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【映画レビュー】「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021年) 後編 〜いくつもの出会いと別れを重ね、少年はたった一人で街を駆け抜ける〜
【前編からの続き】
ヴィランたちを救おうとしたせいで、叔母さんを死なせてしまったピーターは深い絶望に包まれていた。
だが、彼の元にMJとネッド、そして別の世界からやってきた2人のスパイダーマン(ピーター・パーカー)が現れる。
自分の行動は過ちだったと嘆くピーター。
「誰にも僕の気持ちなんてわからないよ!!」
「わかるよ……」
トビー・マグワイア演じるフレンドリーネイバーフッドスパイダーマンは、自分の軽率な行動で叔父を死なせてしまったことを話す。
アンドリュー・ガーフィールド演じるアメイジングスパイダーマンは恋人のグウェンを死なせてしまい、その心の傷のせいか気づいたら敵を必要以上に殴りつけていたと涙ながらに語る。
「今度こそ、彼らを助けよう」
ヴィランを救おうとしたピーターの行動が間違いではないことを証明すべく、2人のスパイダーマンはヴィランたちを元の人間に戻す作戦に協力するのだった。
3人のスパイダーマンたちはヴィランたちを元に戻すべく、治療薬を開発する。
彼らの手伝いをするネッド。
「おい、ピーター」
「なに?」
「なに?」
「なに?」
3人のピーターが同時に振り返る……。
別世界の人間とはいえ、3人ともスパイダーマンであり、ピーター・パーカーだったので現場は混乱した。
ウェブシューターのカートリッジを、ピーター(トム・ホランド)に渡すネッド。
それを不思議そうに見つめるピーター(トビー・マグワイア)。彼はウェブシューターを使わずに手首から糸を出した。
驚くピーター(トム・ホランド)とピーター(アンドリュー・ガーフィールド)。
「なんで(ウェブシューターなしで)出せるの!?」
「知らないよ」
3人のピーターは混乱しながらも、なんとかヴィランたちの治療薬の開発に成功するのだった。
いよいよ、ヴィランたちとの決戦の時。
スパイダーマンスーツに着替えたピーター(トビー・マグワイア)。最近、背筋の調子が良くないらしい。
宇宙からの生物と戦ったことがないピーター(アンドリュー・ガーフィールド)は自分だけスケールが小さいと落ち込む。
落ち込むピーター(アンドリュー・ガーフィールド)にピーター(トビー・マグワイア)は。
「君はアメイジングだよ、アメイジング!」
と慰めるのだった。
スパイダーマンあるあるトークする3人の前に、サンドマン、リザード、エレクトロのヴィランたちが現れる。
倒すのではなく、救うために戦う3人のスパイダーマンたちの戦いが始まった。
しかし、基本的にずっと1人で戦ってきた別世界のピーター2人は全くチームワークが取れずに苦戦。
「全然、ダメじゃないか!?」
たぶん、歳上であろう2人のスパイダーマンにダメ出しをするピーター(トム・ホランド)。アベンジャーズでチームプレイをやってきたから、僕が指揮すると言い出す。
それを聞き、安心するピーター(トビー・マグワイア)だが……。
「ああっ!なるほど!アベンジャーズ、アベンジャーズか!……アベンジャーズってなに?」
「お前、バンドやってんの?」
「そっちの世界には、アベンジャーズいないの!?」
2人のスパイダーマンの世界には、アベンジャーズは存在しなかった。
急遽、リーダーを務めることにしたMCUスパイダーマンのピーター(トム・ホランド)はピーター1。
サム・ライミ版改め、フレンドリーネイバーフッドスパイダーマンと言う名前が付けられたピーター(トビー・マグワイア)はピーター2。
アメイジングなスパイダーマンであるピーター(アンドリュー・ガーフィールド)にはピーター3と、それぞれにナンバーが付けられ、ようやく仕切り直す3人のスパイダーマンこと3人のピーター・パーカー。
すると、ピーター3はピーター1、ピーター2に。
「君たち、愛してるよ」
と言い出す。
まさかの愛の告白に、困惑気味のピーター1、ピーター2。
実はこれはピーター3こと、アンドリュー・ガーフィールドのアドリブだった。
スパイダーマンズの連携プレイで、元の人間に戻っていくサンドマン、リザード、エレクトロ。
途中、正気を取り戻したドクターオクトパスが助っ人にやって来る。
ピーター2と再会するオクトパス。
「大人になったな、ピーター」
もう電気を発せなくなったエレクトロはピーター3と再会。
あの時、救ってやれなくてすまなかった……と、ピーター3はエレクトロに謝罪する。
そして、残るはグリーンゴブリン。
ピーター1は怒りの表情でグリーンゴブリンと向かい合う。
「お前は僕が倒す」
叔母さんの仇であるグリーンゴブリンとの戦いを始めるピーター1。
しかし、卑怯にもグリーンゴブリンはMJを空中から落とす。
ピーター1がMJを助けに行くも間に合わない。
だが、ギリギリのところでピーター3がMJをキャッチ。
MJを抱き止めるピーター3。
「良かった……本当に良かった……」
ピーター3は泣いていた。
グウェンを救えず、ずっと後悔し続けていたピーター3。
ようやく、彼の心は救われたのだ。
グリーンゴブリンを追い詰めるピーター1。
トドメを刺そうとした瞬間。
ピーター2がピーター1を止める。
ピーター2にとって、グリーンゴブリンことノーマン・オズボーンを死なせてしまったことは長い苦悩の始まりだった。ノーマンの死により、ピーター2は大事な親友を失うことになってしまうのだ……。
グリーンゴブリンを治療し、元のノーマン・オズボーンに戻すことに成功。
スパイダーマンズは、ヴィランたち全員を救うことに成功したのだった。
これには、Dr.ストレンジも驚愕するばかり。
しかし、これですべてが終わりではなかった……。
並行世界、マルチバースが開いたことにより『スパイダーマンの正体がピーターだと知る者たち』が、ありとあらゆる次元から出現しようとしていたのだ。
もはや、数え切れないほどの多くのヴィランたちが、すぐそこまでやって来ていた。
マルチバースの扉を閉じようとするDr.ストレンジ。
だが、もう抑えることは出来ない。
世界が崩壊寸前となったその時、ピーター1はある決断をする。
その提案を聞いたDr.ストレンジは愕然。
「そんなことをすれば、君は……」
ピーター1の提案を実行すれば、確かにマルチバースは閉じて、世界を救うことは出来る。
だが、それを実行してしまえば、ピーター1は……。
彼の決断はあまりにも切ないものだった。
しかし、もうそれしか世界を救う手段はない。
Dr.ストレンジがその魔術を完了するまでには、少し猶予があった。
残された時間。ピーター1は、この世界にやってきてくれた2人のスパイダーマンに感謝をする。
「君たち、最高だ!!」
歓喜余ったピーター1は2人のピーターを抱きしめた。
これは、ピーター1役のトム・ホランドのアドリブだったそうだ。
しばらくすると、2人のスパイダーマンとヴィランたちは元の世界へと帰っていく。
恋人のMJ、友人のネッドとある約束をするピーター。
「絶対にまた会おう」
そう約束する三人の若者たち。
だが、その約束が叶うことはなかった……。
Dr.ストレンジの魔術は成功し、マルチバースは閉じてすべてのヴィランたちが去って行く……。
こうして、世界の崩壊は防がれた。
だが、その代償にピーターは……。
……数日後。
ドーナツ屋に入ったピーターは、店にいた女の子の店員に挨拶をする。
その店員になにか話しかけようとするも、彼女の額の傷を見てピーターは口を閉じた。
そして、大学生らしき若者が店に入り、席に座ってパソコンを開く。
ピーターは握りしめていた紙を握り締めたまま、店員にコーヒーを注文して店から出る。
ピーターは、新たなアパートに住むことにした。
そのアパートには誰も居ない……。
窓の外からは警報が聞こえる。
ピーターは、自分で新たなスパイダーマンスーツを作る。トニー・スタークがくれた最初のスーツと、別世界からやってきた2人のスパイダーマンが着ていたスーツと同じ赤と青のスパイダーマンスーツだ。
雪が降る街の中、スパイダーマンとなったピーターは1人、街を駆け抜ける。
街の雑音から「スパイダーマンは偽善者だ。今すぐマスクを外し、素顔を晒せ」と言う声が響く。
だが、ピーターはそれでも走り続ける。
たった、1人で……。
【まとめ】
2002年のライミ版1作目からノー・ウェイ・ホームまでを紹介させて頂きました。
現時点での2024年だと本作が最終章となっており、ライミ版1作目からノー・ウェイ・ホームまでの道のりはMCU映画シリーズも含めると、かなり長い道のりとなっております。
しかし、その長い道のりの先にあるものは、紛れもない感動がありました。
スパイダーマンはヒーロー映画であり、同時に青春映画でもあります。
ライミ版は一人の青年がヒーローであり続ける苦悩を描いた。
アメイジングは運命に翻弄される青年の姿を描いた。
MCU(アベンジャーズ)版は、一人の少年がスパイダーマンというヒーローになって行く姿を描いた。
本当に、スパイダーマンは青春ヒーロー映画だと思います。
拙い文章でしたが、これまで書いてきたレビューを読んで、スパイダーマン映画シリーズに興味を持って頂けたら、とても嬉しく思います。
長くなりましたが、最後まで本レビューを読んで頂き、ありがとうございました。
今後も、映画などのレビューをやっていこうと思いますので、よろしくお願いします
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