【映画レビュー】「スパイダーマン:ホームカミング」(2017年) 〜少年はスーパーヒーローになれるのか?MCUに現れた新たなスパイダーマン〜

【MCUシリーズ/ホームシリーズ】

 スパイダーマン実写映画シリーズの権利を持つソニー・ピクチャーズは興行成績が振るわなかったアメイジングスパイダーマンシリーズを打ち切り、マーベルスタジオと提携。
 マーベルスタジオ制作のマーベル・シネマティック・ユニバース(略してMCU)にスパイダーマンが参加することが決定し、新たなスパイダーマン/ピーター・パーカー役にトム・ホランドが選ばれる。
 こうして、MCUの世界でスパイダーマンが誕生した。

 しかし、トム・ホランド演じるスパイダーマンが初登場したのは「シビルウォー/キャプテン・アメリカ(2016)」であり、本作「ホームカミング」はシビルウォーの続きの話となっている。

 そのため、本作を見る上である程度のMCU映画シリーズの予備知識が必要となり、アイアンマン(2008)~シビルウォー(2016)までのMCU映画シリーズを観ておく必要があります。
 MCU映画シリーズは大河ドラマ形式になっているため、本作までの道のりがちょっと長い。
※一応、本編でピーターが今までの経緯を簡単に説明するシーンがあるので、本作からでも楽しめるとは思いますが、どうせならMCU映画シリーズを時系列で観てからの方がより楽しめると思います。


【ホームカミングまでの道】
 MCUスパイダーマンが初登場することになった「シビルウォー」について簡単に説明。

 人類の平和を脅かす脅威に対抗すべく、秘密組織S.H.I.E.L.D.の長官であるニック・フューリーは超人的な能力を持つヒーローたちをスカウトして、チーム『アベンジャーズ』を結成。
 メンバーは天才科学者であり、大企業の社長でもあるアイアンマン。
 シールドを武器に戦う超人兵士、キャプテン・アメリカ。
 北欧神話の雷神、マイティ・ソー。
 緑色の巨人に変身する科学者ハルクなど、様々な能力を持ったヒーローたちが所属するアベンジャーズが世界の平和を守っていた……はずだった。

 アベンジャーズの戦いは過酷さを増し、戦うたびに周囲への被害は拡大。更には戦いに巻き込まれた犠牲者の数も増加していくことに……。
 あまりにもアベンジャーズの戦いによる被害の規模が拡大しすぎたため、国際組織の管理下の元、指令が来たらアベンジャーズを出動させるという条約が出されるのであった。

 アベンジャーズのリーダー的存在であるキャプテンアメリカ/スティーブ・ロジャースはこの条約を飲んだら、なにかが起きた時には即座に行動ができなくなると反対。
 しかし、もう一人のリーダー格であるアイアンマン/トニー・スタークは、アベンジャーズの戦いによる犠牲者の家族に会ったことで、強いショックを受け、この条約は飲み込むべきだと言う。

 これにより、キャプテンアメリカとアイアンマンは対立。
 チーム内も、この条約を受け入れるか否かで二つに分かれてしまう。
 キャプテンアメリカ派とアイアンマン派で、二つに分かれてしまったアベンジャーズはもはや内部崩壊寸前だった。

 そんな時、トニー・スタークはある少年に目をつける。
 彼は蜘蛛のような身体能力を持ち、暴漢を退治し続けていた。
 その少年こそが、この世界でのピーター・パーカーである。
 彼は蜘蛛に噛まれたことで、超人的な能力を手に入れた高校生の少年だった。
 ピーターは憧れの存在であるスタークからのスカウトを受け、スパイダーマンの名前でアベンジャーズの内部抗争『シビルウォー』に参加。
 スターク社が作った高性能なスパイダーマンスーツを着て、キャプテンアメリカ派のヒーローたちと戦う。

 このシビルウォーでの戦いが、MCUスパイダーマンのデビューとなった。


「スパイダーマン:ホームカミング」(2017 アメリカ 133分)
監督 ジョン・ワッツ
脚本 ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー。ジョン・ワッツ、クリストファー・フォード、クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
出演 トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、ローラ・ハリアー、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ、ロバート・ダウニー・Jr


【あらすじ】
 シビルウォーに参加後。
 トニー・スタークから高性能なスパイダーマンスーツをもらったピーターだったが、スタークからはアベンジャーズへの加入は認めてもらえず、まずは『親愛なる隣人』として地道に街の平和を守ってきた。
 そんなピーターだったが、自分の部屋にスパイダーマンスーツを着たまま窓から入ってしまい、たまたま部屋に居た友人のネッドに正体がバレてしまう。

 この世界のピーターは叔母と二人っきりで生活をし、高校生活を送りながら、スパイダーマンとして活動していた。

 ピーターは憧れのトニー・スタークに認めてもらうため、スパイダーマンとしてヒーロー活動をするも空回り。
 さらに、なにか事件があるたびにスパイダーマンになるため、スクールライフも上手く行かず、クラスメイトからバカにされる日々。

 一方。バルチャーと呼ばれる巨大な金属の羽を持つ鳥のような怪人とその部下たちが、犯罪者たちに危険な武器を密売し、街を騒がせていた。
 彼らはアベンジャーズが戦った敵の残骸から武器を製造し、密売する「死の商人」たちだ。
 そんな危険な武器の密売組織を知ったピーターは、バルチャー達を捕まえて手柄を取ろうと迂闊な行動に出てしまい、逆に一般市民たちを危険な目に遭わせてしまう。

 アイアンマン(トニー・スターク)が来たことで最悪の事態は避けられたが、この件でピーターはスタークからの信頼を失い、スパイダーマンスーツを取り上げられることに。

 スタークから見放されたピーターはスパイダーマンとしての活動をやめ、普通の学生に戻り、充実したスクールライフを手に入れる。
 そして、ピーターは念願だった意中の女の子と一緒にパーティーへ行くことになったのだが、そこで予想外の事態が。

 とんでもない事実を知ったピーターはピンチに陥り、再びスパイダーマンになろうとするも、もう彼の手元にはスパイダーマンスーツはない。

 果たして、ピーターはスーツなしで事件を解決できるのか!?


 憧れのトニー・スターク(アイアンマン)に認めてもらうため、悪戦苦闘する一人の若きヒーローの姿を描いた新たなスパイダーマンの物語。


【感想】
 歴代スパイダーマン(ピーター)と比べると、まだ少年っぽさが残っているMCU版スパイダーマン。
 トニー・スタークから渡されたスーツにはAIが搭載されており、超高性能だったため、その機能に頼り切ってしまうピーターの姿はまるでド◯えもんに頼るの◯太くんのよう。

 そんな未熟な少年・ピーターが一人前のヒーローになろうと奮闘する姿は、思わず応援したくなってしまいます。
 果たして、彼はトニー・スタークから認められ、アベンジャーズの仲間入りをすることが出来るのか?

 そして、バルチャーとの戦いの先にピーターに待ち受けていた切ない運命とは?

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