エモい話はじめました 前編
過去を振り返れば、人生の中であれはエモかったのかもしれないと思うことが皆さんも幾つかはあるのではないでしょうか。
これは或る限界独身男性の確かにエモかったであろう話である。
出会いは友人の紹介そこそこに、はじめてのデートはお互いの趣味趣向を探ってるような感じでした。
日曜の昼下がり、ランチと買い物を済ませ車内に戻ると限界独身男性は気が付きます。
きらクラ!忘れていた!!と。
*限界独身男性といちいち書くのが面倒なので、仮にあくまで仮に、僕とこれから記します。
当時の僕は大のクラシック音楽ファンという訳ではありませんでしたが、大のきらクラ!ファンでした。
そしてラジオをシンセチューニングして思い出すのです、きらクラ!はちょうど一年前に終わってしまっていたんだと。
ふかわさんのテレビでは見せない落ちついたトーンのジョークも、天使・遠藤真理さんの包容力高めのあの笑い声も全ては一年前に。
そんな一年前で時が止まったままの僕の心を名古屋市営バス(栄発-如意車庫前行き)が通り過ぎていくのでした。
一年間のうち約70日もある日曜日毎にこんな絶望をしているのではなく、日曜に家でリラックスして時計を見たら14時の、あっ!やスキー場早めにあがって車乗りこんだら14時過ぎの、あっ!など気が緩んでいるときに無意識・脳死状態でチューニングして絶望する。そうきらクラ!ロスに僕はなっていました。
さっきまでウィットなジョークは冴え、レディファースト至上主義、紳士of紳士な僕のそんな姿にOさんは、どうしたんですか?と心配気です。
いや好きなラジオ番組が終了したの忘れてて日曜のこの時間はラジオつけちゃう癖があるんですよ。と照れ隠しで頭を掻く僕は令和の雨の4月の日曜に確かに存在していました。
どんな番組だったんですかと、きらクラ!の後続番組かけクラ((かける)クラシック)を聴きながら車内で話しました。
オープニングテーマがショパンの子犬のワルツでね、こんなコーナーがあって、あっそう言えば“きらクラDon”というイントロ当てクイズでは、僕が応募したのが外れたんだけどよく似ていますね惜しかったですねって事でステッカー貰ったこともあるんですよ。などとオタク特有の早口で色々と話した気がします。
サザエさんシンドロームよろしく僕は、きらクラ!のエンディングテーマの愛の挨拶/エルガーを聴き、夜にN響を聴くと耐え難い月曜日が数時間後に迫っているという超一般的で現実的なありふれた恐怖に打ちひしがれるんです。とナイスジョークを飛ばしたりしていました。
後編に続く。