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タイには少ない透明な池を観たい!「出流原弁天池」

 日本にあってタイにないもののひとつに清水がある。透明度の高い澄んだ水が流れる川や池、湖だ。実際にはなくはないのだけれども、タイの場合、その存在はかなり数が限られている。その点、日本はたくさんある。ここは日本が誇れる事実だと思う。東京からもちょっと郊外に行けば、いくらでも清水を拝むことができる。

 今回の日本滞在でどこかいいところがないかなと探していたところ、「出流原弁天池」があると聞いた。「いずるはら」なんて知らなかったら読めないこの池は、栃木県佐野市にあった。

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 出流原弁天池は栃木県の佐野市にある。佐野市の出流原町の池だそうで、1956年に県の指定天然記念物に、1985年に環境省が指定する名水百選に選ばれたのだそうだ。

 近年、栃木県自体が注目されていて、移住者が増えているらしい。実際、県内にはこういう観光名所も多い。日光東照宮、鬼怒川温泉、小山ゆうえんち(とっくになくなっているけど)などがすぐに挙げられるし、栃木産のグルメも少なくない。ボクは子どものころに塩原温泉とか千本松牧場(だったかな?)によく連れていかれた。この牧場でジンギスカンを食べたのがボクの記憶にある初めての肉の体験だった。牛肉とかではなく、記憶の最初はラム肉なので、今でもジンギスカンは妙に懐かしい味に感じる。

 ボクにとって縁のある栃木県にそんな池があるというので、縁を感じて行ってみた。寒い日だったけれども路面の凍結とかもなく、なんとか辿り着くことができた。

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 この感じだけでも観に来た価値があるというもので。思ったほど大きい池ではなかったが、雰囲気がよかった。

 ボクの中の「清水」は小学生のときに家族旅行で行った奥入瀬渓流だ。トレッキングみたいに川の横の道を歩いていく。そのときは全然いいと思わなかったが、十和田湖の奥入瀬渓流起点のところ、子の口というところが遊覧船の船着き場になっていて、そのあたりの水の透明度に驚愕した。数メートルも深さがあるのに、底まではっきりと見える。あの感動が今でも残っていて、底が見える池や湖などに興奮してしまう。

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 出流原弁天池はそれほど深くはないようだが、池全体に散らばっている魚影がはっきり見える。ここはそうでもなかったが、ほかの山々には雪がかぶっているくらい寒い。でも、魚は普通に泳いでいた。低温なのでほとんど動かないかと思っていたが、わりと元気に泳ぐ。

 不思議に思っていたが、ここは水温が平均で16℃くらいあるらしい。さすがに神聖なこの池に手を突っ込むわけにもいかなかったので、これはあとになって知ったことだが。

 先の十和田湖とかの話もそうだが、清水を見ると本当は飛び込みたい衝動に駆られる。でも、さすがに子どもではないので、ちゃんとその欲望を理性で抑えて、写真を撮るだけにとどめたけれども。

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 弁天池の横、というか裏の山には「磯山弁財天」あるいは出流原弁財天がある。948年に造られたとも言われる神社だ。

 この歴史の長さもまたいい。タイは現王朝はそこまで長くないし、アユタヤも古いとはいえ破壊されているので、こういった歴史が異様なまでに長い場所というのも日本ならではなので、日本滞在中に行きたいところは大概神社ばかりだ。

 ここは画像の山門をくぐり、その先の階段を登っていく。丘くらいの高さだが、普段運動不足のボクには結構厳しかったな。弁財天の社のさらに上にも小さな分社(三峯神社などだったかな)があるが、そこまではさらに大変だった。

 なにより下り。これで完全に筋肉痛確定で、帰りの車はしばらくゼイゼイ言いながら運転していた。

 都心からは東北自動車道で行き、北関東なんとか道に入っていくと早かった。駐車場も小さいながらも無料である。近くのホテルで弁天池の湧水を汲めるのだとか。これもあとで知った。

 佐野なので、往復のいずれかで佐野ラーメンもいいかも。ボクはタイとかベトナムとかならひとり旅の慣れからか、ひとりで飲食店に入ることに抵抗はないのだが、日本だと、自分でもなぜかはわからないが、ひとりでなかなか入れない。3日くらいなにも食べていなくても、ひとりではよほどのことがない限りは入らないかも。だから、看板を横目で見ながら、実家から池に直行し、池から実家に直帰した。

 ちょうどここに行った少しあとに、テレビでバナナマンが現地の人におすすめグルメを聞いて食べに行く番組があり、佐野市が取り上げられていた。そこに出てきた佐野ラーメンの店がよさそうだったけれど、名前を見ていないのでどこにあるかわからない。

 やっぱ栃木はいい。これでタイ行き直行便が発着する国際空港があったら、ここに移住確定だな。

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