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アツギ炎上話補遺&おまけ

先日アツギの炎上で前後編のnoteを書いた。

前編
後編

その後編についたコメントを見て頭を抱えた。

いただいたコメント

それはそう
ただ、これをいうと尚の事、アツギは広告への客の反応が「炎上」だったことに文句を言ってはいけないということになってしまうのだ。

これがもしセクシーランジェリーのお店なら、「そういう人に訴求する広告」は正しい。
そうじゃないから「ラブタイツ」は燃えた。そして、「いいね」で燃えたのはその行動が「この前の炎上、反省なんかしねえしw」という風に見えたからだ。(実際はわからないが、「見えた」時点で企業公式としてアウトなのだ。)

私が「アツギがなぜ燃えたか」を2つに分けたのは、それぞれのメカニズムの違いがあると考えたからだ。でもそれがこれらのnoteのわかりにくさを生んだといえなくもない。

このnoteは、前回あまり書いてなかったあたりをもう少し書いてみようという補遺だ。

…まさかこのネタで3つ目書くことになるとはw


どうして一般ユーザーが嫌がったか

まず「ラブタイツ」の炎上の話に戻していこう。

タイツやストッキングをどういう時に履くのか。これはそれらのユーザーでないと知り得ないことだと思う。

過去に書いた通り、アトピー性皮膚炎の患者である私にとってストッキングは極力避けたいものだ。
基本それでスカートを避けている。そして、スカートを履く場合は極力靴下にしたい。

とはいえ、その切なる願いが却下される局面がある。
仕事の時だ。

女性のタイツやストッキングは、実のところ公式な場で化粧並みに強制力が働く厄介な服だ。
フォーマルな場、言い換えればエロが邪魔な局面にもよく身につけるものだから、ユーザーほどエロと混ぜて欲しくないという思いが生まれやすい。

この思いをユーザーではない人々に理解してもらうのは難しいところだ。
娘を持つお父さんだと納得しやすい様子だったから、ぼんやりと「ローティーン〜20代の女性」というイメージで捉えている人にはわかりにくいのだろう。

で、一番わかりやすい例を考えた。
恐らく最も解像度が高くなるやつだ。

あんたの母ちゃんがストッキングやタイツ履いてるだけで、街中の汚いおっさん達に欲情されて嬉しいか?

…まあ、普段からスケベ全開なお母様がいて息子さんもそれが誇らしい、というならいいんだけど(ノ∀`)


二次元キャラへの感度

「オタクの感覚を一般に持ち込んだ」という点について、もう少し詳しく記載する。

どんな有名なマンガであれ、女性キャラのボディラインは現実にある衣服よりはっきり出ることが多い。

変なところから肌が露出していたり、ピッタリを通り越していわゆる「乳袋」があったり、体毛が絶対生えて来ない前提でしか着れない服を着ていたりもする。

少年誌あたりではある程度の読者サービスを考えてのデザインなわけだが、それはしばしば「健康的なセクシーさ」に化ける。

性的魅力はあるが、今見えているもの以上に踏み込むことができない結界が張られている。そんな状態だ。
(それを最大化したものが、究極のロマン防具「ビキニアーマー」だろう。)

結果的に女性へのエロみに興味のない人達も、その女性キャラがかっこいい・かわいいといった理由でファンになりがちだ。(少年誌では、お胸のご立派な方に肚が据わった御仁が多い気がする。)

コスプレイヤーさんにより三次元化すると「その服の露出度そんなに高かったっけ!?」みたいなことはよくあることだ。
それだけ絵から性的魅力を薫らせるには、ある程度の過激さが求められるということだ。

ということは、二次元のキャラ絵に慣れていくと、それだけ「どこまでが過激か」という感覚も後ろにズレていくことにもなる。

「ラブタイツ」の引いた線は、「局部がみえなければ健全判定の薄い本」のところにある。基準値が同人誌即売会級のそれだ。この「健全判定」は未成年にも頒布可能という意味であり、本来の意味の「健全」に照らせば「あとは各自妄想で補ってね」というのはそれに当たらないのだ。そこにそういう文化がしっかりできているからそれで良いんだ。

ところが、アツギはそんな基準のない人が集まるところに、これらを出してしまった。

リアルな肉感を描ける絵師ばかりだったことが火に油を注いだ。こういう絵に慣れていない人にとってはこれらは「ほぼ写実的な絵」だし、AVの導入部分での撮り方とあまり変わらないようにみえるだろう。

そして、エロと無関係な理由で日々タイツを履いている多くの一般人からすると、「エロと無関係の会社が突然我々をフェチAVの世界に叩き込んだ」という裏切り行為にみえる。
最初からエロさを売りにするメーカーがフェチ話を出してくるのは問題はない。怪しい海外メーカーでも気になるまい。百貨店にも商品が並ぶ名の知れたメーカーがそれをやったことが問題なのだ。

なお、セクシーな絵柄そのものが悪いのではない。絵師の皆さんは注文通りに仕上げてくれたのだろうから、発注元のせいでせっかくの絵を叩かれることになるのは心外だったろう。コミケの企業ブースのイラスト集なら良かったのに。


セクシーさのバランスのとり方

後編に書いた通り、私はストッキング・タイツのブランド「アスティーグ」のセクシーなパッケージは評価している。
セクシーといっても、まさに「健康的なセクシーさ」とするために腐心しているだろうと感じられるからだ。

女性である以上どうしても女性らしいパーツはあるし、それ自体を嫌がる人以外は、ある程度そこを綺麗にみせたいという希望を持つことは普通にある。
私とて、πが服に入らんといいながら、抑えるタイプのブラを買うのは躊躇してしまうし(ノ∀`)

「アスティーグ」のパッケージデザインは、「健康的」なところに落とし込むことで「女性の脚をいい感じに見せますよ」とアピールしている(穴開かないとかの超実用系もあるけど)。
そのうえで、普通の用途にもエロい演出にも使うことは否定していない。
「メイクは自分をアゲるためにする」という女性がいるのと理屈は同じで、「脚に自信を持つためにこのストッキングを履く」は成り立つ。

そこまで薄氷の上を踏むくらいのギリギリの線を狙ったのにもかかわらず、あの炎上を思い出させられた人はこのパッケージすらエロ方面のイメージに引っ張られてしまう。
これは「ラブタイツ」そのものではなく、炎上によりアツギが背負った「スティグマ」の話だ。

アツギの業績は3年かけて戻ってきて「いた」。それこそ人の噂も…はあったのだろう。そのまま人に忘れさせるべきだった。

ついでの話をすると、「アスティーグ」はストッキング類の中でも柄などの入らないもののみを専門とする。
これが網タイツでも扱ってたなら、スティグマをそっちに押し付けるのもありだったが(笑)、ブランドコンセプト上柄物ができないので、メインユーザーは結局「エロく見られたら困る人達」になるのである。


※すっかり忘れてたので書いておくけど、わたし「an・an」のアレ特集をコンビニに置きたいなら表紙をあんなふうにするな派です。男性向けにあれだけブレーキをかけておいて女性向けはOK、は全く思っていなくて、そこを区別してる人間がどうかしてると思ってます。


おまけ:お値段の話

もはやアツギ関係ないけど(笑)
せっかく「炎上にピンとこない人」に向けて書いているので、こんな話も。

ストッキングは嫌われ者だ。なにせ、1足600円出したのに1日経たずして穴が開く、ということが日常茶飯事だからだ。
最近は「伝線」(小さな穴が開いたところから縦一線に破れていくこと)防止の技術こそ上がっているが、そうはいっても繊細過ぎることには違いがない。

そこで、ユーザーは「1回着用で死ぬ安いストッキングを使い捨てで廻す」か「高く破れにくいストッキングを大事に扱って履く」かで2極化している。

さて。
それを踏まえて、以下はエロ用途としてのストッキングの話をする。
この話の流れでかよ(笑)。

コトをいたすにあたってストッキングを傷めるような願望をお持ちの方は、お相手のストッキングがどちらにあたるのか、本当に注意して欲しい。
これは素人目ではわからないと思う。

パートナーが破ってもいいように準備してくれていたらありがたいし、今履いて欲しいものを贈呈してもいい。
また、イタす前に履いてきたなら、帰りのストッキングもあれば心配ない。
あとは楽しくイチャイチャしてくれ。

そういう準備なしで、ただストッキング履いてるから、という理由でやらかすと、こうなるのでマジで注意すること。

・どんなに寒くても相手が裸足で帰る羽目になる。
・数千円のストッキングを弁償する羽目になる。

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