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2021年 日本国内の映画興行についての考察(その3)


昨日、日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表会が都内で行われ、2021年の映画界の概況と興行収入10億円以上番組が発表されました。
結果的に年間興収は1618億円(前年比113%)。うち邦画は1283億円(同117%)洋画は335億円(同98.7%)。

直近5年間の推移を整理しますと

興行収入:百万円

邦画はコロナ禍2年目で以前の水準に戻っているのに対し、洋画は2年連続沈んだままです。

洋画の数字を映画会社別にブレイクダウンしますと

興行収入:百万円

と言った感じに。

この期間で興収30億円超えた作品を挙げますと

【ワーナー】
2017年「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」73億4000万円
2019年「ジョーカー」50億6000万円/「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」65億7000万円

【東宝東和グループ】
2017年「怪盗グルーのミニオン大脱走」73億1000万円/「SING/シング」51億1000万円/「ワイルド・スピード ICE BREAK」40億5000万円
2018年「ジュラシック・ワールド/炎の王国」80億7000万円/「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」47億2000万円
2019年「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」30億6000万円

【ソニー】
2017年「バイオハザード:ザ・ファイナル」42億7000万円
2019年「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」30億6000万円

【その他】
2017年「ラ・ラ・ランド」44億2000万円
2020年「パラサイト 半地下の家族」47億4000万円

2021年洋画ヒット作に恵まれなかったワーナーは洋画については停滞。「ワイルド・スピード」の新作があった東宝東和は回復。要は人気シリーズがその年あるかどうかと言うのが大きい訳で。

そして、特に落ち込みの激しいのはディズニー(+FOX)。同様に興収30億円超えの作品をディズニー/ディズニーアニメーション/ピクサー/スターウォーズ/マーベル/FOXの各スタジオ別に挙げますと

2017年
ディズニー:「美女と野獣」124億円/「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」67億1000万円
ディズニーアニメーション:「モアナと伝説の海」51億6000万円
ピクサー:
スターウォーズ:「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」46億3000万円
マーベル:
FOX:

2018年
ディズニー:
ディズニーアニメーション:「リメンバー・ミー」50億円
ピクサー:「インクレディブル・ファミリー」49億円
スターウォーズ:「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」75億1000万円
マーベル:「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」37億4000万円
FOX:「ボヘミアン・ラプソディ」104億6000万円/「グレイテスト・ショーマン」52億2000万円

2019年
ディズニー:「アラジン」121億6000万円/「ライオン・キング」66億7000万円
ディズニーアニメーション:「アナと雪の女王2」127億9000万円/「シュガー・ラッシュ:オンライン」38億6000万円
ピクサー:「トイ・ストーリー4」100億9000万円
スターウォーズ:
マーベル:「アベンジャーズ/エンドゲーム」61億3000万円
FOX:

多くのスタジオを持っているので、人気作品の続編や実写化など年に数本生み出せていたのですが、コロナ禍になり

2020年
ディズニー:
ディズニーアニメーション:
ピクサー:
スターウォーズ:「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」73億2000万円
マーベル:
FOX:

2020年は新作の公開延期に加え「ムーラン」「ソウルフル・ワールド」が劇場公開中止。
一方2021年はピクサー「あの夏のルカ」の劇場公開中止以外は劇場でも作品は公開されました。

2021年
ディズニー:「クルエラ」「ジャングルクルーズ」
ディズニーアニメーション:「ラーヤと龍の王国」「ミラベルと魔法だらけの家」
ピクサー:
スターウォーズ:
マーベル:「ブラック・ウィドウ」 「シャン・チー テン・リングスの伝説」「エターナルズ」
FOX:「ノマドランド」「フリー・ガイ」「最後の決闘裁判」「ロン 僕のポンコツ・ボット」

このうち10億円超えたのは「エターナルズ」12億円のみ…作品の力もあるのでしょうが、それだけでは説明にならない落ち込み。
ここで考えられるのは、この年は劇場公開とディズニープラスでの配信時期の戦略が色々試され、既にディズニープラスが開始されている日本市場において、本社から指示されるグローバルの方針と、それを受け入れられない日本の興行会社との摩擦があったことも大きいのかと。

2022年、これまでの実績から見て興収30億円超えるポテンシャルのありそうな作品は

ワーナー「THE BATMAN-ザ・バットマン-」「ファンタスティック・ビーストととダンブルドアの秘密」
東宝東和「SING/シング:ネクストステージ」「トップガン マーヴェリック」「ジュラシック・ワールド/ドミニオン(原題)」「ミニオンズ フィーバー」
ディズニー「バズ・ライトイヤー」「アバター」
ソニー「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(公開中)

と言ったところ。洋画の復活は、これまでのようにディズニーに一番期待する必要ないのかもしれません。


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