ダナンやホイアンでしか食べられない麺料理「ミークアン」
ベトナム料理で「ミー」とつくものが多い気がする。サンドイッチも「バインミー」だし。ミーがつく麺料理の中では中部の名物である「ミークアン」が好きだ。
ミークアンは小麦から作った麺の料理なのだとか。そもそもミーが小麦という意味らしく。麺は平麺で、スープは魚介系らしく、イメージとしては日本のうどんのようなものか。
このミークアンはダナン発祥とも言われるし、ダナンの南にある古都ホイアンの5大名物料理のひとつにも数えられる。この麺は江戸時代のころにホイアンにやって来た日本人商人が伝えたものだという説もある。だから、米粉が原料の麺が多い東南アジアの中では珍しいだけでなく、うどんのような雰囲気もあるわけだ。
ミークアンと、ホイアン料理のカオラオという麺料理は不思議とダナンやホイアンでしか見ない。ハノイやホーチミンといった大都市でさえほとんど見かけない。まったくないわけではないらしいけれど、本場の味はやはりダナンなどに行かないといけないという点ではなかなか貴重な麺料理だ。
ミークアンは麺とスープの割合で見るとスープは少なめ。そこに野菜やせんべいのようなものを砕いて入れ、かき混ぜて食べる。サラダ麺のような感覚で食べられるほどさっぱりしていておいしい。この店だからなのかどうかわからないが、スープも熱くなく、食べやすい料理だった。
ベトナム料理は地方色が強いところがひとつの特徴だと思う。タイは大まかな地方料理はそれぞれあるが、狭い地域ごとに特別な料理というのはあまりないので、ミークアンのこういう「ここでないと食べられない料理」という感覚がない。だから、「ダナンだから食べる」という目的が自然とできるのがベトナム旅行の魅力のひとつにもなる。
ちなみに、ボクが食べたのはこのミークアン・アイニャという店だ。ダナン市内で有名なのはミークアンA1とかそんな名前の店なのだが、ボクが泊まった宿のすぐ近くにアイニャがあったので、こちらで食べた。アイニャは1972年に創業した店で、歴史も人気もある。A1の方は1975年らしいので、こちらの方が長い。
メニューは壁に掲げられ、一応英語もあるのでわかりやすい。カエルを食べてみたかったが材料がその日はなくて、ビーフとチキンを食べた。一度で気に入ってしまい、2回も行ったのだ。掲載した上の画像(最初のミークアンの画像)がビーフ、チキンが2枚目の画像になる。
壁に掲げられたメニューの右側の列、上から2番目にあるビールと、下の方のソフトドリンクの値段設定にボクはベトナムらしさを感じた。ビールが1.2万ドンに対し、ソフトドリンクが1万ドンだ。値差が2000ドン、すなわち約9円しか差がない。ビール好きにはベトナムは天国過ぎるという具体例なのだ。
ただ、Googleマップの情報では、残念ながらアイニャは廃業してしまっているようだ(2020/9/19時点)。A1も閉業中となっている。ベトナムはコロナ対策が厳しいこともあって、国内旅行もまだ厳しい状況らしい。さらに、しばらく国内感染者がいなかったのに、突如発生したのがダナンだったこともあり、おそらくダナンの飲食店はハノイやホーチミンよりも苦境に立たされていると見られる。
せっかくいい店だったが、ミークアンはほかの店で食べるしかないようである。