オガール合宿の振り返りMTG
都市経営プロフェッショナルスクールの天王山、オガール合宿に行ってきました。戻った翌日、さっそくグループで振り返りのオンラインMTGをして、いまnoteを書いているところです。仲間と感想を話すなど、記憶や感情が風化する前にアウトプットするのは大切だと、あらためて感じますね。ということで、文章としても合宿で感じたことを残しておきます。
ついに来た!
公民連携の聖地とも言うべきオガール
実際に来て五感で感じると、その良さがよく分かります。
大勢が押し寄せる観光地のような、量的な賑わい、活性化を目指すのが
「まちづくり」じゃないということがよく分かります。
居心地の良い図書館、美味しい飲食店、サッカーができる広場など、自分の家の近くにあったら良いなと思うものが、「圧倒的にセンスの良い空間」にギュッと詰まっている。
僕らは働く場所、住む場所、暮らす街の風景に、真剣にこだわるべきではないだろうか?なんとなく働ける会社に入り、借りられるアパートを選び、殺風景な駅までの街並みも、慣れれば特に意識することもない。
でも、限りある人生の、限られた日々を過ごす、自分を取り巻く「日常の風景」に本気で向き合ったら?本当にその生活で良いのか?
そんなことを考えさせられました。
そのくらい「日常の豊かさ」と真剣に向き合った街なんだと思います。
グループワークの意味を知る
今回の合宿は主に2つのプログラムで構成されます。
前半はグループワーク、後半は各個人のプロジェクト
グループワークは9月から何回もオンラインMTGを重ねて、事業案をスクラップ&ビルドしてきました。そのプロセスは毎週〆切に追われて大変だったはずなのですが、それよりも楽しかったですね。
プロスクがスタートした6月、自己紹介で「ひとりで仕事を進めがち」という方がわりと居たような気がします。自分も職場ではそのタイプでしたので、心地よい緊張感を持ちつつ、信頼できる仲間と遠慮のないディスカッションをする経験が新鮮でした。
コーチ陣からのアドバイスを受けて結構プランが変わったと思うのですが、夜中までの限られた時間で、それぞれがリーダーシップを発揮し、もう無心でブラッシュアップに取組みました。その結果、自分たちが思っていたよりも、ずいぶん遠いところまで来れたと思います。講評で、清水先生からお褒めの言葉を頂いた時には、「こんなことがあるの!?」と、みんな喜びを隠せませんでした。大げさかもしれませんが、心震える経験だったと思います。
開講式からの60日間の成長の違い
一方、悔しい思いもありました。
私はグループワークでは財務シミュレーションを中心に関わりました。金融機関で働いた経験があったので、自分でもチームに貢献できるポイントかと思っており、周りからも感謝され、心地良く思っていました。しかし、過去のスキルに慢心して努力が足りなかったんだと思います。
Cグループの発表は、アイディアも、財務シミュレーションも素晴らしかったのですが、財務分析が精緻かつ、分かり易い表現に仕上がっていました。そして、この分析をされた方が、まったく初めてのところから、勉強してここまでの結果を出したというのです。
開講式からの60日間、僕は彼ほどの成長を遂げただろうか。自分の出来ることや、居心地の良い場所にあぐらをかいて、苦手分野の克服やスキルアップをサボっていたんじゃないか。これ、大反省ですね。
今回、周りの優秀な人を目の当たりにし、自分に足りない部分が見えてきました。ちゃんとそこを補って、成長していかないとダメだと思いました。
ブートキャンプでのかわいがり
合宿の懇親会では、岡崎コーチによる愛のバレーボール指導もありました。「声出せぇ!ボール落とすなぁ!」もう部活のような雰囲気のなか、大人がバレーボールを追いかけ回すのが、笑えて仕方ない。
負けたチームは、腕立て伏せ、空気イスなど。懐かしい光景ですね。
「お母さんありがとうございますぅっ!」と叫びながら、大人が腕立て伏せを喜々としてやる絵は、もう変態ですw
しかし、最もチームの結束力を感じた瞬間でしたね。
承認欲求を捨てて、100%相手のことを考えられるか
さて合宿の後半戦は、各個人プロジェクトのプレゼンとブラッシュアップです。このスクールは、必ず実践を求められるのが特徴です。まだ最初のステップを踏めていない人、一歩踏み出した人、かなり事業が進んでいる人など、進捗はそれぞれですが、常にプレッシャーに晒されます。
人間は弱いので、そういうプレッシャーは良いことだと思っていますが、実際に取組むと、「俺、ちゃんとやっているよ?」と言いたくなってきます。そして、厳しいコーチ達に「おぉ、やってるね!」と言われるのは何とも嬉しいものです。
ただプレゼンの場では、承認欲求をグッと抑えて、どうすれば聞き手の心が動くか、相手の立場で考えることだと思いました。これ、ホントに強い決意で臨まないと、すぐにムラムラと「どう、俺?やってるでしょ?」という気持ちが湧いてくるんですね。これまでも何度も言われてきたことですが、やはり自分のプレゼンにもそういった部分が残ってしまい、それが相手の理解の妨げになっているなと思います。
たたむ公共事業とネガティブケイパビリティ
自分の課題は、大規模公共施設の利活用ですが、いろんな方から難しい課題だと言われています。そんななか、遠矢コーチから頂いた「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉が刺さりました。「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、不確実性や曖昧さ、未解決の問題に直面したときに、それを解消しようと焦らずに耐える能力や姿勢のことで、単純に諦めることとは違うそうです。一方、行政でありがちな「問題の先送り」とはどう異なるのかを、考えてみました。
ネガティブ・ケイパビリティ
曖昧さや不確実性に耐えながら、より深い理解や最良の解決策を探るための積極的な態度。結論を急がないのは、まだ十分な情報や洞察が得られていないからであり、状況を熟考することで最終的には行動に移すことを目指す。決断の先送り
判断を避けたり、責任を逃れるための消極的な行動であることが多い。状況への真摯な向き合いが欠けている場合や、恐れや不安が原因で次の行動を遅らせている場合がある。
私が直面している大規模公共施設は運営する3セクを含め、明らかに後者の「決断の先送り」によって、これまで放置されてきた課題です。それによる都市経営へのマイナス影響は決断の先送りをすることなく、マイナスを解消することが必要です。一方で、残されたハードをどうするかは、正直、なかなか先が見えない問題です。解体するにも金がかかる、利活用するにも金がかかる、再生の可能性は未知数。そんな時、人間は先行きの見えない不安に耐えられないので、分かり易い利活用の絵に飛びつきたくなります。でも、ここでグッと耐えることが大切なのではないでしょうか。
過去の負債はスピーディーに損切りすべきです。でも、その後に金を使う決断は、積極的に待つ姿勢も必要だと思いました。今後、国内では不要になった公共施設、広げ過ぎた都市空間の課題が次々に出てきます。それらを直ちにスクラップできない場合、捨てるのではなく、街を折りたたむような発想も必要ではないかと思いました。いま有効活用のニーズが見えない、でも廃棄にコストがかかる、そんな都市空間を放置するのではなく、ちょっとたたんでおく。それは、一時休止かもしれないし、暫定利用かもしれない。そんなことを悶々と考えていました。
公民連携における行政のふるまい
合宿の最後、三宅コーチの言葉です。
行政は民間のマネをして自分のやりたいことをやるのではなく、もっと視座を高くしなければいけない。自分が頑張ることで社会や未来が良くなることが公務員のやりがいだと思う。
これを聞いた時に、目頭が熱くなりました。
僕ら行政職員は働いている中で、おかしいことに出会います。そのなかには放置できないようなこともあります。そんな時、社会にとって正しい選択をしたいというのは、公務員を目指す人間が誰しも共感できる思いです。でも、長年積み重なった前例や、変化を嫌う組織風土に阻まれて、堂々と社会正義と向き合えない。そんな職員にとって、正しいと感じた方向に全力で進むこと、それ自体が強力なモチベーションになると、私はそう考えています。
公民連携の事業では、行政はやるべきことをやる。それが、民間事業者のやりたいことにリンクする。それが街を良くする循環を生むのだと思います。官も民も、プロフェショナルとして自らの得意領域にフォーカスする。そして、相手のプロとしての力を信じて思い切って任せる。公民連携の基本に忠実たれ、そう言ってもらったような気がしました。
密度の濃い合宿を終えて、達成感、後悔、焦燥などを感じて、放心状態で帰ってきたのですが、すぐに仲間と思いを共有することで、再び進んでいけるエネルギーをもらった気がします。また、4日間、家を空けていたにも関わらず、快く送り出してくれた妻にも感謝です(←いや、こんなことめったにないんですよ。ホントw)