野良デザイン#166|コーンウェイトの車輪留め
とあるオフィスビルの一角に、清掃員やビルの管理者が使うであろう、ワゴンが一台置かれている。目隠しが施されたスライドドアは、正面エントランスとは別に設けられた、管理者動線用の扉であることを物語る。
さて、パイロンや虎柄のポールが積まれた折り畳み式のワゴンの脚は、運搬のための車輪が付けられており、パイロンの重石としてつくられた「コーンウェイト」が、車輪留めとして使われている。
高さ2cmほどのゴム製の段差が、風の強い日も、ワゴンが勝手に移動してしまうことを防いでいる。
ワゴンを使用する際は、この車輪留めを外し、パイロンの重石としてそのまま活用するのだろう。オフィスビルの黒子として働く、匿名の清掃員の創意工夫から生まれた野良デザインである。
眞木孝明