在タイ日本大使館から詐欺の注意喚起
いまだかつてない状況の中、あっという間に2020年も9月に入った。そんな9月1日の午前中、在タイ日本大使館から、タイ在住の登録者に向けて一斉メールが発信された。邦人の詐欺被害があったようで、注意喚起が在住者に向けて送られたのだ。
事件は在住日本人の居住者が多い、スクムビット通りのトンロー通り周辺で発生したようだ。大使館のメールの内容は下記である。
・8月中、首都バンコクのトンロー地区において、台湾人を自称する人物が、邦人男性に「パタヤからバンコクへの移動中、財布や旅券をなくして困っている。5万バーツ貸して欲しい。」等と英語と片言の日本語で声を掛け、現金を口座から引き出させ、だまし取る詐欺事案が続発しています。
・同種事案は、過去にも在留邦人の方や旅行者の方を対象に度々発生しており、中には100万バーツの被害に遭われた方もいました。
※同種事案は、今後も発生することが懸念されますので、皆様におかれましては、昼夜を問わず、見知らぬ人物から声を掛けられても、決して油断することなく、特に見知らぬ相手が金銭的支援を求めてくる等、不審な言動があれば、相手の要望に応じることなく直ちにその場を立ち去るなどして被害防止に努めてください。
・数年前から首都バンコクの至るところ、特にトンロー地区、スクンビット通り沿い、シーロム地区、サートーン地区で邦人の方が、台湾人を名乗る人物から声をかけられ、現金をだまし取られる事案が度々発生していますが、最近再び同様の事案が増えており、当館にも被害相談が多く寄せられています。
・最近の具体的な手口の一例として、自称台湾人、30歳後半から40歳位、チェンマイ在住、医師やレントゲン技師を装う人物(見た目は女性)が、トンロー地区において、一人で歩いている邦人男性に英語と片言の日本語を用いて、「パタヤからバンコクへのバスでの移動中に財布や旅券等を紛失して困っている。」、「旅券の再発行代等を含め、5万バーツ貸して欲しい。」、「自身の台湾の銀行から、借用した現金をあなたの口座に振り込むので、口座番号を教えて欲しい。」、「台湾の銀行からあなたの口座にお金を振り込みたいが、振り込みの最小額は、2千ユーロと決まっているので、追加として先に残り2万4千バーツほど振り込んで欲しい。」等と申し向け、現金をATMで引き出させたり、自身の口座へ振り込ませる等させ、お金をだまし取るものです。
・犯人は、被害者とのやりとりの最中、連絡先や通信アプリ「LINE」を交換したり、自身の通帳を見せるなどして、相手を信用させるものですが、現金を貸し与えた後も、「さらに現金が必要である。」等と執拗にお金を要求してくるなどの特徴も見られます。
今現在は観光客がタイに入国できないので、基本的には在住者のみになる。この詐欺事件はおそらく日本人在住者なのだろう。
タイ、特にバンコクは外国人が多いので、油断してしまうことが多々ある。実際には何十年も前から世界中にある日本の在外公館の中でも、タイの日本大使館は邦人保護件数がずっとトップ、あるいは上位入賞だ。去年、在住日本人が強盗に襲われて大けがをしたが、そういった傷害や殺人はかなりレアケースで、日本人の被害の大半が詐欺だとか、スリや置き引きなのだとか。
スリや置き引きに関しては自分で注意するしかないのだが、詐欺の場合はなかなか難しい面もある。詐欺師もプロだ。注意していてもいつの間にか金を巻き上げられているということも少なくない。常に警戒してしっかりしていればいいのだが、つい油断してぼけっとしているところを突かれてはひとたまりもない。詐欺師というのはそういうところをしっかりと見ていて、そんなときにこそ狙ってくるものだ。
それから、この大使館メールの詐欺師は台湾人と名乗っているが、それもどうだか。ほかにはインド系、中東系もいる。台湾系の場合はほかの国の中華系もありえるし、そもそも単に色が白いだけということもある。
あくまでもボクの印象だが、タイ人ではないと思う。ただ、犯人像の箇所で『医師やレントゲン技師を装う人物(見た目は女性)が』の「見た目は女性」にちょっと引っかかる。ここだけ見るとタイ人のような気もするし、あるいはフィリピン人かな。
手口を見ると、多少だが手が込んでいる。タイ人はこういったことはあまりしないという印象がボクにはある。先の日本大使館の邦人保護案件がトップクラスという話でも、その中の詐欺被害もタイ人による詐欺事件はほとんどなく、フィリピン人やアフリカ系、中東やインド系のほか、日本人に騙されるケースが多いと聞く。
ボクが初めてタイに来たころはフィリピン系の女性がシンガポーリアンを名乗って寸借詐欺をすることが多かった。今回のケースは、日本人が台湾にいい印象を持っていることを知っていて利用したのではないだろうか。
とにかく、タイは決して治安がいい国ではない。外国人が行く場所は身体的な危機を感じる危うさはないが、詐欺、スリ、置き引きは多い。特に慣れてきたときい狙われやすいので、タイとはいえ注意を怠ってはいけない。