野良デザイン#193｜段ボール箱の看板

タイ郊外で見つけた野良デザイン。車やバイクが行き交う、中規模の車道の両脇には、所狭しと店が軒を連ねる。雑貨屋や食料品店、レストランの他にも、電化製品を扱う小売店や化粧品店など多彩だ。

その軒先の一角に、アジアらしい色の樹脂製の椅子に乗せられた看板を見る。商品の仕入れで使われたであろう段ボールを、再び箱状に組み立て、その一面に紙を貼り付け、看板・POPとして活用しているのだ。商品をまとめ、輸送するために設計された道具が、店頭で情報を伝達するための道具として活用されている。

紙を構造的に重ね、強度を高めた段ボール箱。中に重石となる石などを詰めることで、屋外に設置する看板としての強度や耐久性を確保している、

こちらは手書きの看板。1枚目の看板と比較すると、同じ活用でも情報の質感が異なるように感じられる。整然、かつ明瞭な印刷看板は、一方で段ボールに印字されているプリントと競合してしまうようだ。その場にある道具で、用を足す。手書きの看板も、そう悪くはないのではないだろうか。

採集地｜タイ