インボイス制度についての私見(税の専門家として思うこと)
インボイス、いよいよ始まるようで。
『正しい計算』。理屈はわかる。
ただ、それは『社会全体の生産性』を犠牲にしてまで必要なことなのか。
特に、この物価高が続くこのタイミングで。
日々現場の実務に触れている身から言わせて頂くと、
制度開始前だが既に事業者は多くの事務負担がかかっている。
取引先との価格調整は、いつだってナーバスな問題だ。
どちらにその決定権があるかは火を見るよりも明らか。
もっと事業主が売上を上げることに集中させてあげて欲しい。
その結果生まれる利益に対して税金を取る方が社会全体としては健全ではないのか。
この間の制度対応にも疑問が残る。
問題の根本は、『支援が不足していること』ではなく、『制度そのもの』にあると個人的には思えてならない。
その『事業者支援』が『補助金』とかであれば、尚更がっかりである。
中抜きされるし、そもそも補助金の減資は我々の税金である。
その補助金にも当然事務運営コストがかかるわけで、
事業主も国も含めた日本全体でみてもこのインボイス導入で生まれるメリットがコストを上回るとは思えない。
複雑な制度の上に、さらに複雑さを増す理由はどこにあるのか。
配慮が必要な部分を除いて、税制はもっとシンプルであるべきである。
繰り返すが、我々の税金である。少なくとも理解可能な範囲から逸脱すべきではない。
他の方も言われていたが、どうしても免税事業者から徴収したいのであれば、現行の1,000万円という免税点を500万とか300万に下げればよい。
制度そのものを根本から変える必要はない。
丁寧に説明すべきはその必要性のはずだが、残念ながらそれが見えていない。(複数税率、ひいては消費税増税自体に反対である。)
価格の問題は一人の問題ではなく、地続きで繋がっている。
事業主だけでなく、一般消費者にもその影響は徐々に出てくるはず。
政治的意見を述べたいわけではない。ましてや誰かの考えや行動を促すつもりも全くない。noteはそういう場ではあって欲しくない。
ただ、私個人の意見として今この瞬間にここに書き記しておきたい気持ちから書かせて頂いたまでである。
それくらい、この問題には危惧している。
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あさがお税理士事務所
代表税理士 伊藤貴文
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