野良デザイン#91-95|いけず石のディスプレイ
こんにちは。
本来の用途を超えて活用される道具「野良デザイン」。
街に溢れる工夫の数々に、生活のリアルと、道具の可能性を探る試みです。
野良デザイン#91|いけず石のディスプレイ
細い車道に面した家屋の敷地角には、いけず石と呼ばれる庭石が置かれることがあります。
遡ること平安時代、牛車や荷車が私有地に入ってこないよう、防護用の石を玄関先や敷地の角に置いたものが発祥だそう。いつしか関西で意地悪なことを指す「いけず」な石と呼ばれるようになりました。
あまり気前の良い話ではありませんが、路地裏の脇にひょこひょこと生えた石たちは、なんだか可愛らしい。
そんないけず石の上に、落とし物の手袋が飾られていました。色味や大きさから察するに、学校帰りの子のコートのポケットから落ちてしまったのでしょうか。
いけずな役割を負ってしまった石と、落とし主を思いやる優しさ。なんとも人間味のある風景がそこにはありました。
野良デザイン#92|鉄棒の帽子掛け
みなさんは、最後に逆上がりをしたのはいつですか?
私は最後に鉄棒に触れたのがいつかすら思い出せません。けれども小学生の頃、逆上がりができたのが嬉しくて、手が鉄の匂いがするまで熱中していたことを覚えています。
そんな鉄棒、2本の垂直に立てられた棒に、細身の水平棒がボルトで止められた至ってシンプルな構造。
その垂直棒は、落とし物の帽子を掛けるのにぴったりだったよう。
さながらハットスタンド。高さもちょうど子供の目線にぴったり。
また次の日にも、公園に遊びに来た持ち主が見つけられるといいね。
野良デザイン#93|植樹の水筒フック
近頃段々寒さも和らぎ、大阪では梅の木も花を咲かすようになりました。桜のシーズンももう少し。
綺麗な花を咲かせる準備をする、とある河川敷脇の公園に生えた桜の木。葉も花もない、黒々としたすっぴんな幹と枝の間に、ピンク色の可愛らしい水筒がぷらぷら。
ピクニックの忘れ物でしょうか。子供用の水筒が枝の先に掛けられています。枝の上部にある、切り整えられたフック状の小枝にうまく掛けられている様が絶妙。
落とし主が現れるまで、桜の力強い腕が水筒を掲げてくれています。
野良デザイン#94|ラバーポールの手袋スタンド
車道と歩道を分けたり、Uターンを禁止するためのラバー性のポール。蛍光色のボディーに、白いストライプが施されたキュートなデザイン。
その先端に、冬用の暖かそうな手袋の片割れがはめられている。
自転車を漕ぐ方のポケットから落ちたのか、車窓から飛んでしまったのか。
無事落とし主が見つかると良いですね。
それにしても、ニットの帽子を被ってなんだか暖かそう。
野良デザイン#95|防護柵の帽子掛け
少し歩を進めると、こちらにも落とし物が。
一定間隔に立てられた垂直の柱に、3本の水平の鉄棒が固定された防護柵。
その垂直柱の出っぱった形状が、落とし物の帽子を掛けるのにちょうど良かったようです。
斜めに帽子を被ったストリートな防護柵。
最後までご覧いただきありがとうございました。
では、また次の記事でお会いしましょう。
眞木孝明