
【世界遺産探訪】ドゥブロヴニクの歴史地区〜歴史と美が交差するアドリア海の真珠
今回の世界遺産探訪はクロアチア共和国「ドゥブロブニクの旧市街」です。
筆者が初めてクロアチア共和国に行った時、1998年サッカーW杯フランス大会で日本代表が負けた相手ぐらいの知識しかありませんでした。
実際に訪れたときはあまりの美しさに衝撃を受けました。

クロアチアのアドリア海沿いに位置するドゥブロブニクは歴史的な都市で、「アドリア海の真珠」として知られています。
この美しい街は、その独特な建築と歴史的背景から、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。
中世の雰囲気が色濃く残る旧市街と、青く輝くアドリア海のコントラストは、訪れる人々に深い感動を与えます。
本記事では、世界遺産ドゥブロヴニクの歴史、主な観光スポット、そして訪問時のおすすめのポイントなどをご紹介します。
世界遺産ドゥブロブニクの概要
登録名:ドゥブロブニクの旧市街
登録国:クロアチア共和国
登録年:1979年/1994年範囲拡大、2018年範囲変更
登録分類:文化遺産
登録基準:(1)(3)(4)
世界遺産登録基準
(1)人類の創造的資質を示す傑作。
(3)現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明の存在に関する独特な証拠を示すもの。
(4)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の集合体、もしくは景観の顕著な見本。
ドゥブロヴニクの歴史的背景
ドゥブロヴニクの歴史は7世紀に遡ります。
当時、この街はラグーサ共和国の中心として、地中海交易で栄え、その立地のおかげで長い間独立を保ち、商業や文化が花開いた都市として成長していきました。
特に15世紀から16世紀にかけて、東西ヨーロッパの文化と貿易の中心地として重要な役割を果たしました。
また、ドゥブロヴニクは防衛のための堅牢な城壁に囲まれ、その城壁は現在も保存状態が良く、観光客にその歴史を感じさせます。
オスマン帝国やベネチア共和国との対立を経て、この街は堅固な独立性を維持してきましたが、1806年にナポレオンによってその独立は終わりを告げました。
それでも、今日のドゥブロヴニクはその豊かな歴史と文化を誇りにし、訪れる者を魅了し続けています。
ドゥブロヴニクの主要な観光スポット
ドゥブロヴニクには、訪れるべき歴史的・文化的なスポットが数多くあります。以下では、その中でも特に重要な4つのスポットを紹介します。
1. 旧市街の城壁

ドゥブロヴニクの城壁は、この街の象徴とも言える存在で、この城壁は、13世紀から14世紀にかけて建設され、その後何世紀にもわたって強化されてきました。
全長約2kmの城壁を歩くことで、アドリア海の絶景や旧市街の赤い屋根の美しい街並みを一望できます。
また、防衛のための要塞や塔も点在しており、中世の雰囲気を肌で感じることができます。
クロアチア・ドゥブロブニクの城壁の入場料は、2024年3月以降、城壁単体でもドブロブニクパスでも35ユーロ(約5,700円)です。
時期によって料金が異なる場合があり、オフシーズン(11月~2月)は1日券が15ユーロです。

城壁は旧市街を囲んでおり、壁の長さは約1,940m、高さは最高で25mに達します。
城壁の上は遊歩道として整備されており、ピレ門前、聖イヴァン要塞(旧港前)、プロチェ門前の3ヶ所から入場できます。
歩く方向は反時計回りで、途中チケットチェックが何度かあるのでチケットを無くさないようにしましょう。
2. 聖ヴラホ教会

聖ヴラホ教会は、ドゥブロヴニクの守護聖人である聖ヴラホ(聖ブレイズ)に捧げられたバロック様式の教会です。
1715年に再建されたこの教会は、ドゥブロヴニク市民にとって信仰の象徴であり、重要な巡礼地でもあります。
内部には聖ヴラホの銀製の像があり、教会前の広場は観光客と地元の人々でいつも賑わっています。
歴史と建築
ロマネスク様式の教会からバロック様式へ: 初期の教会はロマネスク様式でしたが、地震により焼失。現在のバロック様式の建物は1715年に再建されました。
ドゥブロヴニクの復興の象徴: 教会の再建は、17世紀末のヴェネツィアとの戦争で大きな被害を受けたドゥブロヴニクの復興を象徴する出来事でした。
見どころ
バロック様式の美しい外観: ドーム型の屋根と白いファサードが特徴的な美しい外観は、ドゥブロヴニクの街並みと見事に調和しています。
聖ブラホ像: 教会内には、ドゥブロヴニクの守護聖人である聖ブラホの銀製の像が安置されています。
大理石の祭壇: 教会内部は、大理石で作られた荘厳な祭壇が目を引きます。
3. ルジャ広場

旧市街の中心に位置するルジャ広場は、ドゥブロヴニクの社交と文化の中心地です。
ここには、市庁舎やオルランド像といった歴史的な建造物が立ち並び、歴史と現代のエネルギーが融合しています。

また、毎年夏に開催されるドゥブロヴニク・サマー・フェスティバルの舞台ともなり、訪れる人々に音楽や演劇の公演を楽しむ機会を提供します。
4. レクター宮殿

レクター宮殿は、かつてのラグーサ共和国の統治者が居住していた場所であり、そのゴシック・ルネサンス様式の建築が美しいです。
現在は博物館として一般公開されており、ラグーサ共和国の歴史や文化、当時の貴族の生活について学ぶことができます。
豪華な装飾や家具が保存されており、過去の栄光を感じさせる空間です。
5.その他
他にも魅力的な場所は多く、ドゥブロブニクは観光客を飽きさせません。
スルジ山
旧市街を見渡せる山頂まではケーブルカーで行けます。
チケットは片道20ユーロ(2024年9月時点)、片道35ユーロ。
往路はケーブルカーを使って、復路は歩いて降りてもいいと思います。
歩いて20分くらいで旧市街に戻れます。

プラッツァ通り
入口のピレ門からルジャ広場まで、ドゥブロヴニクの旧市街の中心部を南北に貫くプラッツァ(Placa)通りは、この街の心臓部とも呼ぶべき場所です。
かつては水路で、東西を分断していたそうです。
全長約300メートルのこの通りは、かつては市場や社交の場として賑わい、今もなおドゥブロヴニク市民の生活の中心となっています。
カフェやお土産店も多く散策するだけで楽しくなります。

ドゥブロヴニクを訪れる際のポイント
1. 城壁散策は早朝か夕方に
城壁からの眺めは素晴らしいですが、特に夏は日中の暑さが厳しいため、早朝や夕方の涼しい時間帯に訪れるのがおすすめです。
また、この時間帯は観光客も比較的少なく、ゆっくりと散策を楽しむことができます。
2. 歴史を学べるガイド付きツアー
ドゥブロヴニクの歴史や建築をより深く理解するためには、ガイド付きツアーに参加するのが良いでしょう。
専門のガイドが各スポットの背景や逸話を詳しく説明してくれるため、ただ歩くだけでは得られない知識が得られます。
個人で行くのも楽しいと思いますが、ドゥブロブニクへ行く途中にクロアチアからボスニアヘルツェゴビナの出入国などもあり、わずらわしいかたは日本からの添乗員つきツアーもおすすめです。
3. 地元の料理を堪能する
ドゥブロヴニクでは、地中海料理をベースにしたクロアチアの伝統料理を楽しむことができます。
スラブ系の食事文化は想像がつきにくいと思いますが、クロアチアはイタリアと近いこともあるのか、ラテン系の料理が多いです。
特に、新鮮なシーフード料理や、地元の特産品であるオリーブオイルやワインを使った料理は絶品です。
牡蠣料理の美味しいレストランもあります。
旧市街のレストランやカフェで、地元の味を堪能してください。
ドゥブロブニクのおすすめ料理3品
タコのサラダ

前菜にはなりますが、アドリア海はタコの水揚げが多い場所で、魚介料理が有名ですが、タコのサラダはおすすめです。ボリュームもありますので前菜でお腹がいっぱいになることもあります。
生牡蠣

日本の牡蠣に比べるとやや小ぶりですが、味は日本のものと引けをとりません。
身はやや硬めで、きゅっとしまった感じです。
ルジャ広場の近くにあるレストラン「カメニツェ(Kamenice)」が有名。
シーフードリゾット

牡蠣が苦手なかたはシーフードリゾットはいかがでしょう。
クロアチアからアドリア海の反対側はイタリアで、交流も多かったこともあり食文化も影響を受けています。
お米の食文化もありますので、リゾットもおすすめです。
4. オフシーズンの訪問を検討
ドゥブロヴニクは夏の観光シーズンに非常に混雑します。
もし静かな雰囲気を楽しみたいのであれば、秋や春のオフシーズンの訪問がおすすめです。
この時期は気候も穏やかで、ゆっくりと街を楽しむことができます。
晩秋に行くとクロアチアの有名な観光地のひとつ「プリトヴィッツェ国立公園」などは紅葉、もしくは雪景色が観られるかもしれません。

クロアチアのひと
筆者がクロアチアを添乗してみて思ったのが、真面目なひとが多い印象でした。
歴史的にクロアチアはスラブ系の民族の間でいろいろとあったのですが、祖国や宗教についての考えが、それだけ真剣だからなのかもしれません。
イタリアやフランスに添乗に行くと、ドライバーの中には、たまに時間にルーズなひとがいたりしますが、クロアチアでは全く出会ったことありません。
日本人とよく似ていて、勤勉でシャイなイメージがあります。
少し話がそれますが、イタリアで添乗中、ドライバーが待ち合わせ場所に遅れてきたので注意をしたら「何怒ってんだ?人間なんだから間違いもあるだろう」と言われたことがありました。
いやいや…まず遅れたことに対してのお詫びは?と思いながらも「たしかに、その通りかも」と思える自分もいました。
さいごに
ドゥブロヴニクは、その歴史的な美しさとアドリア海の自然の調和が、訪れる人々に普遍的な魅力を提供しています。
中世の雰囲気が漂う街並みや壮大な城壁、そして豊かな文化と美食が一体となったこの都市は、世界遺産の一つとしてその価値を証明しています。
ドゥブロヴニクを訪れることで、過去と現代が交錯する特別な時間を体験することができるでしょう。
クロアチアの旅行は首都ザグレブやシベニクなどのほか、となりの国スロベニアにもブレッド湖やポストイナ鍾乳洞など、観光地も多く魅力的な国です。
世界遺産保有国の中で、個人的にとてもおすすめしたい国のひとつです。