![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172923765/rectangle_large_type_2_0d49f1f9cdd9fa2c106ef9ec5a875e75.png?width=1200)
マーケット|米雇用統計は「失業率4.1%超え」、年次基準改定にも注意!
ストリート・インサイツの経済アナリスト・安田佐和子さんが為替市場のイベントを解説してくれる「イベント・インサイツ」。週初に更新しています。動画版はYouTubeでご覧ください。
1月27日週の振り返り
まずは前週の動きを振り返ります。先週のドル円は緩やかに下落しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738551869-CflBsi6JdcKj093vobZDRPyT.png?width=1200)
1月27日、中国のAIベンチャー「DeepSeek」が発表した生成AIモデル・R1が「安い値段で高性能」との評価を受け、AI関連株に見直しが入り株式市場が下落。リスクオフの展開となり、ドル円はロンドン時間に一時153円71銭と週の安値をつけました。
28日はトランプ大統領が現地時間27日夜(日本時間28日)に半導体や医薬品、鉄鋼、アルミ、銅などへの一律関税に言及。ドル円は買い戻されましたが、上値が重い状況となりました。
29日はFOMCが予想通り金利を据え置く中で、ドル円の値動きは限定的となりました。1月30日、日銀の氷見野副総裁の講演を控える中、東京時間に再び154円を割り込みましたが、発言後は買い戻しを迎えました。
現地時間の30日(日本時間31日)には、トランプ大統領が「カナダ、メキシコに2月1日から 関税を発動する」との意思を表明したほか、「ドル離れを推進するならBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国にも100%の関税を課す」との考えを示しドルの買い戻しを誘いました。
また、ホワイトハウス報道官がロイターによる「カナダ・メキシコへの関税発動は3月へ後ろ倒しする」との報道を否定したため、やはり2月1日から関税は発動するとの思惑からドルは買い戻しを迎えました。
とはいえ、ローソク足で見るとドル円は緩やかに下落、ちなみにドル円の安値153円71銭は2024年12月安値と今年高値の半値押しの水準にあたります。
2月3日週の注目指標
次に、今週の注目指標などをお伝えします。今週からブラックアウト期間(金融政策の発表前、会合参加メンバーが対外的な発言を禁じられる期間)が明け、FRB高官の発言が相次ぐようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738554355-lsuV1HAjXFWSDkBadp4eqP2n.png?width=1200)
2月3日(月)のイベント
まず、注目指標として中国1月財新製造業PMIが発表されます。こちらはリスクオン・オフの見極めになることで注目されます。
そのほか、ユーロ圏とドイツの製造業PMI改定値が予定され、ユーロ圏では1月・消費者物価指数の速報値が発表されます。
ユーロ圏のインフレ指標についてはECBに対して 3月利下げの期待が高まっており、そうした利下げ期待をサポートする内容となればユーロ売り圧力が再燃する場合もあるでしょう。
同じく3日には1月分の米ISM製造業景況指数が発表されます。
先週発表された12月分の米耐久財受注の「コア資本財」(航空機を除く非国防資本財)は設備投資の指標となりますが、市場予想を上回る前月比0.5%の増加でした。これを踏まえるとISM製造業景況指数も改善する余地がありそうです。ただ、週末には1月分・米雇用統計を控えるため、サブ項目の雇用には注意が必要です。
3日にはアトランタ連銀総裁の発言も予定します。
2月4日(火)のイベント
12月・米雇用動態調査、求人件数などを含むJOLTSが発表されます。全米広告オンライン指数に基づけば、求人件数は改善が予想されます。ただ採用者数は2020年4月以来の低水準近くで推移しているため、こういったところに目が行く場合もありそうです。
そのほか、アトランダ連銀総裁、サンフランシスコ連銀総裁、そしてジェファーソンFRB副議長の発言を予定します。
2月5日(水)のイベント
12月・米毎月勤労統計調査――これは実質賃金を含む指標です――が発表されます。実質賃金は11月分がマイナス0.3%から0.5%へ上方修正されました。12月もプラス圏の流れが続くのか、注目されます。
この日は経済指標が目白押しとなっています。1月・中国財新サービス部門PMIも予定され、これもリスクオンとオフの見極めが必要となってくるでしょう。
欧州時間に入ると、1月・ユーロ圏総合PMI改定値、そしてサービス部門PMI改定値などが発表されます。
ニューヨーク時間では1月・米ADP全国雇用者数を予定します。1月といえば豪雪に加えてカリフォルニア州の山火事があり、一連の影響を見極める上で重要となりそうです。
1月・米ISM非製造業傾向指数も予定されます。こちらは製造業と違って、前哨戦となるサービス業PMI速報値が9ヶ月ぶりの低水準でした。こういったことと、サブ項目の雇用にも注意が必要です。
FED高官の発言としてシカゴ連議総裁、ボウマンFRB理事、ジェファーソンFRB副議長などを予定します。
2月6日(木)のイベント
イングランド銀行の政策発表を予定します。利下げ見通しが有力な中、今後の利下げのペースが見極められるのか注目されます。
そのほか、ニューヨーク時間には新規失業保険申請件数のほか、第4四半期・単位労働コストなどを予定します。単位労働コストについては伸びが鈍化を続けるかを確認することとなりそうです。
またFED高官の発言としては、ウォラーFRB理事、ダラス連銀総裁の発言を予定します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738554388-BrnJ0zMQACKaW4cL2TvgiwFt.png?width=1200)
2月7日(金)のイベント
2月7日は大注目の1月・米雇用統計の発表を予定します。カリフォルニア州の山火事や豪雪の影響が出てくるのかが引き続き注目となります。
なにより今回は年次基準改定の確定値が発表されます。2024年8月に発表された速報値では、2024年3月までの1年間で81.8万人もの下方修正となりました。今回の確報値では「起業閉鎖モデル」、すなわち会社が開業した分と閉鎖した分の調整が入るということから再び下方修正されるのではとの観測が出ていますが、果たしてどうなるでしょうか。
雇用統計に関していうと、非農業部門就労者数の変化だけではなく「失業率が前月と同じく4.1%にとどまるか」もマーケットを左右することでしょう。
サンプル週の失業保険継続受給者数を見ると190万人と、2021年11月以来の水準まで増加していました。仮にこの数字が反映されるならば4.2%へ上振れするリスクがありますが、そうなると非農業部門就労者数がいい数字になったとしても好材料を吸収する場合がありそうです。
7日はそのほか、ボウマンFRB理事の発言や2月・米ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値を予定します。
以上、今週の経済指標「イベント・インサイツ」、安田佐和子がお届けしました。どうもありがとうございました!
※FXコレクティブのYouTubeでは動画でもご覧いただけます。あわせてご活用ください!
この記事が少しでもお役に立ったら、「スキ」ボタン&フォローしていただけると嬉しいです。今後の内容の参考にもさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします!