《週刊セットプレー 2023》vol.21
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◆10人上がっての攻撃
ロアッソ熊本vs大分トリニータの試合でのセットプレーを取り上げます。
ロアッソ熊本の1点目はコーナーキックから生まれました。
このセットプレーの最初の立ち位置はこちら。
〈守備〉
11人全員が戻っての守備をしています。
マンマークを中心としたゾーンとマンマークの併用での守備をしています。
ゴールエリア内ニアのゾーンを2人(②,③)が守り、ボール付近のスペースを1人(④)が守っています。
残りの7選手はマンマークでの守備をしています。
〈攻撃〉
フィールドプレーヤー10人全員が上がり、攻撃にかかわっています。
CK攻撃の映像で10人が映っているのはとても珍しいと思います。
・相手守備戦術を逆手に取る立ち位置
マンマーク中心で守る相手は、ゴール前にいるすべての選手にマークをします。
そのため多くの選手がいればいるほどマンマークに割く人数が多くなり、ゾーンやボールに対しての守備をする人が少なくなります。
密着でのマークは必要なさそうな位置にいる➏,➐にもマークを付かせていて、中央の守備人数を減らせています。
・ファーを空けるための全員の動き
熊本は後方から走りこむ➋がファーサイドでボレーシュートをすることを狙っています。
そこにボールが着くまでは時間がかかり、完全にピンポイントで蹴ることも難しいため、広大なスペースを作っておくことが重要になります。
相手はニアを固めた併用での守備のため、マークにつかれている選手がいなければDFもいません。
そのため、マークにつかれている選手はほとんどの選手がゴールエリアニアサイドの位置に走りこんでいます。
この動きにマークも付いていくため、ファーサイドにスペースを作れています。
・リスク管理
もっとも後方にいた➋がPA内に上がってシュートを打つということは、後ろにはGKしかいなくなるということになります。
いくら相手が11人全員戻っていて、マンマークを中心に守っているからと言っても後ろのフィールドプレーヤーが0人では危険が大きいです。
そのため、2つ上に記述した本来密着してマークする必要性が低そうな位置にいて、守備陣を減らす役割のある選手が守備に回ることでリスクを管理しています。
キッカー助走時では前に向かって動き出していますが、キックと同時に自陣に向かって走り始めていることがわかります。
戦術や動きももちろんですが、正確なキックの平川選手、うまくボレーで合わせた黒木選手のナイスプレーもあり素晴らしいゴールとなりました。
◆マークとの距離があると…
FC東京vs鹿島アントラーズの試合でのセットプレーを取り上げます。
鹿島アントラーズの同点弾はコーナーキックから生まれました。
このセットプレーの最初の立ち位置はこちら。
〈守備〉
11人全員が戻っての守備をしています。
マンマークを中心としたゾーンとマンマークの併用での守備をしています。
ゴールエリア内ニア寄りを2人(➋,➌)が守っています。
〈攻撃〉
2人がゴールエリア内、4人がPKスポット付近からスタートしています。
PKスポット付近の4選手はマンマークをされていますが、一つのペアに距離があるのが気になります。
マークが近くないため、蹴られるまで大きな動きは取らず、ゴール前にも入りすぎないようにしています。
ボールが蹴られると同時に自身のマークをしている選手はボールを見るので完全に自由に動けます。
ボールの軌道には入られていますが、自由に動けるため、ボールの軌道に合わせての助走から高い打点でのヘディングが可能です。
結果的に、自身のマークをしていた選手の上からヘディングをしてゴールが決まりました。
◆今週の『ニアそらし』
今週も必勝パターンの『ニアそらし』からゴールが決まってましたので2つ紹介します。
・京都サンガFCの2点目(京都vs名古屋)
最ニアのポジションを確保した麻田選手が中央に送り、そのボールに反応したパトリック選手がゴールを決めました。
・愛媛FCの1点目(八戸vs愛媛)
最ニアを取った松田選手が山なりのボールを中央に送り、深澤選手がボレーシュートでゴールを決めました。
◆過去記事
◆取り上げた試合のハイライト映像
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