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炎天下の疲労回復にナム・ソム
旅行で見知らぬ街に行けば疲れも忘れて1日中歩き回ることもある。バンコクでさえ見るものがたくさんあって、何度訪れても街中を隅々まで歩いてみたくなるものだ。しかし、東南アジアの気温は舐めてかかってはいけない。案外過ごしやすいような時期でも、知らず体力を消耗している。直射日光と照り返しで汗をかき、身体の水分も奪われる。
そんなときにおすすめなのが、タイのジュースだ。屋台などではフルーツを搾って作っているので、着色料などにまみれたニセモノとは大いに違っている。そんなジュースの中でボクが好きなもののひとつは「ナム・ソム」だ。
ナム・ソムはオレンジの水という意味で、すなわちオレンジジュースのことである。レストラン、コンビニどころか、世界中どこにでもあるドリンクだ。
タイの生搾りジュースは無数に種類がある。ローゼルのグラジアップやライムのジュースであるナーム・マナーウもボクは好きだが、屋台で売っている生搾りなら、ダントツでナム・ソムがおすすめだ。
ちなみに、正確にはナム・ソムの「ナム」は、ライムジュースのように水を意味する「ナーム」と本来は長母音である。ここではカタカナ的に発音に倣ってナム・ソムとしている。
また、レストランでは「ナム・ソム・カン」と「ナム・ソム・パン」と表記されることもある。前者は画像のようなジュースのことで、「ナム・果物の名前・パン」となると氷と共に砕いているもの、つまりシェイクのことになる。
炎天下を歩いていて、ふと水分補給を思い立ったときにどんぴしゃりとナム・ソム屋台があったら最高である。特に搾り機とソムの実が置いてある屋台は確実にその場で作っているのでおいしい。画像のような安っぽい容器に入れられて、冷たい水が入った水槽で冷やしている。
砂糖の量も半端ないだろう。だから、最早オリジナルのソムの味ではないのだが、疲れた身体にはちょうどいい。とはいえ、イメージでオレンジジュースと思いながら飲むと、おそらく吐き出してしまいそうな味を舌に感じることと思う。
というのは、タイの屋台で売られているナム・ソムの多くは、日本や欧米などで一般的に言うオレンジジュースではないからだ。だから、オレンジジュースという思い込みで口にすると、味の違いに驚くだろう。ボクも初めて飲んだときは半分しか飲めなかった。
なぜそうなるのか。このナム・ソムはオレンジジュースというよりは、みかんジュースだからである。オレンジオレンジオレンジオレンジと思うと、全然味が違うのだ。
しかし、みかんみかんみかんみかん、と思いながら飲むと、なぜかこれがものすごくおいしく感じる。みかんとわかっていれば、身体がみかんジュースを求める。甘さと酸味がオレンジではなく、まさしくみかんだからだ。先の屋台においてある「ソム」の実そのものをみればわかるが、見た目からしてみかんそのものなので、オレンジの味になるわけがない。
だから、もしバンコクでこのジュースを見かけたら、「オレンジジュースだ!」とは思わないでほしい。あくまでも「みかんジュースを飲む!」と思い浮かべてほしい。そうすれば、このナム・ソムは最高のドリンクになること間違いなしである。