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V6ファン勤続24年の私からささぐ、偏愛のメロディ〜勤続25年グループの面白み(の一部)〜
私は、好きなものについてまっすぐ愛を語ることができない。
人によっては、この後の文章を「愛を語ってるようにはみえない」と思うかもしれない。
けれど、
これでもファン歴24年だからな!
何もなくて24年ぶっ続けでファンやっとらんわっ!!
…と思いながら本人は語ってるので、その辺はどうぞよろしく。
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「勤続25年」のアイドル
アイドルという独特な「商品」、あるいは「職業」、その消費期限の速さについてはいうまでもないだろう。
若者の若さそのものに多大な資本を注ぎ込み、数年内でのハイリターンを狙う。それがアイドルというものだ。
とまとめたいところだが、ここ10数年は若干様相が変わってきた。
主だったアイドルグループは、解散までの期間が非常に長くなった。そこそこ以上売れてるグループでの存続10年超えはザラだ。
また、グループだけ存続させながら人を入れ替えるケースも一般化した。「モーニング娘。」の看板は今や安心と信頼の老舗の印だ。
その代わり、よく見るようになったのは、メンバーの入れ替えや脱退のケースだ。
若さというパラメータを存続させるなら加入・卒業を随時していく方が合理的だ。
ただ、これは客層によって合う合わないがあるらしい。そういうグループからは、人が減っても増えることはない。
V6はついに25年、休止も解散も入れ替えも脱退も起きずに存続した。
存続しなかったり人が辞めたりすることはマイナスではない。なんならアイドルは卒業することで、芸能人としてもっと上に行ける場合すらある。
そのうえで、V6は「25年この6人で存続した」。
「勤続25年の男たち」というキャッチフレーズは、アイドルという「商品」としても「職業」としても突き抜けておかしいはずだけど、V6という「商品」の特異性をこれほど鮮やかに切り出したことばもないだろうと思う。
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25年一つのプロジェクトに専心した職人達
ジャニーズ事務所は「目立つ人」「目立ちたがる人」が採用されやすい事務所のようだ。
デビュー組(CDデビュー等により、一人前とみなされたタレント達)だけをみても、グループのうち数名は王子様で、うち数名はとにかく前に出たがる。また、全体的にコミュ強が多い。
そんなジャニーズのタレントが、歌番組の企画や年末カウントダウンで大勢集まることがある。
その時、
V6の霊圧がよく消える。
いないわけじゃないの!いるの!後ろに!身長カミングセンチメートルな方々は特に埋もれるの!
V6が長持ちしている秘訣の一つに、この「俺が俺が、が居ない」ということもあるのだが、ジャニーズ事務所内ではこの性質は最も不利のようだ。
だから事務所内ではイマイチ目立ちきれない気もするが、目立たないまま単に25年ただだらだら続けていたわけじゃない。
ジャニーズ事務所のタレントファンがまことしやかにささやく「25周年の壁」。25周年を普通に迎えられることの難しさを象徴するワードだが、これを彼らは現役バリバリのまま越えようとしているのだ。
せっかく「勤続25年」というなら、もうちょっと普通の企業寄りの喩えをしてみよう。
25年前、商品名「V6」を売るプロジェクトが立ち上がった。プロジェクトメンバーにはちょっと経験のある人と未来のスター社員と思われる人と、ド新人を配置した。
「V6」という商品は、2020年の今も根強く売れている。
1995年発売の初版モデルのままで売れ続けるわけはない。時流に合わせたモデルチェンジを繰り返してきている。
頑張る若者から、兄貴分として若者を応援する立場へ。
時には手痛い失恋を、時には大人のワンナイトラブを歌う。
結婚すら通り抜けた(この「モデルチェンジ」をグループ単位で成功させたのは、V6が初と言っていいと思う)当プロジェクトは、あの6人のメンバー構成のまま。彼らは一意専心、これを築き上げてきた立派な職人集団となっていたのだ。
…職人ゆえの内向性もあるから、外では弱いのだが。
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多面性のあるキャラクター
私がV6ファンになったきっかけのひとつは、V6がデビューして間もない頃に放送されたドラマ「銀狼怪奇ファイル」だ。
KinKi Kids堂本剛主演のドラマ「金田一少年の事件簿」が人気を博し、その少し後に放送された同じ枠の堂本光一主演ドラマ、ということで、純粋に内容に期待して観始めた。
そこに、非常にかわいい少年が出演していた。
声変わりも終わってなくてかわいい。
これが三宅健に対するファーストインプレッションだった。
男性に「かわいい」という形容を生まれて初めて使った。
完全にファンになったのは、その2ヶ月後だ。
フジテレビのバレー中継の関係で、V6がワイドショーに出演していたのをたまたま観たのだが、この時に放送されたVTRで、薬師寺力の「中の人」本来のキャラクター性を知ることになった。
バボちゃんのきぐるみから出てきた三宅健。
なんだこいつΣ(゚∀゚)
見た目と中身の完全不一致に腹筋崩壊させられた私は、この後人生初のアイドル誌を購入。
インタビュー記事の方には、むしろ真面目に思い悩む優等生としての彼がいた。
この多面性に惹かれることとなった。
多面性とツッコミどころに満ち溢れたこのグループは、噛めば噛むほど旨味が出てくるスルメ感がある。
ファンではない人のパブリックイメージは「学校へ行こう!」そして後継の特番「V6の愛なんだ」シリーズにみられる「気のいいお兄ちゃん達」なのだろうし、これはこれで正しい。あと「修学旅行コントの人達」でも合ってる。
そういうお茶の間にフィットした部分だけでも楽しめるといえばそうだが、彼らとてジャニーズアイドル、王子様的な仕事もしっかりするわけだ。
また、個人の仕事となればまた様相が変わる。
やることが違えば手法も変わるのは当然なのだが、アイドルの場合「アイドル職の手法」で何でもやってしまうイメージが強い。V6のメンバーはそこから外れてる部分が大きいので、個人の仕事が増えることはファンとして観ていてオイシイと思う。
かといってグループの仕事にも手を抜かないので、安心感もある。
ただメンバー個別のお仕事を追うだけで、岡田准一主演の大作映画は勿論、坂本昌行主演のブロードウェイミュージカル日本版、日本版が全世界初上演となる森田剛主演舞台まで押さえられる。その分野に詳しくなくてもちょっとだけいばれる(笑)。
そのかわり、V6が好きというファンの中でさえ、個々のメンバーに対するイメージはバラバラになる。
お気に入りのメンバー(「自担」や「推し」などと呼ばれる)が同じな人の間でさえ、たまに見解の不一致がおきるほどだ。
ましてやファンではない人々のイメージとファンとの間の落差は激しいだろう。
一番この辺の落差が激しいのは井ノ原快彦だろうか。
NHKの朝の顔だった「みんなのイノッチ」な部分も愛されているが、アイドルとしての彼のファンはそんな一面的な見方はしていないはずだ。
顔は小さい。身は細い。ダンスの動きは特に激しい(どこにあるんだその筋肉)。表情を作ってない時はむしろクール系だったりする。
歌唱力は高いうえ更にまだ伸びている。楽曲制作は本職の音楽家と同じ機材で作るし、物語を作らせると狂気に片足を突っ込む。司会モードでない時の話は3割盛られている。
顔立ちと俗っぽさからはわかりにくいが、実は小学生から育成されたジャニーズのエリートでもある。
…フィクションならば、要素詰め込み過ぎて作家が担当に怒られる。
V6は、こういうギャップを楽しみやすいグループであると思う。
私はグループ全員を推す「箱推し」傾向のある三宅・長野ファンということになる。
三宅健は、生真面目優等生と自由過ぎるチャラ男が矛盾なく併存していることに面白みを感じる。自分が24年ファン続けているのは、ほぼ同世代の感性と、少し先に社会人となっている人の思いとが、インタビュー等で学び取れたことも大きい。さすがにこの年代になると、彼我の差が激し過ぎて学びはあまりないけれども(笑)。
あと、あまりに見た目年齢の変化が遅いので、今後どうなっていくかも楽しみだ。経年変化はそれなりにしていて、そこを見た目を整える努力と「かわいく見せる技術」で補ってるのはわかってるが、敢えて言う。
長野博は、風貌と所作の綺麗さで「ロイヤル」というファンもいるが、私はそうは思わない。確かに穏やかでたおやかな美人なことも好きなポイントであるが、中身は見た目に反する部分が多く、人間臭くて好きなのだ。
(キレイな言い方をすれば「光であって人である」となるだろうか。ウルトラマンティガより。)
食べることが好きだからという理由でグルメタレントになる(現役アイドルとして高リスクなのに)し、坂本に対しては長年連れ添った相棒として、また井ノ原に対しては兄貴分として、毒味が強くなる。V6結成の折、彼はかのジャニー氏に直談判してデビューを勝ちとったそうだ。そういうとこだぞ。
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ジャニーズでしか存在し得ないが、ジャニーズの本流ではないV6
ジャニーズアイドルのうち、よく識るのがV6しかいないので、あまり他のグループの事情は知らない。
デビュー組すら若手は顔と名前は一致しないしな。
V6は、歌って踊り、グループでバラエティ番組等に出るようなアイドルグループだ。ここだけならごく普通のジャニーズアイドルである。
でも、彼らはジャニーズの本流からは外れ気味のところを走ってきた。
もちろん、バレーボール番組のマスコットというグループの成り立ちは極めてジャニーズ的であるし、年齢や経歴がバラバラな寄せ集めが当初勢いでどうにかしていたのもジャニーズ的だ。
だが、そのうち雰囲気が変わってきた。
コンサートではジャニーズJr.含むバックダンサーをなくした。
バラエティ番組の感覚は、非常に低俗だった頃のTBSで育てられた。
特にavex traxがレーベルであったことの恩恵は大きい。
V6のデビュー当時は小室ファミリーが多数活躍していたダンス系レーベルだ。手垢のついたものを出したくない、というプライドがあったのだろう。
アイドルポップですら、恐らくジャニーズ事務所の発想では生まれていないような手の込んだアレンジを組み込んでいる。例えば、初期作にはオーケストラヒットが多用されているが、あれもダンス系ポップの当時の流行りを取り入れていたものだ。
V6メンバー自身も早いうちから楽曲作りに積極的になっていたので、avexスタッフとともにアイデアを練り上げた作品が多数生まれていった。
また、ダンスも、新たな・数多くの振付師にオーダーすることで刷新を続けたり、難易度をどんどん上げていった。アクロバットは途中で手放したが、その分振り付けのレベル上げに振った形だ。
バッキバキに踊ることもできれば、大人らしくスローな表現もできる。なお後者は遅筋も使って踊っているので、並の身体能力ではない。
素人にはわかりにくいところだが、V6の振り付けは事務所トップクラスの難しさ…といわれて久しい。「久しい」し、なんなら本人達もそこから落ちたくないだろうな。身体能力はこの年齢にしてまだ上がっているようだ。(老眼は鍛えられないところなので許してやってくれ…)
なお、かつてガムシャラに踊っていた振り付けも、今やると非常にユルい力でできてしまうので、昔の曲を歌うシーンもなかなか面白い。
そして、こういうことを突き詰めていくと、ジャニーズ的な、としか言いようのない謎のトンチキ感(事務所総体のファンは愛をもってこう呼ぶ)の何割かが削れてしまう。
もちろんジャニーズのグループなのでトンチキ成分はあるが、例えば本気でトンチキに取り組むと「kEEP oN.」のような奇曲が完成する。これはこれで極端だ。
彼らはかつての絶対的王者SMAP、曲がよく売れるKinKi Kids、やがて台頭してきた嵐…等の中に紛れて、どの時代にもアイドルとしてのトップにはなっていない。ゆえにファンの傾向も、他のグループよりはマニアックに寄っているようにみえる。素晴らしいマニアック。
アイドルというのは本来パッと花咲いて散るものだが、「勤続25年」という状態こそがV6最大の「トンチキ」かもしれない。
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最後に
これ以上長く書くとアレなのでとりあえず控えるが、思った以上にいろいろ語れることに気がついた。
・実は高い歌唱力と、バラバラな声質を使い分けた巧みな歌い分けについて
・リーダーは坂本昌行しかありえない理由
・ジャニーズ事務所の歴史変えるほどの天才・森田剛、その趣深さ
・トニセン・カミセン・V6の関係性
・乙女ゲーの中でもワンセットの坂本&長野
などなど。
つまり、長年追っていても、ずっと面白いのだ。
V6には、私のようなタイプのヲタクの心を掴んでしまうだけの懐の深さがある。
だから、V6には勤続26年、27年…と続いて欲しいし、私もその分生きていこうと思う今日この頃だ。