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タイにアロハの時期が来る

 タイは毎年4月13日から15日が旧正月「ソンクラーン」になる。タイ人が最も大切にする連休で、外国人には「水かけ祭」としても知られる。

 そんなソンクラーンの時期、タイ人の一部はなぜかアロハを着る。ビッグCといったスーパーや市場などでも原色の地に白のハイビスカス(?)などをあしらったアロハが格安で売られ、各地でこれを着て水かけに興じる人々を見かける。

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 この画像は数年前のカオサン通りのものだ。ここにも手前に何人かアロハを着ている人がいる。

 2020年のソンクラーンは残念ながら水かけ祭をしないところが多い。本来はタイ全土、どこでもかけ合うものなのでどこでもやるが、バンコクならカオサン通り、シーロム通り、伊勢丹のあるセントラルワールド前が有名だ。そういった特定の人気地域ではソンクラーン・イベントを中止することが続々発表されている。

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 セントラルワールドは2011年にたくさんの人を集めて一斉に水かけをするというギネス記録に挑戦したことからイベントが人気になり、毎年大盛り上がりになる。基本的に昼間に集まるので、健全な水かけの場所として子ども連れでも行ける貴重な場所でもあった。

 ところで、ソンクラーンが4月13日という中途半端な日程なのか、疑問はないだろうか。中国などの旧正月である春節は毎年日程が違うので、旧暦かなにかに合わせていると容易に想像がつく。では、タイはどうなのか。

 タイの旧正月も旧暦に合わせている。そのため、本来は西暦の日付は同じではない。たとえば今年こそ4月13日だが、2018年や2021年のタイ旧正月の元旦は4月14日であるなど、毎年違うのだ。大体13日か14日なので似たようなものだが、ただ、政府が(いつからか不明だが)4月13日から15日に固定したので、このようになっている。

 一方で、ソンクラーン、あるいは水かけ祭をこの日程で行わない地域もある。有名なところではパタヤがそうだし、バンコクならモン族が多いプラプラデーンというエリアが1週間遅れて水かけ祭を行う。

 かつてタイはチャントラカティというタイの暦を採用していた。この旧暦はタイ太陰太陽暦とも呼ばれる。このタイ太陰太陽暦の正月がソンクラーンだった。

 この暦が1888年に廃止され、タイ太陽暦に変更された。このときに新年は西暦での4月1日になる。ただ、実際の正月は元々のソンクラーンの時期で残り続け、1940年にタイ太陽暦が廃止され、西暦と同じ1月1日が正月になってもなおソンクラーンは残り続けている。だからこそ、タイ人はこの日を大切にする。

 ちなみにだが、このように暦が変更になっているので、1888年や1940年はタイの1月=モッカラーコムの始まりが違う、すなわち1年間が丸12ヶ月なかった年になるので、仏歴で歴史を見る場合、若干ずれが生じることもある。タイの歴史好きの人は憶えておいた方がいい。

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 そんなアロハの時期、ソンクラーンはある種戦争の時代にもなる。古い言い方をすれば交通戦争である。

 タイは日本と比較して交通事故件数や死傷者数が多いのだが、そんな中で年間の大半がこのソンクラーンの時期に亡くなると言われるほど、交通事故が多発する。中国の春節同様に、タイ人はこの正月期間に一斉に帰省する。そのときに飲酒運転などが多発する。

 ただの飲酒運転ならタイはものすごく多い。公共交通機関が発達していないので、飲みに行くにも車やバイクと使う人がいる。そのため、アメリカなどと同じようで、タイは日本でいう酒気帯びがなく、ほんのちょっとならアルコール検知されても捕まらない。

 しかし、ソンクラーン期間は正月というテンション、帰省の喜び、旧友との再会でアゲアゲになっているので、ピックアップトラックに人を満載にしたまま事故を起こすなど、通常時よりも事故のスケールまでがアップしているのだ。

 バンコクは渋滞がひどい場所として有名だが、この期間は車が一斉になくなり、渋滞が解消される。非常に快適な場所になるが、一方でバンコク出身者も飲酒運転するので危ない。勝手に亡くなる分にはいいが、巻き添えを食らってはたまらない。

 だから、タイのソンクラーン期間は交通戦争になるので、水かけを楽しむかわりに、周囲に注意を払わなければならない。2020年はその心配はだいぶなくなりそうではあるけれども。

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 地方への移動も注意したい。一斉に全国民が移動を始めるので、多くがソンクラーンの前日、あるいは前夜から移動し始め、渋滞が悪化する。

 たとえば、ボクの妻のナコンラチャシマー県はバンコクから道のりで約300キロだ。通常なら4時間程度で着くが、渋滞に巻き込まれるとバンコクからナコンラチャシマーまでのろのろ運転の12時間というのも普通だ。

 最近はタイ人もそのあたりを考慮して早めに出たり、逆に遅く出る。2020年は4月13日が月曜日なので、11日12日の土日もソンクラーン期間になる。10日の夜に混み始めるかもしれないし、11日の夜からかもしれない。このあたりは分散されるかもしれないし、一方で集中するかもしれないので、いわば賭けでもある。

 Uターンラッシュは14日の夜から始まるのではないか。16日17日を有給にしている人もいるので、多少分散されるとは思うが、例年通りであれば、15日が水曜日であるので、14日の夜から15日の夜にかけてが大渋滞とボクは予想する。

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 ちなみに、今回の画像のアロハはボクが持っているアロハの一部だ。ボクのことを実際に知っている人は、高田=紺色のポロシャツというイメージがあると思う。実際、この10年以上紺ポロ+チノパンを変えていない。

 実は会社員時代に副業としてネットショップを始めようとした。そのときに商品として考えたのがアロハだった。タイとカンボジアの国境であるアランヤプラテートに、カンボジアに集まった救援物資などの古着が来るので、そこでアロハを仕入れ、ネットで売ろうとしたのだ。

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 そのときのネットショップの名称は「NatureNENEAM」にしようとしていた。妻のアムがあまりにも天然ボケで、プラス娘の名前も入れようと。当時息子はまだいなかったので。

 Twitterのユーザーネーム(?)がそれになっているのも、元々店の宣伝用に開設したからだ。

 ところが、始めて1年間で2着しか売れず。速攻やめるよね。

 だから、ソンクラーンはアロハを見せつけられるので、いつもどんよりした気分になる。なぜソンクラーンにアロハなのか意味がわからないので、ボクとしてはもうやめてほしいのである。

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