Takaaki Sano（佐野貴明）: 足立区出身の写真家/元教育者

佐野貴明（1982年東京都足立区生まれ）は、日本の写真家であり、元教育者です。彼の写真作品は、青年期の引きこもり生活や精神科病棟での入院経験から強い影響を受けており、特に精神的・感情的な状態を反映した超現実的で内省的な風景を撮影することが特徴です。

幼少期と背景

佐野は13歳で学校に通わなくなり、約7年間引きこもり生活を送りました。この期間に、夕日の写真を撮影する習慣を身につけ、これは彼の作品において重要な要素となりました。16歳の時、精神科の閉鎖病棟に入院し、薬の副作用で意識を失うことがありました。この体験、特に意識の混乱した状態で見たビジョンは、彼の写真に長く影響を与え、その断片的な記憶を具現化するために写真を撮り続けています。

写真家としてのキャリア

2014年、佐野は引きこもり時代に撮影した夕日の写真をTumblrに投稿し、その中の一枚がロンドン在住のシンガーソングライターGrimm Grimmの目に留まり、彼のアルバム『Hazy Eyes Maybe』のカバー写真として採用されました。この出来事をきっかけに、さらに多くの機会が訪れました。2015年には、上海日本人学校で理科の教師をしていた際、上海のギャラリー「DA ATTIC」で最初の個展「光」を開催しました。彼の作品は主に若者から注目を集め、自費出版の写真集『ひかり』は完売しました。
その後、佐野は日本や海外で毎年展示を行い、2021年には著名な写真家ティム・バーバーが選出した「Amana IMA Next 'MEMORIES'」賞を受賞しました。

作風とテーマ

佐野の写真作品は、抒情的で内省的な性質が特徴であり、意識や記憶、日常に隠された美しさをテーマにしています。彼の作品は、精神的な風景と現実の風景との繋がりを探求しており、これは彼自身の個人的な苦しみや、人生の儚い瞬間を表現したいという願望に由来しています。

教育者としてのキャリアとプロ写真家への転身

写真家としての活動に加え、佐野は2024年まで教育者としても活躍していました。2015年に上海日本人学校で理科の講師として勤務し、2016年には特別支援学校で英語の教師を務めました。2017年から2022年までは創価高等学校で英語を教え、2022年から2024年3月までは広尾学園小石川中学校高等学校で英語教師を務めていました。2024年度からは専任のプロ写真家として活動しています。

主な展示歴

2015年: 「佐野貴明写真展『光』」 DA ATTIC, 上海, 中国

2019年: 「TAKAAKI SANO Photography」 千住壁画の道ギャラリー, 東京

2023年: 写真家いくしゅんとの二人展「芋づる式」 JOINT Harajuku, 東京（ゲストアーティスト: Grimm Grimm）

2024年: 「Hidden」 LIIKE, 代官山, 東京

写真集

2015年: ひかり（自費出版）
2018年: 意識（自費出版）
2024年: Hidden Place（自費出版）

受賞歴

2021年: 「Amana IMA Next 'MEMORIES'」ショートリスト（Tim Barber選）

メディア出演

2015年: NHK『ひるまえほっと』
2019年: J:COM『デイリーニュース足立/葛飾』
2021年: J:COM『つながるNews』

アートワーク

2015年: Grimm Grimm『Hazy Eyes Maybe』
2018年: Grimm Grimm『Cliffhanger』

写真展情報:

日程: 2024年9月26日〜10月29日
会場: Liike（渋谷区恵比寿西1-35-5-2F）
営業時間: 10:00〜19:00
作家在廊日: 10月1日, 14日, 15日, 22日, 29日

Takaaki Sano 佐野貴明 | Japanese art photographer based in Tokyo