野良デザイン#10|コンクリートブロックの下駄と重石
こんにちは。いつも投稿を覗いてくださりありがとうございます。この春から週1回程度のペースで始めたnoteですが、おかげさまで10回目の投稿となりました。
今まで散策ついでに集めてきた野良デザイン。noteの場を借りて発信をすることで、今まで気づけなかった細部の発見があったり、対面でも新しい出会いのご縁があったりと、単なる収集活動が蒐集活動になってきた感覚があります。
とても小さな節目ですが、これからも投稿を続けて参ります。また他の記事でもお会いできたら嬉しいです!
コンクリートブロックの野良デザイン
本来の用途を超えた道具の活用「野良デザイン」。作者不詳の創意工夫や、作り手の想定を超えた道具の活用に、生活のリアルを発見することを目的に蒐集を続けています。
この野良デザイン、生活の数だけ存在する大変多様なジャンルですが、コンクリートブロックほどその活用の幅の広いものはないでしょう。
このコンクリートブロックは、文字通りコンクリートで作られたブロック状の建築資材で、第2次世界大戦後の都市の復興のためアメリカから導入されたそうです。企画化されたブロックを積むことで、場所を問わず入手でき、かつコンクリート直打ちよりも簡単に構造をつくることができる便利なピースとして、広く普及してきました。
街の至る所で見られるコンクリートブロック。その活用は構造体をつくるだけにとどまりません。
今回は、ある学校の敷地内で発見したエアコンの室外機とコンクリートブロックの関係を例に、コンクリートブロックの野良デザイン性に触れたいと思います。
コンクリートブロックの下駄
道路に面した外壁に沿って設置された室外機たち。その足元をみると、コンクリートブロックが積まれています。
雨水に浸かることを防ぐため、エアコンの室外機は通常、樹脂製やコンクリート製の台座の上に設置されます。今回の室外機は、樹脂製の台座の下に更にコンクリートブロックの下駄を履いています。しかもダブルで。
コンクリートブロックで嵩を増しているのは、隣り合う大型の室外機と高さを揃えるためか、それとも余ったコンクリートブロックの処分に困ったからか。
狙いはともかく、質感の強いモルタル塗りの外壁や地面、そして周囲に散らばる道具も相まって、心地よい雑多な景観が出来上がっています。
よく見てみると、手前のコンクリートブロックの軽量化のための穴には、室外機の電源コードが通されていたり、固定用の針金が巻かれていたりと、ただ雑多なだけでない、細かな工夫が見られます。
コンクリートブロックの重石
室外機にはベニア板が日差し除けの屋根として架けられており、奥の室外機を見てみると、ベニア屋根の重石としてコンクリートブロックが乗せられています。
手製の看板らしきものが、室外機の前にも立てかけられていいる感じも、なんだか良いですね。構内の案内などに使われていたものなのでしょうか。構内の什器を管理する用務員さんが、室外機の環境をアップデートしてきたのかな、など想像が膨らみます。
手前のベニア屋根は、壁と室外機の間に挟み込むように固定されており、その形状に合わせて屋根の固定方法が異なる点も、あるもので用を足す野良デザイン性が見られます。
雑多で無計画な景観
生活の痕跡が見えたり、雑多であることは、決して悪いことではないと思います。むしろその雑多さや無計画性にこそ、リアルな生活が反映されている、人が生活を営む場として健全な景観ではないでしょうか。神経質なまでに計画された、一見清潔な街並みにはない、また違った魅力があります。
皆さんの住む街には、どんなコンクリートブロックの活用が見られますか?
では、次の記事でもお会いしましょう!