野良デザイン#186|タイヤの高欄
常夏の国マレーシア。日本から7時間ほど離れた空港から一歩出ると、高い湿度と暑さに包まれます。熱帯雨林らしい若草色の景色を背景に、マレー系、中華系、インド系と、多様な文化と人種が入り混じる興味深い土地。
そんなマレーシアの郊外で見つけた野良デザイン。車両用のゴムタイヤが、公道の脇を流れる用水路に架かる、橋の高欄(=落下防止用の柵)として機能しているのです。
直径60cmほどのゴム製のリングが地面に対して垂直に立てられ、その4分の1ほどが道路のセメントに埋められ、橋からの人や車両の転落を防いでいます。鉄製の高欄とは異なり、丈夫さと柔らかさを備えた質感が面白い。
こちらは幅の広い橋の一部に、レーンを作るように設けられたタイヤの高欄。歩道として作られたのでしょうか。表面が赤や黄色に塗装され、橋の領域が明示されている点にも注目です。
芝と木立の中に並ぶ無塗装のトリオも、いい感じ。近隣に小規模な自動車の整備工場が並んでいることも、この野良デザインの出生に関わっているのかもしれない。
Habitat|Selangor, Malaysia