関ジャムゴールデンSPの平成ソングベスト50のランキングになぜ椎名林檎が3曲入りミスチルが1曲しか入らなかったか?
関ジャムのゴールデンSPの結果、1位は宇多田ヒカルの「Automatic」でしたね。納得の反面、自分は予想はできなかったです。
意外にも入らなかった、平成の音楽シーンを支えた音楽やシンガー・ミュージシャン・バンドや作家も多くいたように思います。そもそも平成を30〜50曲で絞るのに無理がありますね笑
あくまで投票したミュージシャンは彼ら彼女らが自身の音楽活動に影響を与えたかどうかを基準に選んでいること、個別のランキングを見る限り、かなりマニアックな曲も選んでおり、そういう曲も含めた集計結果であること、分かりやすい代表作があるミュージシャンと、特に90年代から活動するミュージシャンは代表作が多く、票が分散した可能性があることなどを考慮してランキングを見てほしいなと思います。
公平性について疑問視する声もありますが、むしろ、選んだ人を明かしていることなどを考えるとかなり透明性の高い集計方法だし、一部の人の個別のランキングも通常放送で取り上げていて、そのランキングを見るとかなり自由に選出しているということをここで強調しておきます。
自分も作ってみましたが、それぞれの平成ソングベスト30を選んでみるのも楽しいので、選んでみてはどうでしょうか?
さて、本題。ロックバンドMr.Childrenは間違いなく平成のJ-POPのトップランナーだと言えます。これに異論がある人はいないと思います。にも関わらず、41位に「sign」が入ったのみとやや寂しい結果となりました。この原因について、一方で50位以内に3曲入り、さらに、所属バンド東京事変の曲もランクインした椎名林檎との比較で見てみます。
1.票が割れたため
他ミュージシャンとの比較で考えた際、単純に大きな原因の一つと思われます。あまりにも代表作と言われる作品が多いと思います。「innocent World」、「Tomorrow never knows」、「名もなき詩」、「終わりなき旅」、「HERO」、「sign」、「HANABI」などなど。
これしか挙げてないと、「いや、あれ入ってないよ!」って突っ込む人もいますよね?ミスチルの代表作まだまだたくさんありますもん。ただ、椎名林檎、東京事変もそれなりに割れてる印象もあるので(Reiは1位にベスト50に入っていなかった東京事変の「OSCA」を選出していたし、yamaは1位に椎名林檎「ありあまる富」を選出していた。)、林檎事変との比較において必ずしも差がついた要因ではないとも思います。
2.令和世代におけるミスチルの位置
ミスチルのドンピシャ世代って30代〜40代くらいだと思います。現在30代前半の自分はミスチル ドンピシャ世代だと思いますが、それでも代表作は結構後追いが多く、今回のベスト30を選んだミュージシャン(平均年齢25.8歳)にとって、90年代の曲は物心ついた時には既に過去の曲であったと思われること、00年代もミスチルはヒットを飛ばして、平成のトップランナーであり続けたものの、ミュージシャンが音楽にのめり込んだ時に、ミスチル以外の音楽に触れる機会が90年代を生きた人々と比較すると多かったのかなと。
決して、ミスチルや桜井和寿がミュージシャンから憧れられてない訳でないのは、同番組の以前にスペシャルで放送された2000〜2020年のベスト50(この時は、ベスト30の選出者の年齢は全世代的であった)の中に、ミスチル 2曲、Bank Band1曲が選ばれていたことも見れば分かります。
なお、98年デビューの椎名林檎は、04年に東京事変結成と活動を充実させています。
3.10年代以降のテレビ出演の頻度や後輩ミュージシャンとの関わり
椎名林檎、ミスチルの10年代以降、特に最近のテレビ出演を比較してみた時、数年に一度の周期でテレビ出演ラッシュがあるミスチルに対して、紅白の常連となり、リリース時にはテレビ出演する機会も多かった椎名林檎はミスチルと比較してテレビで若手ミュージシャンと関わる機会も多かったのかもしれません。そのことにより憧れを強めたのでは?と仮定してみます。
しかも、椎名林檎はテレビ出演時の楽曲披露の際に、後輩ミュージシャンを起用する機会も多くありました。(ex.ハマ・オカモト、ほな・いこか他)特に、今回ベスト30を選んだ1人のアイナ・ジ・エンドをボーカルに、椎名林檎もギタリストとして参加した「群青日和」トリビュートバンドがMステでパフォーマンスするなんてこともありました。フェスの出演頻度は互いに高くないので、若手ミュージシャンが両者のいずれかと関わる機会はテレビ番組が多いのかなぁと思います。椎名林檎と関わることも多かったのではと思います。
しかし、ミスチルもライブではチャラン・ポ・ランタン小春やナオト・インティライミなど後輩ミュージシャンを起用しており、ミスチル はミスチル で後輩ミュージシャンとの関わりも多いです。Bank Bandの主催フェスapバンクには、令和世代のミュージシャンも出演機会もおり、今回ベスト30を選出した中ではAwesome City Clubも出演しています。なのでこの点でもそこまでの大差はないと思います。
4.マネしにくいミスチル マネしたい椎名林檎
「いやいや、椎名林檎のマネだってできない(しにくい)よ」と思うと思います。それはもちろんそうなんですけど、椎名林檎のマネしやすさとは例えば「丸サ進行」のことです。今回、椎名林檎「丸の内サディスティック」が最高位であったことは、オシャレに聴こえる曲を作れるコード進行、いわゆる「丸サ進行」で名曲を作り上げたことに対して票が集まったのではないかと思います。元からあったコード進行とはいえ、あまりに魅力的にこの進行を使ったことにより、「丸サ進行」とも呼ばれるようになり、椎名林檎の影響を受けて、この進行を使うミュージシャンも少なくないと思います。
そう簡単に「丸サ進行」を使うのもあまり良くないとは思いますが、ミュージシャンにとってここぞという時には使ってみたい進行なのではないかと思います。とある曲に憧れまんま同じ進行を使っても、オリジナリティを作れれば、パクリと言われることはない。(そもそもよっぽどのまんまな時以外で、パクリという言葉を使うのは、コード進行すら知らない音楽を知らない人だったり‥)
一方、ミスチルはその存在が偉大すぎたゆえ、以後のミュージシャンはいかにミスチル的なものを避けるかを模索してきたように感じます。特に90年代後半〜00年代のミュージシャンは「ミスチルのパクリ」とか「ミスチルっぽい」という言葉をかけられることも多かったように思います。
その結果、10年代以降は音楽業界がミスチル的なものから離れていけたのではないか。これはミスチルに令和の若手ミュージシャンが憧れないという訳じゃなく、偉大すぎたが故に、音楽業界・特に後進のミュージシャンがミスチル的なものから離れていく流れがあり、その流れの中で音楽を聴いてきた令和世代にとって、ミスチル以外の音楽がルーツになっているミュージシャンが多いのではないかと思います。
ここまで、関ジャムのランキングに関して、椎名林檎とミスチルを比較してみましたが、両者とも自分の音楽趣味に大きく影響を与えていて、特に音楽を聴く上で、アルバムを重視するようになったきっかけはこの2組の音楽を好きになったのが大きな要因です。コンセプトやアルバムをCDで買う楽しさ、アルバムごとに放つメッセージ性の違いの比較等、面白い点も多いので、ミスチルか椎名林檎のどちらかが好きな方が、どっちの作品も聴いてほしいなぁと思います。
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