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考察:ヤマト運輸と日本郵便の協業見直し打診に関して
こんにちは!個人投資家のTAKA Chanです。
2024/12/13のニュースです。マスコミ各社が報道しています。
今回のニュースで示されたは、両社の背後にある「思惑」や「背景」を考えると、以下のようなポイントが浮かび上がってくると思います。
物流はもはやなくてはならない生命線であり、電気、ガス、水道等と並び、重要インフラの1つでありますので、少し考察をしてみました。
1. ヤマト運輸側の思惑
(1) コスト構造・収益性の見直し
ヤマト運輸は、メール便や薄型荷物(クロネコゆうパケット)の大量処理に対するコスト負担や、委託手数料、配達品質確保のための投資などが想定以上に膨らんでいる可能性があります。
現行のスキームが十分な収益改善につながらず、むしろコスト圧迫要因になっていると判断した結果、一時的な中断・再交渉に踏み切った可能性があります。
(2) 自社のブランドコントロールやサービス品質確保
荷物を他社に委託することで、自社独自の品質管理やサービス水準が維持しにくくなる場合があります。顧客からは「ヤマトブランド」に期待する品質・迅速性があるため、日本郵便への委託で顧客満足度低下の懸念や、ブランド価値低下を防ぎたい思惑があるかもしれません。
(3) 物流環境の変化・競争環境再評価
2023年当時に深刻化した物流ひっ迫が、2024年以降状況や市場環境が変化したことで、当初見込んだ協業効果が薄れた可能性があります。
特にEC需要の伸びや変動、競合他社の動き、業界再編など外部環境を踏まえ、当初計画を再度見直す必要を感じた可能性があります。
2. 日本郵便側の思惑
(1) 受託業務拡大による収益確保・稼働率改善
日本郵便は、ゆうパケット系やメール便類似商品を受託することで、自社ネットワークや人員稼働率を上げ、郵政民営化後の収益基盤強化を図っていました。委託打ち切りはこの計画を崩すものであり、ぜひ回避したいという思惑があります。
(2) 長期的な競合関係緩和・パートナーシップによる新たなサービス構築
ヤマト運輸と日本郵便は本来競合関係にありますが、協業は両社が市場全体の効率化を狙う試みでした。これにより郵便局ネットワークを最大限活用した新商品開発や、新たな流通形態への足がかりとなる可能性があったため、日本郵便はこの協業を戦略的資産として継続したい狙いがあるでしょう。
(3) 協業解消による信用問題
既に合意に至った協業を一方的に中断することは、日本郵便側としては対外的な信頼問題にも発展しかねません。他のビジネスパートナーや荷主に対する「突然スキームが変わるかもしれない」という不信感を与えることは避けたい考えがあると考えられます。
3. 今後の業界全体への影響
競合・協力の再定義
物流業界は人手不足、EC需要増加、コスト高騰など構造的課題を抱えています。両社間のこの動きは、単なる二社間問題にとどまらず、「業界大手が手を結んで課題解消を図る」モデルの難しさを露呈することになり、今後の協業モデルや市場構造に影響を及ぼす可能性があります。エンドユーザー・荷主への影響
協業見直しにより、荷主(通販事業者など)が利用できる物流サービスの選択肢やコスト構造も変わるかもしれません。エンドユーザーである消費者への配送期間・料金・品質への影響も懸念され、これが各社の戦略立案に影響を与えます。
まとめ
総じて、ヤマト運輸はコスト・ブランド・サービス品質や市場環境変化への再対応を目論み、日本郵便は安定的な受託業務による収益確保や新サービス展開の基盤を失いたくない思惑があると言えます。
協業見直しは、両社の事業戦略や市場構造を再考させる一大転換点となる可能性があります。
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