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【#02】マルタのノマドビザが大体わかる記事

こんにちは。海外ではTaka、日本ではたかちゃんと呼ばれています。

今回は「読めばマルタのノマドビザのことが大体わかる」記事です。


▼制度概要

1. マルタのノマドビザ(Nomad Residence Permit)とは

正確にはビザではなくNomad Residence Permitという名の滞在許可を指します。2021年に導入されました。Residency Malta Agencyという政府機関が管理しています(留学生向け等のビザ発給機関とは異なります)。
このResidency Malta AgencyのHP↓に、基本的なことはすべて書いてあります。
https://nomad.residencymalta.gov.mt/

年々わかりやすくなっていて、2024年からはこのHP上で申請が行えるようになりました。申請前に必ず読むべきページは以下のFAQです。ここを読めば大体わかります。
https://nomad.residencymalta.gov.mt/new-faqs/

2. Nomad Residence Permitで許可されること

以下、箇条書きにします。

  • 1年間のマルタ滞在(3回更新できるので最大4年間住める)

  • 家族の帯同も可能

  • 180日中90日までEU加盟国への渡航が自由

  • マルタ以外の国とのビジネスに制限なし

3.  Nomad Residence Permitでは許可されないこと

  • マルタ国内でビジネスを行い利益を得ること

  • マルタ国民対象の公的保障の享受

  • マルタ永住権取得への寄与

「⚫︎年滞在すれば永住権取得可能」といった制度の国もありますが、マルタはノマドビザに限って言えばそういうメリットはありません。最大4年間の滞在以上のことは許可されていないという感じです。

4. 主な取得条件(抜粋)

  • 18歳以上で、マルタ国外で年間42,000ユーロ以上の収入があること

  • 上記はリモートワーク可能な仕事であること

  • マルタ国内の住所があること(AirBnB不可。賃貸または所有要)

  • 定められた条件をカバーする医療保険への加入

上記のうち、「マルタ国内の住所」と「医療保険加入」については審査終了後に証拠書類を提出すれば良いことになっています。なので、日本から申請を行い→審査通過後にマルタに渡り→現地で住居を探してから最終的なID発行申請をする、というプロセスを踏むのが通常です。

5. 申請に必要な書類

  • Submission form(Residency MaltaのHP上で入力)

  • Form N4(GDPR ※EUの個人データ取得同意書のようなもの)

  • Letter of Intent(意向表明書、英語で作成)

  • CV(職歴書、英語で作成)

  • パスポートのコピー(全ページ)

  • 直近3ヶ月の銀行取引明細書(残高証明ではなく取引明細、英訳必須)

  • 仕事・収入を証明できる書類(英訳必須)

  • 警察証明(英訳+アポスティーユ必須)

  • 戸籍謄本(英訳+アポスティーユ必須)

  • Parental Form(未成年の家族帯同ありの場合のみ)

上記は2024年9月時点のもの。年1〜2回程度は更新されているので、必ずResidency MaltaのHPで最新情報を確認してください。
上記の通り、結構な量の書類が必要で全て英語でないといけないので、僕のように英語力が低い場合は結構大変です。現代のテクノロジーがなければ許可取得など夢でした。公的書類発行やアポスティーユは一定の時間を要するので早めに動き出す必要があります。

6. 申請費用と審査期間

全ての書類を不備なく提出すると、申請費用の振り込み先の案内がメールで届きます。申請手数料は300ユーロです。振り込みを完了すると正式に審査が開始され、通常3ヶ月を要します。マルタ政府のビザ周り手続きは時間がかかると有名です。万が一を考えると大変な目に遭うので、プラス1ヶ月は余裕を持って申請したいところです。

▼マルタのノマドビザ、実際どうなの?

ここからは経験者としてリアルなところを書きます。

7. 制度のポイントは「税金」

マルタのノマドビザですが、「所得税・住民税をマルタに納めない」ことを前提にしています。税金を納めないので、公的保障が受けられない。公立学校や公立病院はマルタ国民なら無料で利用できるのですが、ノマドはその恩恵を受けられません。
裏返すと、ノマドがマルタ国内でビジネスを行い利益を稼ぐと、マルタ政府は税金を取りっぱぐれることになります。そのため国内でのビジネス行為は禁止され、厳しく取り締まられているわけです。どちらかと言うと観光ビザの延長で滞在できるようなイメージでしょうか。
また、申請条件や必要書類は年々厳しくなっている印象です。2024年3月までは収入要件も32,400ユーロと今より低かったですし、警察証明書類も不要でした。それだけ世界中から注目されているということだと思います。

8. マルタの住環境について(物価、エンタメ、天候、利便性、その他)

もしマルタで一人暮らしをしたら手に入るものは、青い空と海、ビールやワインやスプリッツァー等の安くて美味しいお酒、ヨーロッパをはじめ世界中から集まる人々との交流です。天候は日本に比べて確実に快適、地震をはじめ自然災害は少なく、治安も日本と同等かそれ以上に安全です。
手に入らないものは、大都市圏相当のエンタメ、翌日届くAmazonなどなど日本に住んでいたら「普通」になっている便利なものたちです。アジアンスーパーはありますが調味料や食材は限定的なので、作れる日本食にも限りはあります。また、残念ながら日本食レストランは現状まだ壊滅的でここは期待しない方が良いと思います。これからに期待。
(他にもマルタを紹介しているページは多いのでその他諸々は割愛します)

9. マルタの住環境について(家族帯同の場合/子育て関連)

子育ての環境としてマルタを見ると、やはり多様な文化と暖かい気候に触れておおらかに育てることができる点は魅力かなと思います。上述の通り治安は非常に良いので犯罪に巻き込まれるような心配は無用です。公立学校には通えないため私立校またはインターナショナルスクールが候補になり、コスト負担はやはり大きくなります。マルタの学校教育は全て英語で行われています。英語力に不安がある場合は一部の語学学校が子供向けにオンボーディングプログラムのようなものを行なっているので、そこに通う所からスタートできます。世界各国の子どもたちと一緒に英語を学び、友達と放課後に遊んだりしながらのびのびとした子育てができるでしょう。ちなみにマルタの英語はイギリス英語ですが、世界中のあらゆる地域からの移住者も多く、世界中のあらゆる言語やアクセントに日常的に触れることになります(うちの子供は学校でイタリア語や中国語をついでに覚えて帰ってきます)。

10. 移住先として他の国との比較

マルタのIDカードを持つことでEU各国に自由に渡航できるというのは大きなメリットだと思います。EU内で経済成長率トップクラスのマルタでは、多くの人材流入によって急激に発展が進んでいます。5年後、10年後には景色も相当変わっているであろうことは想像に容易く、急成長中の地域に拠点を置くことは確実にメリットがあると言えそうです。ノマドビザで滞在可能な4年間のうちに新しいビジネスやチャレンジの基盤を作るという考え方もあるかもしれません。

▼終わりに

僕の場合、英語でのライティングなど全然無理というレベルでしたが、コンサルなどは利用せずなんとかなりました。もちろん大変は大変ですが、自力で乗り越えたという自信もつきましたし、この4年の滞在期間中に何をするかを考えながら過ごすマルタでの日々も気に入っています。

この記事がマルタへの移住を検討している方の参考になれば嬉しいですし、もし申請にあたって具体的な相談や助言を必要とされている方がいたら、お気軽にお声がけください。

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