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ガンマナイフ治療してきました

数年来患っていた聴神経腫瘍が大きくなりつつあることから、それを放射線で取り除く「ガンマナイフ治療」を受けることにしました。

聴神経に腫瘍があると、突発性難聴やら、耳鳴りやら、頭痛やらが起きるのですが、大きくなればめまいやふらつき、顔面の神経にも影響するとのこと。なので、大きくなるようであればガンマナイフか摘出手術を行う必要がありました。

主治医は「そろそろやっておいた方がいいですね」、ガンマナイフの担当医は「うーん、もう少し大きくなってからでも良い気がしますが」と見解が異なっていました。
こちらとしては、やはり耳の奥のもったりとした重みや時折発生する耳鳴り、耳が塞がったような感覚など、小さな不快な症状はあるので、サクッと治療できるものなら治療したかったのです。

ガンマナイフ治療の後に一時的に腫瘍が浮腫むこともあるそうで(治療直前に聞きました)、その時もっと不快なことが起きるなら今やっておく決断をしたのは正解だと思っています。

ガンマ「ナイフ」という名ですが、物理的に切るのではなく、ガンマ線を病巣に集中して組織を焼くという治療法です。

今回はその体験談を書きます。

病院そのものの話は最低限にします。
医療に携わる方々の対応は良かったので、特に文句はありません。

そして、そもそもこの聴神経腫瘍を発見するきっかけとなったのは右耳の突発性難聴を診ていただいた耳鼻科のクリニックで、2回目起きた時に紹介状を書いていただけたことから今があります。その名医の方にも感謝しています。


入院準備

多くのガンマナイフを行う病院では入院期間2泊3日が多いため、そのつもりでいたら3泊4日でした。まあそこは病院の方針ですので、仕方がない。
会社員なのでもちろん休暇をとる必要があり、奇跡的に仕事への影響が極めて小さいタイミングでスケジューリングできました。毎年休暇余らせの民なので4日程度は痛くないです。(遠い目)

完全に高額医療なので、まともに喰らったら大変な請求額になります。ただ私は別件で限度額認定証も発行済みで心配はありませんでした。
しかし、それ以上に強かったのはマイナンバーカード保健証。どうやら、これで高額医療費を含む全情報を提供すると限度額も一撃でわかるみたいです。
(私はこの辺の仕組みがわからないので、先に認定証を発行すること自体必要なのか、何もせずとも限度額で計算されるのかは不明です。)

入院前の診察からほぼ1ヶ月の空きがあり、仕事を調整したり入院準備をしたりしました。
若いうちならともかく、歳をとると保証人(借金の保証人みたいなものです。自分の家計以外で生計を立てている人に限定)欄で悩みますね。結局実家に頼んだので、向こうには寝耳に水な入院の話になってしまいました。
あと緊急連絡先として、実家の外には会社や近所に住む彼氏さんの電話は記しています。近隣の「友人」はこういう時に大事ですね。

パジャマや衛生製品の多くは病院に入っている業者の入院セットを使用。470円/日かかるといえ、歯ブラシも支給されるしタオルも借りれるし、と良いことしかありません。おむつの必要な方は別途支給があるみたい。
そんなわけで、必要なものは下着類と、普段使っている薬、そして顔のサイズ上マスクは要るかな、という感じでした。長く入院する方はコインランドリー用洗剤と、お年頃の女性は生理用ナプキンも必要でした。
洗剤は入院先によって自動投入型を採用していることもあるので(利用者は洗剤を買わなくて良い)、入ってみないとわからないんですよね。この病院では必要でした。

耳の神経(正確には神経の鞘)の腫瘍を焼くだけなので、身体は元気。何か足りなければ自販機や売店のお世話になれば問題ありません。
それより、元気な病人って暇を持て余す方が問題なわけです。積読の本を鞄に入れておきました。


入院1〜2日目(検査日)

最初の2日は検査の日です。

特に1日目は2時間半くらいぶっ続けで検査をやったのでヘトヘトに、最後に時間を置いてMRI検査が一つありました。

聴力の検査って相当気を遣うので、緊張して1つ終わるたびに「ふへぇ…」となるんですよね。
健康診断でもやる「ピーとなったらボタンを押す」検査あるじゃないですか、あれも音程が6段階くらい、音の大きさも3段階“は”あります。
あれってほんのりでも聞こえたらOKなのですが、大きな音を聞いた後だとうっかり小さな音も聞こえたような気がしてしまうことがあり、意識をきちんと耳に集中しなければならないのですよね。

普段耳の検査は上記の検査と骨伝導バージョンまでですが、今回は「文字」の聞き取りも加えられるなど、より詳細に調べられ、緊張感MAXでした。
あとは耳鼻科医による目視の検査や顔の神経、手足の動きをみる検査があったり、ふらつきの検査があったり。その後CTも…。

病室に戻って真っ先にしたのはお茶のがぶ飲みでした。病院といえば「あのお茶」です。おかわり自由が嬉しい!

このコップも入院セットに入っていました

それに対して、2日目はほとんど動きがありませんでした。
ちょっとだけ耳鼻科の診察と、1日目の検査結果の話だけでした。正常範囲だけどふらつきがある、という話でしたが、これは運動不足による筋力の問題な気がします。

そして当日の重要事項は、身体をよく洗うこと。特に頭は、翌日洗髪ができないため二度洗いしておきなさいという指導でした。


入院3日目(ガンマナイフ当日)

治療の開始

ガンマナイフ治療で具体的に何をやるのかは初日に説明はありました。
しかし、問題は何時にやるかわからなかったこと。これは当日の対象者と担当医のスケジュール次第となっており、前準備を行う看護師さんも当日まで時間を知らないとか…。

私は幸い2番目と早い番手になりました。午前中で終わりそうです。
最悪のケースは昼食の時間に食事が丸かぶりして、お昼の焼きうどんが食べられないことでしたが、どうやら心配なさそうです。

まず病室にて、10時頃から血圧などの検査に加え、点滴が始まりました。
が、

針入らねぇ…。

私は採血ですら苦労する血管持ちのため、点滴のルートを作るのも一苦労なのは、別件の入院で痛感していました。

人を交代しての3回目でも失敗した時、手の甲という最悪の選択(採血ですら泣くほど痛い)を覚悟しましたが、どうにか左前腕の手首より1/3ほど肘寄りのあまり痛くない場所で針の留置は完了。

この状態で寝ることしばし。移動の声がかかりました。
点滴針を刺す前もお手洗いを済ませておいたのですが、もう一度行った方が安全かな?という状態になっていたので、済まさせていただいてから治療室へ向かいました。お手洗いが近くなったのは、点滴の影響かもしれません。

治療室にて

病室と治療室間の往復は専用車椅子でした。
病院内に慣れた方に最短距離で押してもらえるの、たーのしー。

治療室の前室に到着すると、まず医師からの最終的な説明を受けました。大小さまざまなリスクの話を聞いて、承諾の署名をしました。
冒頭の浮腫の話はここで聞きました。一時的に浮腫んで大きくなることは割とあり、その後半年〜3年で萎むものとのこと。であれば、当分は難聴や耳鳴り、頭痛とかが発生するかもしれません。
顔面神経麻痺もリスクとしてはありますが、今回は腫瘍が顔面神経に全く届いていませんし、あまり高いリスクではなさそうでした。

説明後は、装具を頭部に装着します。
頭全体を囲むフレームに頭をネジ止めして、そのフレームごと治療機器に固定してしまえば、ガンマ線が患部からズレることはない、という理屈です。

額の左右のでっぱり辺り、後頭部下方に2つのピンを装着するので、絞め方としては前後に斜め掛けしたような感じになりますが、某万力俳優の気持ちになれます。

さすがにこれをノー麻酔でやるわけにはいかないので、それぞれのピンを刺すところに局所麻酔はします(痛い)。しかも額の麻酔の効果が出るのが遅く、当初はピンに対して刺すような痛み(終了後出血してたので、文字通り刺さってたみたいです)はしましたが、やがてそれもなくなりました。

ここで治療室へ移動。

ゴツい頭の装具を機械にガッチャンコすると、患部は完全に動かなくなります。その分、身体の動くところが多少派手に動いても問題はないとのこと。

そして、心電図と酸素濃度の器具を装着。
ナースコールボタンを持たされました。

この病院では、患者さんの気持ちをリラックスさせるために有線放送を契約しているそうです。
前室では身体が自然にノッたらヤバイと思ったためクラシックを流してもらった私ですが、ここから先は「少し昔のJ-POP」をオーダー。

2010年代の曲が「少し昔」判定されていることに軽く戸惑いを覚えつつ(歳ですね)、台の上でCT撮影、そして本番のガンマ線照射35分が行われました。

照射そのものは、体感としては「なんだか顔の右側が暖かい」というだけのものでした。目を閉じろとも言われていないので目を開けてみると、火を入れたことのない焼き釜の中に頭を入れたような、なんとも言えない雰囲気です。

駆動音はあまり大きくはありませんが、BGMに対してそれなりに被ってしまう関係上、音楽を楽しむなら音量大きめが良かったと思いました。音量アップを提案されていたのですが、駆動音のことを完全に失念していたので、そのままにしていたんですよね。

とはいえ、T.M.Revolutionや嵐がほどほどに聞こえ、それを耳にしながらウトウトするのにはちょうど良かった。結果オーライです。

終了後

気がつくと、照射35分はあっさり終わっていました。
まずは治療室内に取り付けたものを全部取り外し、前室へ戻りました。

そして装具を外します。

麻酔は効いているので直接的な痛みはないものの、外した時になんとなく衝撃のようなものは感じられ、「あーこれ、後で頭痛いかもなー」と思いました。

額左のピン跡から出血していたのでそちらの処置をしつつ、他のピン跡もガーゼを貼られネットで保護。翌朝までネットを外すの禁止とのことでした。

点滴は続けながら病室へ帰還。

病室では、まず点滴を外されました。
これで終わりかーと思っていたら、酸素ボンベのチューブを着けろと指示がありました。あのチューブの鼻の穴のところに縦穴があって、そこを鼻の穴に差し込むタイプのやつですね。あれってチューブを耳にかけて固定するんですね。知らなかった。

そして、血圧、酸素濃度あたりを確認しましたが、どちらも正常そのものなので、酸素ボンベ終了です。なんで…とは思いましたが、たぶん酸素ボンベが必要な人はとっとと繋げなければならず、今回はたまたま私が元気だったので無意味になった、ということでしょう。

この時点で12時過ぎ。

セーフ!

焼きうどん食べられました(°▽°)

さて、予感していた頭の痛みですが、最初に来たのが右の額でした。左ではなく。
それから、やはり全体的に頭を締められた後という感覚は残っており、重だるさは残りました。

痛み止めは出せるとのことだったので、ロキソニンを1錠持ってきてもらい、食後に服用しました。

その後、コーヒーを淹れてお菓子を食べてから、このnoteの草案を書いていたのでした。

だる重はしばし続いていたのですが、どうも額左の出血はまあまあ長いこと続いていたみたいです。洗顔時に濡らさないこと、という注意事項はありましたが、今夜は洗顔そのものをパスさせていただこうと心に誓いました。


翌日(退院日)

仕事の悪夢でうなされた夜が開け、いつものように目が覚めました。
この時点で、体調のうえで特に何か変わった様子はなし。右耳の奥のだる重も変わらず。腫瘍の形自体は変化していないので当然ですね。
頭を締められた後の重だるさの方は軽快していました。もうじき消えるでしょう。

看護師さんによる体調のチェックでも何事もなく、追加でピンを固定した箇所の消毒だけ行ってもらいました。
最後に医師が来て、退院許可をいただきました。

「変わったことがあったらすぐ電話して」以外に、これといって注意事項はありませんでした。
…とはいえ流石に、今週末は遊ぶのはやめにして、大人しくしようと思いました。

すべてが終わり、退院の支度を済ませ、入院費を払うと無事退院です。

支払後、領収書の保険診療の合計額と支払額を見比べてみると、総額のほぼ1/10にまでなっていました。高額医療費の限度額、強過ぎです。

以後、家に帰って大人しくしていますが、18時現在まで特に変わったことはありません。
身体が鈍っているくらいでしょうか。
あと、ピンの痕は頭を洗う際痛そうな気はしますので、戦々恐々としています。

今回、ガンマナイフ治療そのものには、何の問題もなかったのでしょう。
この先に何かあれば追加で書くこともあるでしょうが、変わったことがなければここで終了です。

…なお、積読の本の進捗は3/5くらいでした。
動画観たりとかしてるから進まないんですよね。

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