野良デザイン#26-30|タイヤチューブのバインダー 他
私たちは、多くの工業製品に囲まれて暮らしています。それら製品は、想定された用途を満たすため、多くの人が関わり、多くの知恵と情熱が注がれ、出来上がります。
しかし、街を歩くと、作り手が想定した本来の用途を超えた道具の活用を目にすることができます。
「野良デザインの蒐集」は、そんな本来の用途を超えた道具の活用に着目することで、市場リサーチの資料には表れない、生活のリアルを知り、道具の可能性を探る試みです。
野良デザイン#26|タイヤチューブのバインダー
空港前のバスターミナルを覆う巨大な日除け。その白い柱に自転車用のタイヤチューブが巻かれ、ペンとタオルが固定されています。
道路の状況を伝える案内板に使うのでしょうか。ホワイトボードの筆記セットのようです。
丈が余らないよう複数回巻きつけられたチューブは固結びで柱に固定され、さらにチューブどうしが重ならないようにクロス状にすることで、挟む対象を出し入れしやすいように工夫されています。
野良デザイン#27|牛乳瓶ケースの自転車カゴ
2つの車輪と、鉄パイプで構成された車体。カゴのない自転車の純粋性は大変美しいです。けれども、買い物の足として活用する場合、自転車カゴは大変便利なものです。
繁華街を歩いていると、乗り物としての自転車の純粋な美しさと、荷物を運搬する自転車の利便性の両立を見ました。
ママチャリなどポピュラーな自転車カゴは、車体の前に取り付けられることが多いですが、この車体ではスクーター・原付のトランクのように車体後部にカゴが取り付けられています。
しかもそれがMEIJIの牛乳瓶ケース。
雨水などを逃す格子状の底面の意匠を利用して、自転車の荷台に固定されていました。
掠れた印刷や色褪せたケースの色味が、クラシカルな自転車にマッチしてとても良い感じです。元々運送用のケースなだけあって、頑丈そうです。
野良デザイン#28|コンクリートブロックの最小階段(芝付き)
街には数多の段差が存在するが、中にはそれが障害になったり、不便のもとになることもあるでしょう。コンクリートブロックは、街の段差を超えるためのちょっとした補助具として活用されます。
さらにこの野良デザインでは、コンクリートブロックの上に人工芝が貼られています。周囲に対して目立つこともあるかもしれませんが、人工芝があることで、そこが踏み面として機能することを伝えられることは、盲点。個人的に意外な発見でした。
日差しを受けたせいか、砂塵が付着したせいか、緑々していない少し渋めの色合いも、コンクリートブロックのゴツゴツ・グレーとマッチしています。
野良デザイン#29|ホイールの旗立て
自動車のタイヤ。そのホイールを土台に、均一な穴が開けられた木材が固定され、横断歩道用の旗立として活用された例。沖縄石垣島市街地での発見です。
ホイールと木材、それらを固定する金属パーツは赤一色で塗装されています。その塗りムラから、スプレーではなくペンキを刷毛で塗ったように見えました。その場にあった材料で作られた道具ですが、愛着持って作られた背景が想像できます。
黄色の旗と赤い土台。一見激しい色の組み合わせが、色濃い南の島の街に溶け込んでいます。
野良デザイン#30|針金ハンガーの荷掛け
とある家屋のガレージにて。面白い針金ハンガーの活用を見つけました。クリーニング屋でもらう、あの細身のハンガーです。
このご家庭ではトタンで覆われた簡易的な半屋外のガレージを、物干し場としても活用しており、その骨組みに針金ハンガーを渡し、更にS字フックを介して物干し竿を掛けています。
針金ハンガーはフックの部分が切り取られており、ハンガーの面影をわずかに残しながら、活用されています。加工の跡をテープで補修するなど、細かい仕事が見られます。
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ではまた。