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ビア・ホイ! ビア・ホイ! ビア・ホイ!

 こんな世界情勢になるとは、誰も思いもしなかっただろう。海外に行けないということでストレスも溜まっている人もいると思う。忙しい毎日の息抜きに東南アジアを訪れる人も多かったはずだ。

 ボクなんかは今年3月にギリギリ駆け込みで大好きな街、ベトナムの首都ハノイに行くことができたのでまだマシな方だが、その滞在時は極寒(バンコクと比べたらだけれど)の上に雨という最悪なタイミングだった。だから、さすがに必ず足を運ぶ屋台街には行けなかった。

 ボクのハノイの楽しみは「食」だ。その中でも大好きなのが生ビールの「ビア・ホイ」である。ビア・ホイは普通の飲食店で飲む生ビールとはどこかが違う。生ビール=ビア・ホイだけれども、ボクにとってはビア・ホイはあくまでもビア・ホイなのだ。ベトナムに行けるようになったら、ぜひともハノイに行って、思う存分ビア・ホイを飲みたい。

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 初めてビア・ホイを飲んだのは2011年の滞在時だった。2回目のベトナムでのことだ。初めてのベトナムは会社員時代の出張時で、そのときは向こうの企業がローカルのところに連れて行ってくれなかったので、ベトナム料理すら食べていない。実質2回目が初めてのようなもので、そのときにビア・ホイ体験した。

 とはいっても、最初はなんだかわからずに戸惑っていた。というのは、ビア・ホイは「BIA HOI」と書くのでわかりやすいのだが、屋台のような店でみんな飲んでいるし、ビール樽のようなタンクから注ぐのだが、サーバーがなく、どの屋台もタンクから直接ホースをつけてグラスに流していたからだ。ビールに似たなにかなのかと思った。

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 ハノイ滞在の最後の日、意を決して座ってみた。指さしで頼んだのがこの画像だ。一見、キンキンに冷えていると思いきや、それはプラスチックのカップがそういうデザインなだけだった。

 しかし、カップは生温かかったものの、ビールはある程度冷えていて、若いころに初めて飲んだバドワイザーと同じような印象を受けた。要するに薄いというか。

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 次の日ホーチミンに飛んだ。ブイビエンに泊まったのだが、当時は今ほど人がいなくて静かな通りだった。ビア・ホイを飲もうと思ったところ、ベトナム南部にはビア・ホイの文化がなかった。ビールは基本瓶ビールで、どこにもビア・ホイという看板がない。

 のちに知ったのは南部では生ビールを「ビア・トゥオイ」と呼ぶらしい。ただ、いずれにしても南部の若者は生ビールを好まないようだった。

 だからなおさら、ハノイに行くとボクはビア・ホイを求めてしまうようになった。

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 2014年前後から頻繁にベトナムに行くようになって、特にハノイではターヒエン通りの辺りの店に行くようになった。この画像の店なのだが、周囲がビア・ホイ1杯7000ドンから1万ドンくらいの値段設定の中、確か5000ドンくらいだったはず。

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 つまみもいろいろあって、タイのネーム(発酵ソーセージ)のようなソーセージなどがあった。これが全然おいしくない。でも、この雰囲気が好きで、毎回ハノイではここに来ていた。

 ところが、後述する事情でこの店はまだあるものの、ビア・ホイを出すことをやめてしまった。2017年あるいは2016年のことだ。残念である。

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 ビア・ホイの屋台は瓶ビールもあるし、つまみもあるし、このようにハノイ・ウォッカもある

 また、屋台が特に密集しているエリアにはキャンギャルがやってくる。アルコールのキャンギャルもいるし、練り歩いているのは大体タバコのキャンギャルだ。タバコを直接手売りして歩くという、タイでは見かけないスタイルだし、女の子も結構かわいくて、酔っ払ったついでにちょっと話しかけてみたりする。残念ながら英語が全然通じないので、話にならないのだけれども。

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 ボクがよく行くホアンキエム区のエリア、いわゆる旧市街はどんどんビア・ホイが減ってきている。先のボクの行きつけも瓶ビールに切り替わってしまった。どうやらハノイの若者は、南部の若者のようにビア・ホイを好まなくなっているらしい。

 これには諸説あるのだが、噂が先行して敬遠されているとされる。ビア・ホイはビアサーバーを使わずに樽から直接ホースで注ぐ店が多い。この怪しいスタイルから、タンク内のビールもまた市中の飲食店で余った生ビールを集めて詰めているとか、賞味期限切れのビールを詰めて転売しているという噂が流れている。

 まあ、そもそも論で言うと、ビア・ホイはとてもおいしいビールというわけではない。店によっては薄く感じるので、詰め替え説を信じるのもわからなくもない。だから、味が安定している瓶ビールを若者が好むのかもしれない。

 とはいえ、ビア・ホイが消滅するわけではないようだ。ベトナムもタイのように食べ放題店が増えている。そういう店は大規模店舗が多いので、郊外にできる傾向にある。そういう店ではビール飲み放題もあって、そこでビア・ホイが採用されるのだ。こういう店は増えてきているので、郊外にビア・ホイが多くなってきたらしい

 ハノイ旧市街でビア・ホイが多いのは、このマップの中央辺りに南北に通っているターヒエン通りだ。ほとんど瓶ビールの店になってきているが、一部ではまだビア・ホイある。

 あるいは、このターヒエンを北側に抜けて右に行くとマーマイ通りになるのだが、この辺りもビア・ホイの屋台が多い。バックパッカーズ・ホステルなど欧米人のバックパッカー向けの宿があるので、その辺りでビア・ホイを見る。

 ああ、こう書いていたら、またハノイに行きたくなってきた。次回は死ぬほどビア・ホイを飲みたい。

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