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タイは危険がいっぱい【そこら中に危険生物アリ】
バンコクと東京の違いはいろいろあれど、決定的に違うのは緑の量じゃないかなと思う。東京も公園も木もたくさんあるけれども、タイの場合はその緑が基本、自然のままということが多い。手つかずといえば聞こえはいいが、管理していないケースが大半だ。本当に昔のままというか、放置されているというか。
だからその分、東京とは違った危うさがある。大人ならともかく、子育ての場合は特にそうだ。そういった林や藪、原っぱにはたくさんの生物が潜んでいる。無害ならともかく、子どもには危険なものもいるので、本当に注意が必要だ。
こんなカメなんかはかわいい方だ。バンコクにはヘビも多数いるので、母親はよく子どもたちを林には近づけないようにする。
ボクは東京の郊外で育ったようなもので、確かに当時はヘビだとかトカゲがたくさんいた。それでも親や周囲の大人から「ヘビに気をつけろ」とか言われたのはたった1度しかない。知らないおばさんがボクを指さしてなにか叫んでいて、振り返ったら、木の枝から1メートル超のヘビがボクの頭に降りようとしていた。それくらい。
タイでは日常茶飯事で、日本ではありえないような注意事項があるのである。ボクが参加する救急救命の慈善団体の活動ではたまにヘビの捕獲要請がある。行ってみれば、日本だとテレビに出てくるような巨大で太いニシキヘビがいたりする。
怖いのはヘビだけでなく、トカゲもいることだ。それもカナヘビみたいなかわいいものではなく、イグアナくらいの強烈なタイプのオオトカゲだ。
頭からしっぽまでで1メートル超なんてまだ小さい方だ。バンコクではさすがに少ないが、自然の沼や湿地が残っていると、そこには一般的な道路の1車線分の幅を超えるくらいの大きなトカゲがいたりする。倒木かバイクが横たわっているのかと思うほどの大きさで、コモドドラゴンに容姿が似ていて、一度見たらおちおち歩いてなんかいられなくなる。
タイの河川には魚もたくさんいる。寺院の周囲は功徳として餌をあげることがあるので、メコンオオナマズなどがたくさんいる。タイの河川は水が濁っているケースが多い。土色の場合はそこに栄養がたくさんあるという証拠ではあるが、たとえば飛び込んでみたらこんなに大きなナマズがうようよいると思うとちょっと怖い。
とはいえオオナマズは人に噛みつくことはないし、そもそも噛まれても歯がないのかそんなに痛くはない。危ないのはレアケースではあるものの、ワニが生息していることだ。アメリカのように巨大なワニというのは基本的に自然にはいないのだが、小さいのならたくさんいる。バンコクの運河にだっているくらいだ。洪水などが起こるとワニの養殖所から大量脱走があって、周囲がパニックになることもある。
バンコクの中心地にあるルンピニ公園も、園内にはトカゲやワニ、ヘビがたくさんいる。このほか、公園だけでなく自然の藪や原っぱにはたくさんの虫もいる。刺されたら一貫の終わりのような巨大なムカデもいるし、なにかの毒を持っていそうなクモも少なくない。
タイはこのように見えないところに危険がたくさん潜んでいる。実際に命を落とす人もいるので、タイに限らず東南アジア全般で見えないものへの警戒心は強い。医療も十分に行き渡っていないので、自分の命は自分で守ることが鉄則になる。
こういった事情もあって、現在のコロナ禍に対する警戒心が日本や欧米諸国と違うのかもしれない。そして、この警戒心が早期に国内感染をかなり抑えることに成功したとも言える。
タイは自然豊かに見えるが、その中は野生の王国であることを忘れてはならない。じゃあコンクリートジャングルが一番か、とも思えるが、そこはそこで死角には人間という怖い動物が潜んでいたりするのである。