野良デザイン#183|ペール缶のバリカー
野良デザイン
街を散策すると、本来の用途を超えて活用される工業製品に出会うことがある。それらを、路地に生息する「野良な」デザイン成果物と捉え、道具の可能性や、生活のリアルを探る試みである。
時に、飼い猫よりも野良猫の方が、猫らしい生き方を見せるのだ。
住宅地の一角に置かれた自動販売機。その赤い側面を守るように、2本のコの字状のバリカー(BarrierとCarを組み合わせた造語:車両用のバリヤー)が設置されている。
それぞれのバリカーを、セメントで満たした2つのペール缶に差し込むことで、自立させている。自販機のメンテナンス・交換時には簡単に移動できそうだ。適度な頑丈さと、レイアウトの自由度を兼ね備えた工夫である。
バリカーの脚元は、その本体に合わせて黄色に塗装されており、露出したセメント面にも、丁寧に塗料が塗られている。
自販機の赤と、バリカーの黄色。住宅地には唐突に感じてしまう強めの色が、その点数を増やすことで、景観の一部となることに成功したのかもしれない。
Habitat|Osaka, Japan