インドネシア唯一のデカコーン Gojekを解説してみる [Part1]
2019年4月にインドネシア語のニュースでデカコーン(時価評価が10B米ドルの呼称)の仲間入りしたと報じられスタートアップ界隈で非常に話題となったGojek(ゴジェック)。
最近、日経新聞などでも報じられている頻繁に報道されるようになったGojek。
実際はどう言ったサービスなのか?などの利用者目線での解説記事があまり存在していなかった為、インドネシア在住でベンチャーキャピタルをやっている私が筆を取りたいと思います。
ただ今回の[Part1]ではGojekのこれまでの歩みを簡単に解説します。
1.創業から現在のビジネスモデルへたどり着く過程
Gojekはインドネシアで2010年10月創業のスタートアップ。
創業者はNadiem氏。ハーバード大学MBA終盤に創業。
共同創業者はインド人で日本育ちで創業者Nadiem氏とBrown Univertsityの同級生だったRohan氏。(日本語が流暢で驚く!)
実は、前職時代に2011年頃に投資関係で一度相談に乗った経験があります。
その時は今のGojekのようなビジネス形態ではなく、ただのEC事業者へのデリバリーに特化したバイク便……………(記憶が曖昧だがこれは無い!って思ったのを今でも覚えてます……苦笑)
テクノロジーのテの字も無い、ゴリゴリのロジスティクス事業でした。
今のGojekのビジネスモデルに辿り着いたのは、確か2014年時でUberがユニコーン入り(2013年)をし、世間を騒がし始めた時だと記憶しています。
ちょうど2013年頃より○○版Uberと言うのが大量に出始めた時期と重なります。
(Gojekの競合であるGrabは2012年創業。なお創業者Anthony氏はGojek創業者Nadiem氏のハーバード大学MBAの同級生だったりします)
おそらくNadiemは「バイク版Uberイケるんじゃ?!」となって華麗にピポットを行い、そこから今日までの大躍進を遂げています。
2.現在までの資金調達状況
現在までで合計調達額3.1B米ドル(Crumchbaseより)を超えてり、堂々とデカコーンの仲間入りを果たしています。
リード投資家として、Tencent、Google、中国EC大手であるJD.comなどの世界の大手インターネット事業会社や、Temasekなどの機関投資家が名を連ねています。
日本からは今年に入って三菱商事がGojekへの投資をしたとアナウンスされました。
なお、初期投資家にインドネシアのアーリーステージVCは名を連ねておらずシンガポールのVCが初期投資家です。
なぜインドネシアのアーリーステージVCは参加していない(前職の私も含む………苦笑)のか?も最後に解説しておこうと思います。
3.バイクタクシーOJEKと言う存在
元々、インドネシアにはオフィスビルや、ショッピングモールの出口付近に大量のバイクが停まっていて、出てくる人々に乗っていかないか?と客引きをするバイクタクシーが存在していました。
なお、彼らはインドネシアではOJEK(オジェック)と呼ばれていました。
OJEKは、日本で言うお祭りの屋台のような感じで、その場所を仕切る人間(マフィアのような)が存在しており、運転手の稼ぎの大半はこの仕切っている人間に入っている状況でした。
かつ縄張りがハッキリと存在しており、自分たちの縄張り外でお客さんを取るのは御法度とされていました。(実際に流しで客を乗せようものならボコボコになるような感じをイメージして貰えると分かりやすい)
このような背景があり、なぜインドネシアのアーリーステージVCは参加していないのか?は、ピポッド後のバイク版UBERのアイデアを聞いても、簡単には運転手の獲得が出来ない、ましてやマフィアのような存在に邪魔をされるに違いない、とインドネシアを知り尽くしていた投資家達はアイデアを信じることが出来なかったからだったりします。
今日はGojekのアイデアが生まれるところまでを解説してみました。
来週以降にどうサービスが成長し、決済サービスが市場にどう浸透しているのか?などを順次解説していきたいと思います。