフェーズです。返信がいつ返ってくるかわからないのでHPの連絡はなるべく早く出しましょう。早く行動することでもし断られても別の人に連絡を出す余裕ができます。また、日程調整にゆとりも生まれます。
議論の準備をする
HPでは利害関係者にprojectについて説明し、質疑応答や議論を行います。そのためにはあなたたちのprojectが相手に伝わるようにプレゼンする必要があります。ここで注意したいのは、project全てについて言及する必要は必ずしもないという点です。全貌について話すことで議論の時間が減ったり、相手の専門外のことについて触れることでprojectへの理解をかえって妨げてしまいます。そのような事態を防ぐために、相手の属性に合った資料を作成することが理想的です。また、wetに関する利害関係者であればwetの人が資料作成を手伝うなど、チームを巻き込んで準備をしましょう。
プレゼンを言いっぱなしで終わってはいけません。質疑応答の内容や議論のテーマなども事前に考えましょう。HPの時間を無駄にすることは自分たちの時間を無駄にする以上に、相手の時間を無駄にします。金銭を伴わず行うことがほとんどだと思いますが、相手の厚意を無碍にするような行為を行ってはいけません。
HPを行う
HPを行います。私は他のチームの様子は知らないのであまり書けませんが、上記で説明したようにproject説明、質疑応答、議論など行いました。ために小さい講義を行ってくださる方もいらっしゃいました。
共有、反映する
HPが終わったらそれをチーム内で共有します。全員で参加できることが理想ですが、なかなか難しいです。projectを進めるため行ったHPをチーム全体に共有しましょう。HP班だけがHPの内容を知っていてもprojectを良い方向にもていくことは困難です。また、HPによってprojectの一部を変更したり、方針を変える可能性があります。その際に情報伝達が正しくできるようHPの内容を文章化することをお勧めします。実際に参加していないくても参加していた人と同じだけの理解ができるようなものを作ることが理想です。
私はHPではこの作業が最も重要だと考えています。意思決定に関わる重要なプロセスなのでHP班は適切に内容を共有し、他のメンバーは人ごとと思わず情報を反芻しましょう。
繰り返す
チームにHP内容を共有することで一回のHPが終了します。以後はこのプロセスを繰り返し行いprojectを進めていきます。
projectの進行に伴い、一番最初に行ったステークホルダーマッピングではステークホルダーが足りない可能性が出てきます。その場合は、新しくステークホルダーを探しHPを行いましょう。また、実験を進めていく途中で技術的な問題にぶつかるかもしれません。所属する研究室で対応できなければ技術に関するHPを行いましょう。論文を探し、その著者に当たりましょう。その時のHPでは問題を抱えている班のメンバーが同席する方が効果的でしょう。
HPの進め方-wiki編
wikiを書く前に
自分たちのwikiを書く前にもう一度Silver Medalの基準を見ましょう。また、今までwiki読みをした中で参考にできるHPページを選び、もう一度それを読んでください。wikiの全体的な流れを把握しましょう。
次に、今まで文章化していたHPの内容を整理しましょう。wikiではJudgeに正しく読んでもらうことが重要です。チーム内だけに伝わる表現をpublicなものに直す他、文意が一意に定まるようにしましょう。そして整理された文章をprojectの流れに沿って並べます。ここがHPの見せ場であり難しい箇所です。時系列順である必要はありませんが、誰が読んでも内容がわかるような澱みのない流れを作る必要があります。
wikiを書く
作成した流れに沿ってHPをまとめていきます。そのHPがprojectにおいてなぜ必要だったのか、どういった役割を果たしたのかを記載します。また、projectやチームへの反映についても詳細に記載しましょう。一回一回のHPについての文脈が明確であることが、全体の文脈を明確なものにします。この際に、
上記のようにHPの外から説明することも推奨されています。ただ、外からの説明がHPの内容であるように読み取れてしまう文章を避けましょう。
wikiを書いた後
wikiを書いた後にもう一度silver medalの基準を読んでください。必要な情報が抜けたりしていませんか。考慮するべき利害関係者が抜けていませんか。どうしても不安な場合はmentorや過去の出場者に連絡を出して確認してもらうのも一つの手かもしれません。
終わりに
長くなりましたがHPの進め方について記載しました。正しく実施できてればSilver medalの基準を満たすと思いますが、実際にやってみるとかなり難しいです。メンバーと協力しながら進めていってください。また、この文章のわからない部分やHPについての質問があれば連絡していただけると、微力ながら力を貸すことができるかもしれません。