カバー_帯ナシ_

書籍紹介5「ベトナム 裏の歩き方」

 今現在、タイよりも好きな国ベトナムを取り上げた「ベトナム 裏の歩き方」が彩図社より2018年5月に出版された。自分の中ではまだまだ「途中」、もっともっと知りたい心境なので、「バンコク 裏の歩き方」のように2020年度版、あるいは2021年度版が出るといいなと期待している。

 ほぼ趣味の延長で書いた本なので、取材も執筆も楽しかった思い出のある1冊だ。

カバー(帯ナシ)

[内容]
みなさんはベトナムというと、どのようなイメージを抱くだろうか?
経済面で急成長を続けるASEANの中心国? フォーに代表される美食の国? 世界遺産の旧跡だけでなくビーチリゾートもある観光立国? いずれも正解だが、それだけではない。
実はベトナムは、いま東南アジアの中でも有数の〝夜が楽しい国〟なのだ。
漆黒の闇夜に浮かび上がる、原色のネオンサイン。アオザイに身を包み、妖艶にほほ笑むベトナム美女。北部のハノイ、南部のホーチミン、そして中部のダナンまで……。『バンコク
裏の歩き方』でおなじみの髙田胤臣が決死の覚悟で一大取材を敢行!
旅行者でも行きやすい風俗スポットなど、最新夜遊び情報はもちろんのこと、読むだけで力が抜けるB級スポット、一口食べれば虜になる激ウマグルメ案内など、ベトナムの魅力を伝える情報をこれでもかと言わんばかりに詰め込んだ。あなたが知らないベトナム、その真の姿がここにある!! 

 初めてのベトナムは、会社員時代に工場視察で行ったときだ。2010年12月だったか。ハノイの12月は難しい季節で、寒い年は20度を余裕で切るし、暑いときは30度前後くらい(大袈裟かな)になる。そんなことを知る由もなく、最初はバンコクと変わらないかと思い行ってみたら、地獄の寒さで、ワイシャツ1枚だったので死ぬかと思った。

 2回目は「東南アジア 裏の歩き方」のときだ。このときは確か11月前後だったのでハノイはそれほどでもなかったし、ホーチミンはむしろ暑かった。

 そして3回目以降は、当初、特に出版の予定はなかったものの取材も兼ねて行くようになった。それ以前はラオスによく行っていた。ベトナム戦争時に米軍がクラスター爆弾を、ホーチミンルートの一部が通っていたラオス南部に投下していて、今も不発弾が残り社会問題になっている。日本の認定特定非営利活動法人「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」のラオス・ビエンチャン支部によくお邪魔して取材していたのが、当時方針が変わってビエンチャンに学校を設立して、自衛隊独自の爆弾解体技術であるのこぎりカットを教えるようになった。それで現場に行くことが難しくなったので、しばし取材先を変えようとベトナムに再度行くようになったのがきっかけだった。

 ラオスはタイ語が通じるので、どうしてもタイの田舎に来た感覚でちょっとおもしろさがない。しかし、ベトナムはタイ語がまず通じないので、外国に来たという実感があった。

 さらに、ホーチミンは気質的にタイに似ているので、街並みもバンコクに似ている部分が少しだがある。ハノイはそういった似たものがまったくないので、楽しくて仕方がなかった。

 しかも物価が安い。食事に関してはタイよりやや高い。でも、屋台にしても1食分が多いので、グラム単価にしたらベトナムの方が安いと思う。なによりビールが安い。レストランでも大瓶が1米ドルくらい。タイのコンビニで350mlの缶ビールを買うより安い。店によってはソフトドリンクよりビールの方が安いなど、ベトナムはビール天国だった。

 ハノイの屋台の生ビール「ビアホイ」ならもっと安いし、足の短い椅子に座って、低い位置からハノイを眺めつつ飲むビールがたまらなく好きだった。

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 食事もおいしいのがベトナムの魅力だ。やっぱり旅の醍醐味は食事だ。食べものがまずい場所はもう二度と行きたくないと思う。それくらい大切だ。

 初めてのベトナムでは米粉麺「フォー」をおいしいと思わなかった。タイの米粉麺「クイッティアオ」と比較するとコシが全然なくて、どうしてもおいしいと思えなかった。しかし、何年目かに友人に連れて行ってもらった店でフォーの魅力に気がついた。フォーは麺だけでなく、スープや具材も含めてひとつのフォーなのだ。それを知ることができ、今やベトナムに行ったらフォーばっかり食べている。

 ハノイではあまり見かけないが、ホーチミンでは「フォー・ボーコー」がおすすめだ。ビーフシチューのフォーで、これがなんとも素晴らしい味わいなのだ。

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 この「ベトナム 裏の歩き方」の取材のため、初めて中部のダナンに行った。2017年の12月はハノイが極寒で、ダナンもまた寒かった。そのため、体調を崩し、1日動けなくなってしまったときがあった。このときに宿のそばにあった鶏飯屋に行き、鍋におかゆがあったので頼んでみたら、むちゃくちゃおいしかった。丼いっぱいに入っていて、1米ドル。安い。

 安いと言えば、古都ホイアンがダナンの近くにあるのだが、ここの生ビールはビアホイではなく、「フレッシュビール」と呼ばれていた。ちなみに南部では生ビールを「ビアトゥオイ」と呼ぶらしいが、南部は屋台で生ビールはほとんど飲めない。ホイアンはギリギリ生ビールが屋台や食堂にあって、1杯が3000ドン、つまり16円前後くらいの値段設定だ。たぶんベトナム最安値では?

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 ベトナムと言えば、女の子のアオザイが有名だが、この民族衣装は案外見かけない。たぶん、欧米人が日本で着物に期待してがっかりするのと似ていると思う。でも、学生はときどき来ているようで、ダナンの北にあるベトナム最後の王朝の都フエでアオザイ集団を見かけた。

 ところが、この撮影をしたあとにカメラの画像が全部ぶっ飛んでしまい、死ぬほど焦った。北部・中部の取材も3分の2以上終わった段階で全部データが飛んだからだ。

 まあ、なんとか復活したけれど、「バックアップ」という言葉と行為をボクはこのときにやっと学んだ次第だ。

 とにかく、ベトナムはおすすめの国だ。なんなら住みたいくらいである。やっぱりハノイが一番好き。次にダナンなどの中部、そしてホーチミンや南部、メコンデルタもまたいい。ベトナムはタイに比べて治安もいい方なので、ぜひ「ベトナム 裏の歩き方」を買って、行ってほしいところだ。この本はタイトルほど「裏」という感じではなく、ほんの少し攻めた個人旅行レベルなので、ガイドブックとして役に立つと思う。

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