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ちゅうおん2024カバー曲~私立恵比寿中学~

 私立恵比寿中学が歌を中心とし、コールやペンライトを基本的には行わない形態でのライブ・ちゅうおん。自身の楽曲と共に、カバー曲も行ってきました。今年で6回目の開催となった2024年。今年のカバーもいい選曲でしたので、メンバーのパフォーマンスも含めて紹介していきます。


1.藤井風「きらり」(グループカバー)

 冒頭カバーしたのは、岡山県出身のシンガーソングライター・藤井風の楽曲でした。藤井風というと昔から様々な楽曲のピアノ弾き語りカバーを挙げており、「若者のすべて」、「真夜中のドア~stay with me~」等のカバーもしている他、「ニホンノミカタ-ネバダカラキマシタ」や「アダルトちびまる子さん」のようなユニークながら技術の高さもうかがえるカバーも多く、その点えびちゅうとも近いエンタメ精神とパフォーマンスの高さも感じます。

 自動車会社のCM曲となった「きらり」は、駆け抜けていくようなさわやかさのある楽曲です。MVでの楽しく踊るシーンも印象的ですが、ライブでも振付が披露されることもあります。下のライブ映像では、真山のソロライブでもおなじみの真船勝博がベースを担当しています。

 エビ中のカバーは、曲のさわやかさと相性がよくキーの違いもありつつ、ライブのオープニングナンバーとして堂々と歌いこなしていたように思います。特に、藤井風の曲をソロライブの開場BGMに使用していた真山りかや、個人的に藤井風をカバーしてほしいと思っていた安本彩花との相性は抜群だったと思います。


2.SMAP「KANSHAして」(グループカバー)

 1988年結成以降、誰もが知るヒット曲を複数持つ国民的アイドルグループとなったSMAP。彼らがブラックミュージックを取り入れていた1995年にリリースした楽曲です。前年に林田健司がリリースした楽曲のカバーという形にはなりますが、元々林田がSMAPのために作っていたという経緯があります(作詞は戸沢暢美)。林田とSMAPというと、「$10」、「君色思い」、「青いイナズマ」と複数曲タッグがあり、当時のSMAPの音楽面での方向性での象徴的な存在です。なお林田はその後、SUPER EIGHT(当時関ジャニ∞)にも提供し、えびちゅうの後輩であるはちみつロケットにも「花火と漫画とチョコと雨」を提供しています。

 えびちゅうとSMAPというと、えびちゅうのMステ初出演時の共演での当時のメンバー廣田あいかの声へのリアクションや、その後のSMAP×SMAPでのコント共演の縁もありますが、音楽的にも、川谷絵音、尾崎世界観、ヒャダイン、シライシ紗トリ、西寺郷太、TAKUYAら共通の提供者も複数おり、様々な音楽へのチャレンジも含め共通点を感じます。

 歌詞面は女性目線の曲ゆえのフィット感と、時代錯誤的ミスマッチ感もありつつ。えびちゅうは過去に男装して「SHAKE」もカバーしたこともありましたが、えびちゅうとブラックミュージック的楽曲の相性が抜群でした。


3.松任谷由実「真夏の夜の夢」(小林歌穂カバー)

 トップバッターは小林歌穂。松任谷由実は荒井由実時代より時代ごとにヒット曲を生み出してきた他、楽曲提供も松田聖子はじめ様々なシンガーへの提供を行っています。

 「真夏の夜の夢」は、佐野四郎の怪演で話題になった作品の続編的な内容となったドラマ『誰にも言えない』というドラマの主題歌でした。情熱的なラテンサウンドに色っぽく歌うユーミンが魅力的な楽曲ですし、終盤の打楽器の変則的リズムも印象的ですね。

 カバーした小林歌穂は、過去にソロライブでも「やさしさに包まれたなら」や、「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」(原田知世提供曲のセルフカバーで、原田知世ver.は風見がちゅうおんにてカバー)「ルージュの伝言」をカバーしており、ユーミンの曲へも馴染みがあったようにも思います。また、柔らかな歌声の小林ですが、情熱的な曲やラテンサウンドの楽曲とも相性が良く、色っぽい女性な歌声も近年は得意としています。2022年にちゅうおんでカバーしたEGO-WRAPPIN'「くちばしにチェリー」や、ソロライブでカバーしたポルノグラフィティ「ジョバイロ」も良く、またソロ曲「ぐらりぐら想い」もそういった傾向の楽曲ですね。


4.深田恭子「スイミング」(小久保柚乃カバー)

 女優の深田恭子は、1999年~2002年に歌手活動を行っていました。PLAGUESの深沼元昭の提供した「イージーライダー」等の楽曲があります。

 深田が2001年に、ソングライター等で活動していたこなかりゆが詞を提供したのが「スイミング」です。CMソングに起用された楽曲です。ハルユキの作曲、編曲には亀田誠治が担当していました。さわやかなロックサウンドに意思表示している歌詞という印象です。

 小久保柚乃は、低めのかわいらしさのある声と、マイペースなキャラクターですが、そんな彼女と相性のよい歌詞でした。また、過去のカバー曲と比較すると、大きく歌唱スキルが上がったように感じました。


5.UNICORN「すばらしい日々」(中山莉子カバー)

 ユニコーンは、1987年にデビューしたロックバンドで、奥田民生が作詞作曲した仲間との別れの曲です。ユニコーン自身この曲の収録されたアルバムリリース時にはドラムの西川幸一(川西から改名)が脱退するなど、ユニコーンの状況も反映されたかのような楽曲でした。収録アルバム『SPRINGMAN』を最後にバンド自体も解散となりました。

 奥田民生はじめそれぞれの活動を経て、2009年に再結成が発表されました。以後2024年現在まで活動を続けています。えびちゅうとは、ABEDONの「ゼッテーアナーキー」の提供や、EBIの50歳を祝うイベントに名前つながりでえびちゅうが出演するなどなにかと縁があります。また、かつてえびちゅうの後輩たこやきレインボーのバンドセットでのサポートを、ギター手島いさむ、ドラム川西幸一(西川から再改名)が担当していた事もありました。

 中山はちゅうおん2020でも、奥田民生の「愛のために」もカバーしており、2度目の奥田民生作詞曲&歌唱曲のカバーとなりました。熱い歌唱が持ち味の中山ですが、抑えた歌い方も素敵だと思います。


6.Vaundy「東京フラッシュ」(桜井えまカバー)

 シンガーソングライターで、美大出身なこともあり映像やアートワークにも関わるVaundy。「東京フラッシュ」で注目を集め、1st配信シングルにして、MVは2か月で100万再生されました。イントロからおしゃれなサウンドでけだるげに歌いながらも、サビでは歌唱の高さもみえる楽曲です。

 「怪獣の花唄」等、歌唱の高さが前面に出た楽曲はVaundyのポテンシャルを引き出していた素晴らしいのですが、個人的には、このおしゃれさもまた好きですね。

 Vaundyはスターダストレコーズ所属ということで、えびちゅうとも近しい存在でもあり、真山りかは生誕ソロライブで開場BGMに使用したり、小林歌穂はウクレレで「踊り子たち」をカバーしたりしていました。桜井えまはミュージカル的な声量の大きさと上手さに磨きがかかっている成長ぶりから、Vaundyはピッタリであったと思います。


7.宇多田ヒカル「君に夢中」(星名美怜カバー)

 宇多田ヒカルは1998年衝撃的なデビューを飾り、活動休止期も経ながら現在まで活動を続ける宇多田ヒカル。2021年にドラマ『最愛』主題歌としてリリースしたのが「君に夢中」です。ヒップホップ的サウンドに、歌い上げるような楽曲には新鮮さも感じます。

 ちゅうおんでの宇多田ヒカルのカバーは2017年の廣田あいか「花束を君に」、2022年柏木ひなた「Automatic」に続き三回目。キャピキャピなアイドル的な歌声のイメージのある星名ですが、声色を低めに歌い上げる曲もこなせることを示しているのもちゅうおんのソロカバーの場であり、今回もクールに歌い上げていました。


8.エレファントカシマシ「悲しみの果て」(桜木心菜カバー)

 エレファントカシマシは、1981年に小学生のメンバーで結成され、後に童謡歌手であった宮本浩次が加入しました。1988年メジャーデビューの後、レコード会社との契約の打ち切り、からの再出発後初のシングルとなった曲が「悲しみの果て」です。彼らの状況を反映したかのような歌詞となっており、人々を勇気づける曲となってるように思います。

 宮本の熱いパフォーマンスも印象的な彼ら。近年は、宮本は椎名林檎やスカパラらとのコラボやソロでの活動も行っており、「悲しみの果て」は椎名林檎とのデュエットで披露したこともあります。

 桜木心菜は、過去にフラワーカンパニーズ「深夜高速」もカバーしていましたが、熱く歌い上げる楽曲も以前よりさらに様になってきているような気がします。さすがマインドヤンキー。


9.ZARD「心を開いて」(風見和香カバー)

 ZARDは、坂井泉水を中心に1991年に結成された音楽ユニットで、坂井泉水は同じビーイング系のコーラスに参加したりミュージシャンに楽曲提供も行っていました。

 「心を開いて」は、作詞は坂井、作曲は織田哲郎で、織田は自身がシンガーとして活動しつつも、ビーイング内外問わず、多数の楽曲を提供しており、えびちゅうもカバーしている「なにがなんでも」(桜っ子クラブさくら組)の作曲もおこなっています。

 風見和香はみずみずしく柔らかな歌声で、ZARDの曲との相性はとても高いですね。90年代ポップスや、女優が歌う楽曲等にも合う曲もあると思うので、そういった方向性の曲のカバーをオススメしたいです。


10.YUI「SUMMER SONG」(仲村悠菜カバー)

 YUIは2004年から、シンガーソングライターとして2012年まで活動していました。現在は、ロックバンドFLOWER FLOWERのボーカルギターとして活動しています。

 「SUMMER SONG」は、イントロのギターフレーズからさわやかな夏らしい曲です。

 YUIはスターダスト所属、ソニー所属と、事務所、レコード会社共に先輩で、またFLOWER FLOWERのベース真船勝博は、真山りかのソロライブでサポートで参加し、また元メンバーの柏木ひなたが主演した舞台作品『タイヨウのうた』を映画で主役を務めた等、なにかとえびちゅうと近いところにいます。また中山莉子がソロライブでカバーするなど、えびちゅう姉メンにとっては世代ど真ん中のミュージシャンです。

 仲村悠菜はタイトルや歌詞に引っ掛けて、「夏でもないし(10月開催)、太陽が味方していない(開催日は雨が降っていたりくもっていたり)」と言っていましたが、この曲のさわやかさと仲村の歌声がとてもよいです。


11.yonige「アボカド」(真山りかカバー)

 yonigeは大阪府寝屋川市出身で、2013年から活動し、現在は2人組のロックバンドです。2015年に発売されたのが、「アボカド」です。MVのアボカドを投げつけるシーンも歌詞の世界観を表現していつつ記憶に残ります。

 真山りかは、アイドルとしてはポジティブだけではない、湿っぽい表現も声質的にも得意に感じます。ソロライブでも、バンドを率いてライブしており、また真山が邦ロックを好んでいることもあり、バンドをバックにロックナンバーを歌い上げるのも持ち味と音楽的好みも反映されていて良いです。

 別れた恋人への未練を歌っている歌詞。その歌詞への感情の込め方は、さすがの年長者真山の人生経験と歌唱スキルでした。


12.Folder「パラシューター」(安本彩花カバー)

 Folderは安室奈美恵らを輩出し話題となっていたアクターズスクール出身の男女混合7人グループで、三浦大知や満島ひかりが在籍していた事でも知られています。三浦が変声期を理由に芸能活動を休止した後も、Folder5としてアニメ『ワンピース』主題歌の「Believe」を歌唱しました。

 「パラシューター」はFolderのデビューシングルで、作詞は小林和子、作曲は小森田実でした。小森田は、Forderの曲を多く手掛けている他、SMAPの「SHAKE」、「ダイナマイト」、「たいせつ」、「らいおんハート」、「BANG!BANG!バカンス!」等を作曲しています。

 小森田は、えびちゅうの後輩、チームしゃちほこ(現・TEAM SHACHI)へは「愛の地球祭」を提供しています。

 当時のFolderメンバーの年齢としてはかなり完成されている完成されている歌唱を魅せている原曲です。えびちゅうの中でも高い歌唱力として知られる安本彩花は、これまた安本のポテンシャルを引き出すような選曲で、楽しくかっこよく歌い上げていました。


13.フジファブリック「若者のすべて」(グループカバー)

 2018年以来のちゅうおんカバーとなったフジファブリック「若者のすべて」。多くのミュージシャンにカバーされてきました。2000年に志村正彦を中心にデビューしました。志村が自信作として制作しながらシングルとして一度ボツになってしまった「若者のすべて」は、様々な事情から、歌詞と合わない2007年11月にリリースされました。

 志村の出身地近辺の河口湖での花火をイメージした歌詞で、後に故郷富士吉田市で夕方5時のチャイムとなったり、教科書になる等じわじわと有名な曲となっていきました。

 志村は2009年に急逝してしまいますが、残されたメンバーで活動を継続し、2016年には、えびちゅうへ加藤慎一が「お願いジーザス」を提供しました2019年にはえびちゅうの主催するMUSiCフェスへ出演し、ボーカルギターの山内が、自身とえびちゅうの近い境遇であることに触れ、「大切なメンバーの悲しいことがあったりしながら、今こんなデカいフェスをやってるえびちゅうを尊敬します」とMCで発言しました。

 そんな縁のあるフジファブリックは、2025年2月をもって活動休止を発表しています。今回のカバーや提供曲「お願いジーザス」の披露は、そのことを受けてなのかなと思います。

 2018年のカバーとはメンバー構成が変わっているため、歌割も変えつつも、前回のカバーで熱さを感じた中山の1サビでのパートを変更しなかった点が個人的には良かったです。ユニゾンになる部分も前回と変更されていたのも新たな魅力を持つカバーとなりました。


 秩父の駅からも遠い遠地での開催ですが、自然にあふれた環境の中、J-POPの良さを再認識するライブを開催しています。コールもペンライト使用も禁止されたライブを開催できているえびちゅうの音楽的な豊かさもすばらしいなと感じました。


1部プレイリスト

2部プレイリスト



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