♂の背ビレを守れ!【アピスト15分繁殖】
ペア混泳飼育をされていると、突然の産卵時に♂の背ビレがやられた!なんてことをご経験された方もいらっしゃるかと思います。背ビレのダメージは鑑賞において致命的ですし、何よりアピストの背ビレは治りにくいんです。本方法はそんな事故を回避するために編み出した我流の繁殖スタイルです。(大したことはしてません(笑))
【概要】
繁殖の大まかな流れは以下の通り。
①雌雄を1水槽内でセパレート管理
②♀の産卵直前に雄を合流させる
③繁殖行動に入る
④15分ほどで雄が産卵床から出てくる
⑤雄をセパレート(産卵が終わってなくても)
この中で、いくつかキーとなる物やタイミングがありますので、以下で説明します。
【必要な物】
まず、本方法でキーとなる物は以下の通り。
・透明または半透明なセパレーター(パンチングで代用可)
・産卵床(通水しにくい構造であれば何でも可)
フィルターは水の循環を考えると左右の部屋につけるのがベターです。(画像では右から左の部屋に出水されるようにしています。)
水槽サイズは30キューブまたはM水槽がベストです(後の稚魚育成の観点から)。ギガスやタメのような大型アピストでない限りはセパレートの単独飼育で長期維持可能です。
※セパレート管理について
セパレート管理をしていると♀の成熟、抱卵が早くなる気がします。おそらく♂からのストレスを受けず、かつ♂の存在を認識できるためと思ってます。また、本管理法を始めてから病気が発生していません。(混泳水槽は病気しやすいです…)
さらに導入初期の雌雄相性を気にする必要もありませんし、何より繁殖のコントロールをしやすいです!
因みに我が家ではこのセパレーターを使ってます。60規格用にですので、上に少し長い分はハサミでカットします。
【実際の流れ】
キーとなるとタイミングについて実例と共にご紹介します。
今回はsp. ウィンケルフレックの繁殖を例にしております。
飼育環境はこんな感じ。きったないですが、水質は安定しています。と言うかこれくらいフワゴケがいないと安定しない気が…。この水槽は同じ方法でD25、D24、リオカウラなどをブリードさせてきた安心と信頼の環境。
まず♀が十分に成熟し、婚姻色がでたら産卵管が出ているか逐一チェックします。
下画像の赤丸のように産卵管が出始めたら♀の産卵準備は完了です。1つ目のキータイミングはここ。
おそらくこの頃には下画像のようにセパレート越しの♂に産卵管を見せつけてアピールしていると思います。
アピールが始まったらセパレートを5cmほど上げて♂を合流させます。ここで激しく喧嘩する場合は再度♂をセパレートし、様子を見ます。もちろん、繁殖させたくない場合はセパレートは取りません(笑)
♂が上手く♀の誘いに乗ったら土管の中でイチャイチャし始めます。♀が上下逆さまになりはじめたら産卵スタートです。
ここからは♂の行動に注目してください。下の画像のように、♂が体を90°傾ける仕草をします(わかりにくくてすみません(笑))。これが放精です。この行動を3-5回確認できれば、♂の役目は終わりです。ここが2つ目のキータイミングです。
放精後、♂は周囲の様子を伺いに外に出てきます。このタイミングで♂を再度セパレートします。ここが3つ目のキータイミング。
まだ♀の産卵が終わっていなくても問題ありません。雄の精子が土管の中で滞留していますので、追加で産卵しても受精します。産卵床に通水しにくい構造を採用しているのはこのためです。
ここまで終われば♂が攻撃されることもないので安心です。
この間約15分。ここから数時間もすると♀が♂に攻撃し始め、♂の立派な背ビレがやられます。
♀のお腹も凹んで、天井に卵がついています(ピントがあってない(笑))。
受精率の詳しいデータをとってはいませんが、過去にはこの方法で50~100匹程は浮上しています。下画像は同じ方法で浮上したリオカウラ。
そして何より、雌雄間のストレスも少なくなるため、食卵リスクも少ないです。
もちろん、♂のセパレート後はそのまま飼育しても問題ありませんし、別水槽に移して管理してもいいです。
いかがでしたでしょうか?
この方法はブリードに特化したやり方ですので、皆様それぞれのスタイルに合うかはわかりませんが、興味があれば試してみてください!
Taka
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