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ティモール島横断400km⑤・こんどこそSoeへ

2023年1月4日
前日は命からがら教会に助けられなんとか旅を続けることができた。

私思うんですけど、宗教施設って昔からシェルターとしての機能が重んじられていたと思うんですよね。例えば神社はだいたい高台にあって津波とか洪水の時に集合場所として機能していたり、旅人が神様に感謝して一晩屋根を借してもらったりするわけです。将来自分もお世話になるかもしれないからお布施や寄付などでみんなで施設を維持していくーー。そんな機能が社会的に認められていたから宗教は生活に根付いたものになったのではないでしょうか。私は特に信仰はないですけど、色々なところを旅したり人の話を聞くとそう思います。

今回は本当に助けられたなと感じました。

カッコつけるはずが、、、

朝起きると外では人の声が聞こえてくる。どうやら教会で住んでいる人たちが活動を始めているみたいだ。昨晩は気づかなかったけど(野犬が怖くて近づけなかった)、宿舎の裏側が教会に所属している人の住居となっているようだ。Lisikaに手紙を書いて25000ルピアのところ50000ルピアを置いて25000ルピアは教会に寄付ということにしてもらおうと思っていた。机にお金と手紙を置いて旅立つこともできたけど、せっかくだからシスターに挨拶をして旅立つことにした。

裏手に回ると使用人のような人がいたので、Lisikaはいるかと聞く。しかしもう外に出てしまったようだ。ではと、シスターアンドレア(昨晩宿泊を許可してくれた人)はいるか聞くと、案内をしてくれた。ドアをノックすると、別のシスターが顔を出した。この人は英語が喋れるようだ。奥にはシスターアンドレアも見える。インドネシア語で「ありがとう(テリマカシー)」と言ってお金を渡そうとすると、そのシスターは私の手元の50000ルピア札を見て

「75000ルピアなんですけど」

おっと。マジですか。カッコつけたのに足りてないじゃん。ふふ、25000はとっといてって言おうと思ってたのに、不足ですか。どうやらLisikaは食事を提供できない代わりに安く言ってくれていたのかもしれない。連絡が取れていなかったのですね。こっちも今更引けないので

「では10万ルピアで25000ルピアは教会に寄付します」

と言って、10万ルピア札(約850円)を渡した。渡さなきゃいいのに手紙も渡してしまった。

Lisikaへ(スペルは合っていますか?) 昨晩は約束の時間まで待っていたけど、お腹が空いていたので外にご飯を食べに行ってしまってごめんなさい。 本当に昨日はあなたのおかげで助かりました。旅はそこで終わっていたかもしれません。 ありがとうございました。 25000ルピアと聞いていますが、5万ルピアを置いていきます。25000ルピアは教会に役立ててください。 何かあれば下のワッツアップの番号に連絡して下さい。 ありがとうございました。 Takaaki

お金足りてねーじゃん、カッコ悪い。まーこれを見て爆笑してくれるならそれでいいだろう。

結局その後連絡は来ませんでした。

Soeへ出発

さて、昨晩柔らかいマットレスで背中が痛いけど、体の調子は元に戻ったみたいだ。Soeへ向けて出発しよう。

ここからSoeへは、60kmで1200mほど登ることになる。Wisma(宿泊所)があるのが標高280m地点で、ここから480mほどまで登って一旦標高100mほどまで下り、そこから一気に900mまで登り返すことになる。


こうやって地図を見るとなかなかのハードなルートだ。日本なら、高尾山を登った後に一旦海まで降りて箱根に登り返すような感じだろうか。暑くなければ問題ないが、ここは熱帯、とても暑い。

Wismaを出ると、ひたすら坂を登る。ありがたいことにこの日は雨で、体温が上がりすぎない。快調に登っていく。

これが本当の調子だよなー。ずっとこれなら楽勝なのに、、、

坂を登り切ると一旦平坦になる(Plateauというのでしょうか)。ここで集落があったのでカップラーメンを食べる。インドネシアを旅してわかったのが、カップラーメンは万能食料であるということ。塩分が補給できるし炭水化物も豊富なので運動中の食事にはちょうど良い。

平坦が終わると一気に川に向かって下っていく。本当にきもちいい。この旅初の本格的な下りだ。あまりに気持ちよくてなぜか英語で話しています。

坂を下り切ると日が差してきた。暑いので売店で一旦休憩をして再出発するが、また雨が強くなってきた。橋で大きな川を渡ったところで土砂降りになったので売店で休憩をする。売店の軒先ではたくさんのバイク乗りが雨宿りしていた。

ダイナミックな熱帯の水の循環

雨季の熱帯地方は水の循環がダイナミックだ。

  • 晴れる、気温が上がる

  • 水蒸気が発生して雲ができ、雨が降る

  • 気温が下がって水蒸気が減って晴れる

このプロセスを一日3回ぐらい繰り返す。雨の後に晴れてくると、ジャングルから大量の水蒸気が上がっていくのを見ることができる。道路からは湯気が立ちすぐに雲になり雨になる。

Soeへ本格的な登りが始まる

雨宿りをして20分ほどで雨は弱くなってきた。本当は雨の中を走った方がいいのだけど、靴がずぶ濡れになるとめんどくさい。

売店を出ると一気に標高を上げていく。最初はなんとか自転車に乗っていたけど、だんだん晴れてきて暑さで限界を迎える。坂の斜度も相変わらず非人道的だ。

もうここで坂で自転車を漕ぐのは諦めた。押そう。

押し歩きは自転車乗りとしては屈辱的。この地形と気候に負けたのです。押し歩きでも前のめりにならないと登れない坂が続いている。多分12%ぐらいはありそうなつづら折れが続いていて、空身でもかなりきつい思う。そして荷物で5kgぐらいはあるのでかなり効いてる。

サイクルコンピューターの心拍数は見ないようにしていたけど、かなり心拍数が高い。多分暑いから血液を循環させて体温を下げようとしてるんだろう。

しばらく押すと川が下に見えるところまできた。今標高は約400m。あと500m登ることになる。

押し歩きと乗車を繰り返すこと4時間。やっと峠が見えてきた。自転車に乗ってると峠は空気でわかるようになる。風が山に打ちつけるものから、抜けるものに変わってきて、なんとなく涼しくなってくると峠が近い。そして視界に占める空の割合が大きくなってくるとなんとなく、峠が近いなと思い始める。

峠までの最後の登りは本当に信じられない斜度で、大型トレーラーが時速10kmぐらいのローギアで這い上がっていく。

激坂を超えるとレストランが出てきて眼下に絶景が広がった。

峠だ。この旅で1番の難所を超えた(気でいた)。


レストランには展望台もあってみんな写真を撮っていた。

時刻は午後2時。まともな食事をとっていなかったのでご飯を食べる。

周りの人は暖そうな黒い液体を飲んでいる。紅茶かな。定食と指差しで黒い液体を頼んだ。

運ばれてくるとそれは黒くて甘い紅茶だった。おいしい。温かいものを飲むと急に食欲が湧いてきた。もしかしたら、暑いからと冷たいものばかり飲んでいたので夏バテ気味だったのかもしれない。

子供が来て英語で説明してくれる。

「今チキンを調理してるからお時間をいただきます(Please give us a time because we are cooking the chicken)」

素晴らしい。この国で会った人の中で1番英語が上手い。学校で習ってるのかな。文法もしっかりしてる。


紅茶2杯(ジョッキ)+ご飯で4万ルピア(340円)

美味しいなー。やはり米に汁がかかってると食べやすくて美味しいね。他のおかずは適当につけてくれたみたい。紅茶を飲んだおかげで食欲が湧いてきたので、すぐに食べ切ってしまった。

標高が高いので少しひんやりするので、紅茶をもういっぱい頼んでゆっくりした。あとは少し下ったら再度少し登って、また下ったらSoeに着くはずだ。

展望台で写真を撮って先を急ぐ。予想通り少し下ると再度登りが始まる。もうこの時には上りは諦めて少しでも斜度がきつかったら押す癖がついてしまった。

100mほど登り返すとやっとSoeの街に入った。やはり交通の要所なのでバスステーションがあったり忙しい。

今日のホテルは体力を回復したいのでBooking.comで街一番のホテル(2200円朝食付き)を予約した。他にも800円のホテルとかあったけど、行ってみて厳しい場所だったら嫌なので一番高いとこにした。

最後の登りを終えて街の中心部まで下っていく。ホテルは街の中心部にあるはずだ。GoogleMapを便りにホテルにつき無事にチェックイン。受付の人が英語が堪能なのもありがたい。クレジットカードも使えた。

しかし部屋に入って驚いた。エアコンなし(まーいいか)、ブラウン管テレビ(どうでもいい)、お湯でない(大切)、和式トイレ(切実)。和式というか和式トイレは本当はイスラム式トイレはなのかもしれない。太ってて体が硬い人には大変厳しい環境。やはり左手でお尻を洗わないといけないのでしょうか。水桶みたいのもなくてバケツでなんとかするしかないんでしょうね。


でもいいんだ。疲れすぎてて水シャワーもとてもきもちいい。水を浴びて体を洗ったら軽くベッドで休んで街でご飯を食べる。安全に夜眠れる環境が手に入ることはプライスレス。


GoogleMapで見つけたホテルの隣の「みんな大好きチャーハン屋さん(インドネシア語から翻訳」というところでご飯を食べる。

おいしいなー安いし。ヒジャブを被ったマレー風のお母さんが適当に注文したら「任せとけ、座っといて」みたいな感じで作ってくれた。チャーハンも美味しいし、出汁とった後の鶏肉みたいなのもとてもおいしい。気を利かせて水も無料でつけてくれたみたい。

食べたら街の外も歩くけど、完全に第三世界。雑踏な街並みがアフリカを思い出します。

レストランの外にはランドクルーザーの40。この国では本当にこんな古い車がたくさん走っているし、みんなきれい。ものを大切にする文化があるのかもね。

ホテルに戻って泥のように眠る。

Diliまであと288km


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