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タイのタバコの嫌がらせ画像

 10年やめていたタバコを2018年にベトナムでまた吸うようになってしまった。でも、自宅では吸わないし、結局は今も月に1箱すら消費していない。じゃあやめればいいじゃないかという話なのだが、飲むと吸いたくなるから、とりあえず残ったものは部屋に置いておいてある感じで。

 そんなタイは、実は喫煙者に優しくない。イメージでは東南アジアはタバコを自由に吸えそうな感じがする。実際、ベトナムなどはちゃんとした店でない限り、どこでも喫煙可能という感じ。ポイ捨てもまったく害悪といった雰囲気がない。

 一方タイは、公共施設はもちろん、飲食店でもタバコを吸うことはできなくなっている。歩きタバコもポイ捨ても罰金刑がある。商業施設などは喫煙所を外に設けているが、それすらもなくしているところが増えている。

 政府もタバコを完全な悪者にしていて、増税にて価格を大幅アップしている。さらに、パッケージには商品名がほとんど見えないくらいに嫌がらせ的な画像を貼っている。

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 この画像にはこういったことが書かれている。

タバコの煙は子どもに対して害悪を及ぼす危険なもの』(上部の白字)

タバコの煙に含まれる有害物質は子どもの気管を重度に炎症を起こしたり、感染症にかかりやすくする』(下の黄色の文字)

 見るとわかるが、今、タイのタバコパッケージは商品名がほんの少ししか書かれていない。箱の面積の85%が警告文になっているからだ。タイのタバコと健康に関係する警告文は「仏歴2535年(1992年)タバコ製品管理法」という法令に基づいている。

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 この画像は印紙で上の字がなにかわからない。絵柄と一部の文字(白い字の2行目)はマレン(ガン)なので、煙が肺ガンにするとかそんなことが書かれていると思う。下の黄色はこう書いている。

肺は喫煙のたびに発ガン性物質の悪影響に晒されている

 先の法令によってタイでは1998年から警告文表示が義務づけられている。これはWHOの「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」第11条(タバコ製品の包装およびラベル)とそのガイドラインに従っていると見られる。98年のタイでは10種類の警告文が定められ、2002年にさらにふたつが追加され、そのいずれかを表示しなければならなくなっている。

 同時に2002年にタバコの悪害を表した画像を記載するようになった。ただ、当時はWHOのガイドライン通り、『警告文は面積30%を下回るものであってはならない』として、タイでもおおむねそれくらいの幅で画像を掲載していた。その後WHOは『警告はパッケージ面積の50%が望ましい』とし、タイも徐々に広くなって、今は85%になっている。日本はたぶん50%くらいでしょう。タイの方が写真がある分、警告面積が広い。

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 こちらも上の文は印紙で隠れている。この連携が取れていない感じがタイらしいというか。ちなみに、どのパッケージにも1600という番号があるが、これは禁煙したい人の相談先の電話番号のようである。まあ、政府がこういうサービスを行っていても、電話に誰も出ないことはよくある。だから、本当に実施されているかは怪しい。一方で民間の病院やクリニックでは喫煙プログラムが多数あったりもする。

 さて、上記画像のパッケージの黄色の文字は下記のような意味だ。

タバコの煙に含まれる有害物質は心臓の血管を収縮させ、血液不足によって心臓発作を起こします

 意訳ではあるけれども、日本のように「可能性がある」という言い方ではなく、言い切った印象の文が並んでいる。タイと日本の広告などの法令の違い、あるいは読み手の感覚の違いなのかと思うが。

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 警告文はパッケージの表だけではない。側面にも記載がある。上の画像は下記のようになっている。

血中の発ガン性物質は膵臓を経由しガンを引き起こす

 下の画像はこう書いている。

タバコを吸うことは膵臓ガンになること

 先述でパッケージの文章は12種類としているが、もしかしたらもっと増えているかもしれない。ただ、消費者はパッケージを選んで購入できない。恐らくロットごとに写真などは決まっているだろう。タイでは先の法令によって、タバコの広告を禁じているほか、販売時にも銘柄をオープンにさせないことになっている。コンビニのレジで売っているのはタイも日本も同じだが、タイの場合はタバコの棚に蓋がしてあって、棚になんの銘柄があるかがわからないようになっている。だから、パッケージを選ぶことはできない。万が一こういう企画で全種類をコンプリートしようと思ったら、結構金がかかる。

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 ちなみに、初代の警告写真の中に赤ん坊を抱っこしてタバコを吸う男性のものがあった。この画像に写る人物は、ボクの妻のいとこの友人だ。妻の実家近辺は国鉄が走っているので、その男性は帰省の際にバンコク駅に行った。そのとき、そこでその画像の撮影を行おうとしていて、適当にその辺りでスカウトした赤ん坊と彼がモデルになったのだとか。

 当時はそんな画像はないので、よくわからずに安易に引き受けたが、その後数年間、彼はタバコの嫌がらせ画像に出続けるはめになった。しかも、ギャラはたったの200バーツである。

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 最近の警告文でズルいのはこれだと思う。小学校の制服を着た女の子が写っている。

子どものためにタバコをやめよ』(上の白い文字)

お父さん! ワタシを愛しているなら、タバコをやめられませんか?』(黄色の文字)

 黄色の文字の上にある赤いマークには「禁煙区域の家庭」という文字も見えるので、このパッケージはキャンペーンなのかもしれない。

 これで思い出したが、ボクが子どものころは家の食卓で父親がタバコを吸うとか普通だったし、なんなら電車の中も吸えたものだ。ボクがタイに初めて来た1998年から数年間は飛行機の中でも吸えたっけ。

 そもそもの話で言うと、タイ人は日本人ほどタバコを吸っていないイメージがボクにはある。中途半端な富裕層の若者か、ものすごい低所得者層が吸うくらいで、中間の階層やハイパー富裕層はそんなに吸わないのではないか。日本の若者の方がよっぽど喫煙者が多い。でも、統計ではそうではないらしい。

 2016年の統計だけども、タイ人の方が吸っている人が多いみたいで。ただし男性。女性はイメージ通りだ。

 でも、あまりタイの喫煙率の高さに悪いイメージがないんだけども。たぶん、人口の関係もあるのかなと思う。とはいえ、ベトナムの男性喫煙率が50%に近いから、信憑性もあるしなあ。ベトナム人男性でタバコを吸わない人に会うのが難しいって、ベトナムに行くたびに思う。

 正直、タバコをやめる人ってのはこういった警告文でやめるわけではないと思う。逆に言えば、吸う人は警告文なんか気にしない。喫煙者を減らしたいなら、増税と値上げでひと箱5000円くらいにすればいい。そうすればタイとか日本なら物価指数的にやめるヤツが増えると思う。ただ、それでもやめないヤツには逆に優しくしてやってほしい。

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