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【本物はこの一万倍綺麗だよ】極北の火山島、アイスランドでオーロラを③(渡航時期を考える)

2020年以来、5年ぶりのオーロラ観測旅行が、いよいよ目前に迫っている。
前回の旅の目的地は、アラスカのフェアバンクスだった。
今回目指すのは、北大西洋に浮かぶアイスランド。
アイスランド旅行記の3回目は、渡航時期の決め方についてお話しよう。

フェアバンクスのオーロラ

オーロラを見るにあたって、考えるべきはたった3つ。

  • ひとつめは、昼と夜の長さ。

  • ふたつめは、月の明るさ。

  • みっつめは、荒れやすい時期を避けること。

1.昼と夜の長さ

 ひとつめの、昼と夜の長さ。
 これはシンプルな話で、夜が来なければオーロラは見られない。
 地球は緯度が高くなればなるほど、季節ごとの夜の長さが変わる。また、オーロラが見える時間帯は場所によって違うとされる。アイスランドなら22時~24時頃だとされ、フェアバンクスなら3時~4時頃だとされている。ただ、あくまでも「人々の体験談」による噂話で、科学的根拠は今のところないらしい。
 さて、オーロラ観察に適した「夜」をどう定義するかと調べてみれば、「天文薄明」という言葉に至る。
 太陽高度が地平線よりマイナス12度以下に隠れる状態であり、人の目ではほとんど夜。写真撮影をすると、うっすらオレンジ色が残っている状態を指す。更に太陽が沈んで、地平線よりマイナス18度以下に隠れると、天文学上「夜」と定義される時間がやってくる。

天文薄明の時間に撮影した写真
人の目では真っ暗な夜空にしか見えない

 オーロラベルトの位置する北緯60度付近では、5月~7月頃にかけて、天文学上「夜」が訪れない期間が続くらしい。つまり、おおよそこの5月~7月を避ければオーロラが見られるということになる。となれば、意外と余裕がある。

レイキャヴィークにおける昼間時間および薄明時間
©WeatherSpark.com

 とはいえ、「いやいや、そこまで色々考慮するのは面倒だ」という人もいるはず。そんなときは、「秋分の日から春分の日までの間に旅行すればいい」と、シンプルに考えれば問題解決。カレンダーにも載っているし、秋分の日も春分の日も日付はほとんど変わらない。何年後の予定であっても、スケジューリングは簡単だ。

オーロラ旅行は秋分の日から春分の日の間で計画しよう

オーロラ旅行のポイントその1

2.月の明るさ

 ふたつめの、月の明るさ。
 覚えておいて欲しいことは、満月の前後2日間を避けること。
 月明かりは想像以上に明るすぎる。特に、満月の日はオーロラの光を打ち消すほどに明るく輝く。そもそも、満月下なら読書さえ可能なので、雪に覆われた真っ白の世界では、言うまでもない。
 かつて一度だけ、満月の夜の室堂平に星の撮影に出かけたことがあったけれど、映し出された世界は真夜中とは思えないほどに明るかった。

満月の夜の室堂平①
満月の夜の室堂平②

 もちろん、オーロラ大爆発と呼ばれるような太陽風の強い夜なら、満月だろうとお構いなしにオーロラは綺麗に見られるけれど、運良くそういう日に巡り逢えるとは限らない。
 でも、月明かりには利用価値がある。それは、地上の景色を照らしてくれるということ。
 写真の撮影をするならば、地上の世界とオーロラの調べを共演させたいというのは、写真好き皆が思っていることだろう。上弦の月や下弦の月の時期ならば、それを叶えるチャンスが広がる。
 月の明るさというのは、想像以上に重要な要素となり得るのだ。

月夜であれば、地上の景色を照らしてくれる

オーロラを見るなら、新月の時期を狙おう
オーロラの写真を撮るなら、下弦の月~新月~上弦の月のサイクルを狙おう

オーロラ旅行のポイントその2

3.荒れやすい時期を避ける

 みっつめは、荒れやすい時期を避けること。
 これ、結構大事。特に、アイスランドは「荒れやすい」と言われる国のひとつ。
 ブリザードに巻き込まれたらその日は宿に引き籠もるだけになるし、出入国の日に当たってしまうと旅程に大きな影響が出てしまう。
 アイスランドは「朝起きて、晴れているなと思って服を選んで、着替え終わったころには吹雪になっている」と言われるほど、目まぐるしく気象状況が変わる国だ。しばしば、カリブ海からやってくる暖流と北極海からやってくる寒流がぶつかり、その中心で嵐が起こる。強風をもたらして、冬の時期にはブリザードになるという。
 過去の気象統計によると、夏よりも冬の方が強い風に見舞われることが見て取れる。とはいえ、オーロラの見られる時期に限定すれば、大差はない。強いていうなら、9月は穏やかな気候に見える。

レイキャヴィークの平均風速
©WeatherSpark.com

 9月まで待つべきか、早期に決行するか。悩ましい。
 とはいえ、11年に一度のオーロラの当たり年と言われる期間がいつまで続くかわからない。それならば、もっと早く挑戦してみよう。ダメなら9月にリトライすればいい。
 そんなこんなで、2025年2月にアイスランド渡航を決めた。

冬のアイスランドは荒れやすい。
比較的おだやかな9月がベストシーズンだが、大差なし。

オーロラ旅行のポイントその3

(次回の更新は2月4日を予定しています)

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