野良デザイン#151-155|一斗缶の看板立て
本来の用途を超えて活用される工業製品たち。そんな生活から生じた工業製品の活用を「野良デザイン」として蒐集。生活のリアルや、道具の可能性を探る試みです。
野良デザイン#151|半斗缶の看板立て
住宅地に点々と置かれた町内会の掲示板。その古びた質感には、町の出来事を見守ってきた時間の流れを感じます。
木の板や柱を組み合わせて塗装された手作りな質感も、画一的な既製品にない味を出しています。その土地で生まれたプロダクトは、やはりその土地の風景に合います。
さて、木の角材でつくられた掲示板の足元は、ブリキの半斗缶が使われている。恐らく中にはコンクリートが詰められており、掲示板を自立させる重石となっているのだろう。缶の蓋には、角柱脚の寸法に合わせて差し込み口が丁寧に開けられている。
赤茶けた足元の金属に、日光で褪色した木材。なんとも生活みのあるプロダクトです。こんな街で暮らしたくなるような、穏やかで素敵な光景に出会えました。
野良デザイン#152|折り畳みフェンスのネット掛け
道路に面した駐車場の出入り口には、折りたたみ式のフェンスが設けられていることがあります。敷地に固定された杭と、車輪で可動する自由な杭、その2本をマジックアームのあの構造で繋いだ折りたたみ式のフェンスです。
可動式とはいえ、動くのは日に数度のみ。ほとんど動かないそのフェンスは、ごみ収集用のネットをしまっておくのにちょうど良い存在なのでしょう。
雨に濡れたネットも、これなら早く乾きそう。
野良デザイン#153|脚立の傘掛け
古いお店が並ぶ商店街。そのシャッターの連なりの中に、これまた年季の入った脚立が一台。金属製のパイプを組み合わせたシンプルなつくりがとてもクールなプロダクトです。
今では使われる機会も減ったのでしょうか。その足掛けには、お店の方のものとみられる傘がいくつかぶら下げられています。
シンプルなつくりと、素材みのある質感が、建材の一部として風景にマッチしています。個々の事象を見ると かなり雑な現場ですが、どことなくまとまりのある、不思議な光景です。
野良デザイン#154|窓フェンスのトング掛け
道路に面した窓には、防犯の為の格子が設置されることがあります。窓の開口を埋めてしまう格子も、屋外で使用する用具の保管場所として活用されると、悪いものではないようです。
軒先の掃除に使うのか、大小2つの金属製のトングが、窓格子に掛けられています。
野良デザイン#155|手すりの落とし物掛け
地下の鉄道改札と地上をつなぐ階段。その手すりの端に、巾着や傘のカバーなど、落とし物とみられるものがたくさん掛けられています。
落とし物の持ち主が見つけられるよう、優しい気遣いが感じられる野良デザイン。落とし物BOXとして運用されているわけではないが、拾得物が集まってくる経緯を想像すると、どこか絵本的で優しい気持ちになれます。
最後までご覧いただきありがとうございます。明日はどんな野良デザインと出会えるでしょうか。
また次の投稿でお会いしましょう!
眞木孝明