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ペットと賃貸借契約について考えてみた

1 私のペットを紹介させてください


賃貸物件にお住いの方でペットを飼われている方も多くいらっしゃると思います。
私が住んでいるマンションはペット可の物件なので、犬や猫を飼いながら住んでいる方が多いです。
ちなみにですが、私もペットを飼っています。

ジャンガリアンハムスターで、名前は「ぽむちゅけ」といいます。
なぜ、「ぽむちゅけ」となったかはわかりません、いつもの間にか妻が命名してました。
私が飼っているのはハムスターなので、常にゲージで飼育しますし、壁などを傷つけたりすることはないのですが、犬や猫となるとその辺心配になりますよね。
賃貸借契約が終了し、出て行くとなった際、気になるのは原状回復費用としてどの程度お金を請求されるのか、特にペットを飼っている場合のその金額は高額のものになるのではないかと考えるかもしれません。
そこで、ペットを飼育したことによって生じた傷や汚損に関する原状回復費用を借主が負担するのか、どの程度負担するのかをまとめてみました。

2 ペット飼育が禁止されている場合


これはわかりやすいですよね。
ペット飼育が禁止されているので、ペットを飼うこと自体が契約違反、違法性があるということになります。
そうすると、ペット飼育によって生じた傷や汚損は当然に借主が負担することになります。

3 ペット飼育が可能な物件の場合

基本的には、賃貸物件でペットを飼っている人はペット可の物件だからこそ入居したと思います。
そして、ペット可の物件なんだから、傷や汚損は想定されているだろし、故意につけた傷や汚損以外は貸主が負担するのだろうと思いませんか(ちなみに私は最初このように思っていました。)?
この場合の原状回復は誰が負担するかについて、さらに場合に分けて考える必要があります。

⑴ ペット飼育を認めることによって通常より高額な賃料が設定している場合

この場合、傷や汚損の回復費用がその高額な賃料に含まれていると考えるため、ペットを飼うことによって生じた傷や汚損の原状回復は貸主が負担するものと考えます。
つまり、通常より高額な賃料が設定されている場合は、上で私が言った理屈が妥当するのだということですね。

⑵ 通常より高額な賃料が設定されていない場合

場合に分けていることから推測できるかもしれませんが、この場合、ペットによる傷・汚損は、借主の負担となってしまいます。
裁判例では、以下のように言われています。

「賃貸借契約で定められた賃料が、猫を飼うことを許容したことで通常より高額に設定されていたと認めるに足りない。そうすると、Yは、Xから本件居室で猫を飼育することを認められていた一方で、その飼育に伴い本件居室に損傷等を生じさせることのないよう善管注意義務を負っていて、その義務の程度が緩和されるべき事情は認められず、猫の糞尿等の掃除を怠ることにはこの義務に違反するものである」(東京地判平成25年11月8日)

つまり、通常は、ペットの飼育を許可したことで、そのことが直ちに損傷等の発生を予定して賃料を設定していると認められるものではないし、借主が負っている物件に損傷等を生じさせないという意味での注意義務の程度が下がることもないということです。
上記裁判例以外にも、ペット飼育可の物件でも、ペット飼育に起因する傷や汚損を借主負担と判断した例が多数あります。

4 ペット飼育に関する定めがない場合

私は、あまり見たことがないのですが、ペット飼育禁止の定めもペット飼育可の定めもない場合はどうでしょう。
素直に考えて、その場合、ペットを飼うこと自体が契約違反や違法性があることではないですよね。
そして、ペット飼育に関する定めがないのなら、賃料が高額に設定されているということもないので、上記3⑵と同様の扱いになると思われます。

5 まとめ

ペットがつけた傷や汚損は、上記3⑴の場合以外、借主が最終的に負担をしないといけなくなります。
賃貸物件を退去していく際に、嫌な気持ちになりたくないと思いますので、ペットを飼育する際は、物件を傷つけないような出来る限りの工夫が必要になるでしょう。
ちなみに、ハムスターであれば、そんな心配はありませんし、お勧めです!

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