タイスキの隠れた名店「ルアンペット」
タイの鍋料理はいくつかあるが、一番有名なのは「タイスキ」でしょう。タイではスキタイ、あるいは単にスキーなどと呼ばれる。これは日本のすき焼きから取った名称とも言われるが、タイスキの原型は実際には中国の火鍋とされる。
そんなタイスキの有名店は「MK」と「コカ」だ。両方とも今は日本にあるので、楽しもうと思えばわざわざタイに来ずとも食することはできる。しかし、タイスキの名店はそれだけではない。各地にもいろいろある中、バンコクで紹介したいのは隠れた名店「ルアンペット」だ。
ルアンペット本店はペッブリー通りにある(正確にはペッブリー・タットマイ通り、あるいはニューペッブリー通り)。最寄り駅はMRTペッブリー駅だ。第2支店はシーナカリン通りにあるが、サムットプラカン県にあるため、ちょっと遠い。最近はセントラル・バンナー・デパートなどの商業施設にも進出しているので、本店以外でも楽しめる。
ルアンペットは1968年に創業している。野菜の行商だった人が始めたのがこの店だ。有名チェーンと比較すると小規模ビジネスで、第2支店を出すまでに36年を要した。
とはいえ、創業年を見ると、タイで初めて無料エアコンルームをレストランに置いたコカは1957年だし、今一番タイ人に好まれるタイスキのMKの歴史はちょっと複雑で、タイスキの店としては実質的にはかなり遅い。MKの母体になるタイ料理レストランがそれ以前のオーナーから買い取られたのが1962年、タイスキ専門店は1986年に始まっている。こう見ると、ルアンペットの創業は決して遅くない。
ルアンペットというか、タイスキ店各店の特徴はタレに現れる。MKが人気なのはタレがタイ人好みだからだ。画像ではわかりにくいが、ルアンペットはややピンクがかったような、ほかのタイスキ店と大きく違っている。MKと比較すると少しクセがあるため、好き嫌いがくっきりと分かれるだろう。
メニュー自体はほかと大きな違いはない。野菜があり、魚などのすり身団子があり、肉や魚など。またサイドメニューもある。これはほとんど同じだ。肉や魚はともかく、すり身団子も店によって特徴があって、ルアンペットではMKやコカとは違う食感を楽しむことができる。
肉や魚はそのものに他店との違いはないが、供し方にひとつ大きな違いがある。それはMKやコカは肉などがトレーでそのまま来るのに対し、ルアンペットは味噌のようなもの、生卵が載ってくる。これを鍋に投入する前にかき混ぜ、よく絡ませておく。
最近のタイ人はあまりやらなくなったが、20年くらい前はMKなどでも生卵を注文して肉に絡めてから茹でる人が少なくなかった。これはルアンペットの影響なのだろうか。あるいは、イサーン料理の鍋物チムチュムでも肉などに生卵を絡めるので、そこから来ているのかもしれない。
本店の場所はここになる。現在は4店舗で展開しているようだ。しかし、いずれにしても行きやすいのはペッブリー通りの店でしょう。今後の計画では数年間で支店を10店に増やすということだが、果たしてルアンペットはタイ人にブレイクするだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?