データからエメリ体制とアルテタ体制を比較する【アーセナル分析】
こんにちは。TKB84です。
先日、戦術ブロガーの星、Polestarさんがこんなことをつぶやいており。
そもそもこの記事内にて、アルテタ監督とエメリ監督のOptaのデータ(xGなど)を使って比較をしていたのですが、全て本文内にデータを書き連ねてあってもったいないなあということで。
せっかくなので自分の方で可視化にトライしてみよう!というのを自分で勝手にやってみたのがことの発端なのですが、データ見始めるとそれでは収まらないことになってしまいました…笑
何があったのかは下記よりご確認ください。
▶元データ
ワイスカウトから、18-19シーズンと19-20シーズンのゲームデータを引っ張ってきて比較しています。追加で、監督の情報を入力してソートできるようにしておきました。今回使用したデータの中身はこちら。
Goals: ゴール数
xG: ゴール期待値
Conceded Goals: 失点数
xCG: 失点期待値
Manager: 監督
Competition: 大会名
Season: シーズン
これをグーグルスプレッドシートに入力したあと、データポータルでグラフ化しました。
▶ダッシュボード
完成したダッシュボードがこちら。
元記事の批判をするつもりはありませんが、エメリ監督の「22試合連続無敗の記録を打ち立てた。この間の」という枕詞なのに使ってるデータはプレミアリーグのゲームのみのものだったり、かと思うと最後の比較は公式戦全てをあわせたデータだったり。そもそもダッシュボード作るべきか否かの判断のための制作前のエビデンスチェック中に、記事で指し示すデータと照らし合わせるのが大変でした。笑
ダッシュボードなら、上のプルダウンで大会とシーズンを選べばあっという間にスタッツ比較ができます。めっちゃ便利。
▶この記事の結論は本当なのか…?
さて、平均値のダッシュボードを作り、データもゴルコムのものと大差ない(xGは計算式が違うため、各社ばらつきがある)ため、満足した自分ですが、ふとスペースが空いていたため中央値のグラフを追加してみようかなと思ったわけです。こんな記事書いたばかりだったので。
そしたら恐ろしいことが…
下のグラフを見てください。19−20シーズンの全公式戦における、エメリ監督とアルテタ監督の比較グラフです。
左側が平均値、右側が中央値のグラフです。
ゴルコムさんの記事と同じく、全て青いバー、xG/xCGの2つの期待値に注目しましょう。
平均値ではゴール期待値(xG)も失点期待値(xCG)もほとんどエメリ監督時代と差がなく、記事内では
データ上では、新体制でもアーセナルのディフェンスは飛躍的に向上しているわけではない。印象に惑わされずに、長期的な改善に向けて引き続き忍耐が必要な時なのだ。(Goal.com)
とされているアルテタ監督ですが、、、、
中央値を見ると、何か平均値とは違った関係性に見えます。
よく見ると、エメリ監督時代と比べて、
xG: 0.4⬆
xCG: 0.3⬇
ということがわかります。
統計的検定をしていない(やり方も忘れましたし…苦笑)ので有意に差があるとは書きませんが、明らかに、
xG: エメリ監督 < アルテタ監督
▶アルテタ体制下の方が得点チャンスが多い
xCG: エメリ監督 > アルテタ監督
▶アルテタ体制下の方が失点のピンチが少ない
であることは見て取れます。
せっかくなので、下に今シーズンのプレミアリーグのみの比較、プレミアリーグの全期間での比較、それから全期間全公式戦での比較も載せておきますが、中央値の比較から導かれる結論には大差ないのがわかっていただけるかと思います。
今シーズンのプレミアリーグのみの比較
プレミアリーグの全期間での比較
全期間全公式戦での比較
▶結論とエクスキューズ
xGとxCGという、攻守における理論上のパフォーマンスを示す値の中央値から見ると、アルテタ体制下においては、エメリ体制下と比較して、攻守においてパフォーマンスが改善されていると考えることができます。
念のため、これはゴルコムさんの記事を批判する目的で書いたものではありません。
平均値から導き出される結論と、中央値から導き出される結論が違った、というだけのことです。データって面白いですね。同じチームの同じ数値を元にしても、全く逆の結論が出てきてしまうことがあります。
最後にもう一度リンクを貼って締めとさせていただきます。
異なる視点を紹介することで議論のきっかけとなれば幸いです。
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