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日本のアート業界の課題とベルリンでの挑戦
アートという言葉には「自由」や「表現」といった言葉がつきものですが、日本においては、その自由が往々にして制約されていると感じます。私自身、写真家として活動を始めてから10年が経ちますが、国内のアート業界の在り方に疑問を抱くことが度々ありました。作品の価値そのものではなく、作家のバックグラウンドや、所属するギャラリーのブランド力、師匠の知名度などが評価の基準となることが多く、純粋に作品だけで勝負するのが難しいという現実です。
私の体験を通じて感じた、日本のアート業界の課題をいくつか挙げてみたいと思います。
まず、日本では「アート=高尚であるべきもの」という先入観が根強く残っています。例えば、美術館やギャラリーでの展示においても、どこか「見せるためのアート」や「ブランドとしてのアート」として捉えられていることが多いと感じます。そのため、アーティスト自身も「高級感」や「洗練された展示方法」にこだわらざるを得ず、表現の幅が狭まってしまうことがあります。結果として、作品そのものが持つ力よりも、演出や周囲の環境が重視される傾向にあります。
次に、日本のアート業界は、限られたコミュニティ内での評価やコネクションに依存する部分が大きいです。ギャラリーへの出展やメディアでの紹介なども、人脈や過去の実績に左右されがちで、新しいアーティストが評価を得るのは容易ではありません。そのため、本当に優れた作品であっても、適切な場で発表されなかったり、評価を受けられなかったりすることがあるのです。
こうした状況に対して、私は日本国内での活動に限界を感じ、今年の8月にベルリンでのストリートフォトの旅を決意しました。ベルリンでは、作品そのものが評価され、アーティストの知名度やコネクションに関わらず、純粋にその作品が持つ力が問われます。15日間の旅の中で、私はただカメラを手に街を歩き、感じたままを写真に収めました。そこで出会った現地の人々は、私の作品を興味深く見てくれ、その場で購入してくれることもありました。こうした経験を通じて、日本とベルリン、そして海外のアートシーンの違いを肌で感じることができました。
ベルリンでの体験から学んだことは、アートは「見た目の美しさ」や「高尚さ」にとらわれる必要はないということです。アートとは、表現そのものが持つ力であり、作家自身の思いや視点が詰まったものであるべきだと、改めて感じました。もちろん、日本にもそのような表現の自由があるべきだと強く思いますが、現状はまだ難しいのが現実です。
将来的には、私はベルリンでアーティストとして活動することを目指しています。現地で得た評価や経験を生かし、純粋な表現の力を追求していきたいと思っています。日本のアート業界にも変化が訪れ、より多くのアーティストが自由に表現できる環境が整うことを願いつつ、私はこれからも自分のアートを世界に発信していきたいと考えています。
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